ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

キング・オブ・サッカー・第一章・EP012

f:id:eitihinomoto:20191113233812p:plain

紅華 鳴弦

 ボクは終点から二十分くらい歩いて、一つ先の停留所まで戻る。

 紅華さんの知り合いの女子高生たちが、降りていったところだ。
終点の車庫も兼ねた停留所と比べると、遥かに賑わっているなあ。

 ターミナルかあ。
地下鉄で帰った方が安いかも。
料金くらい見てくか。

 古びた駅ビルから地下へと入ろうと、歩道を歩くボク。
アレ、この辺りって……ずいぶんと、美容院が多いな?

 駅ビル自体にも、周りの貸しビルにも、お洒落な美容院が入っている。
独立した店舗も、何軒かあった。

 そう言えば紅華さんも、美容院を継ぐとかなんとか言ってたな。

 美容院のクリアガラスに、自分の顔を映しながら考え込んでいると、中の女の人と目があった。

「……あ」
 ヤバ、マズった!

「あ、さっきのコだ」
「御剣 一馬くん!」
「アンタ、なんで名前、覚えてんのよォ!」

 キャアキャアと騒がしい声を上げながら、七人の女子高生たちが美容院から出てくる。

「キミ、終点まで乗っていったんでしょ?」
「もしかして、乗り過ごしたとか?」
 別にそうでも無いのだケド、ボクは首を縦に振った。

「一馬くんってさあ、サッカークラブに入ってるんだよねえ?」
 もう一度、首を縦に振る。
現時点でボク一人だケド、間違いではいよなあ?

「実はトミン、サッカーやっててけっこう上手いのよ」
「そりゃ知ってんだろ。スカウトしに来てんだし」
「あ、そうか」「なに天然かましてんだよ!」

 引きつった顔のまま立ち尽くすボクの目の前で、勝手に会話が展開され、勝手に解決されていく。

「でもトミン、サッカー部に入れなかったみたいだよね」
「そりゃ、あんな派手なピンク色の頭じゃ、高校の部活は厳しいだろ」
「だよねえ。でも、サッカークラブだとOKなの?」

 そ、それはクラブのオーナーである、倉崎さんに聞かないと……。
ボクは首を傾げる。

「どうやら、わからないみてーだな」
「でも、学校の部活より可能性あるんじゃない?」

 それもそうかと、今度は首を縦に振ってみる。

「トミン、もの凄くドリブル上手いのに……」
「サッカー辞めちゃうなんて、もったいないからさ」
「上手いこと誘って……」

 すると急に、美容院の透明なガラスドアが開いた。

「アンタら、悪いんだケド、店の入り口前で立ち話は止めてくれないか」
 中から現れたのは、女子高生たちと比べると背も高く、体つきも大人な女性だった。

「他の客がってアレ……そのコは?」
 女性はお洒落な白い制服を身に着けており、美容師のようだった。
栗色の長い髪に、切れ長の目をしている。

「あ、お姉さん、ごめんなさい」
「このコはサッカークラブに、トミンをスカウトに来たんです」
「え、遠光をかい?」

「はい。トミン、サッカー部に入れなかったみたいです」
「あの髪の色じゃ、そうなるだろうって、あれホド……」
 美容師らしき女性は、そう言いかけて中の男性と目が合う。

「わ、悪いんだケドアンタら、そこの喫茶店で待っていてくれないか。今日は六時に上がれるから、好きなモン注文してくれ」
 女性はペコペコと頭を下げながら、仕事に戻っていった。

「お姉さんも、大変そうだね」
「美容師としてはまだ、新米だろうからな」
「んじゃ、喫茶店に行ってようか」

「キミも行こ」「そこのお店だから」
 ボクは女子高生の 何人かに両手を引かれ、喫茶店へと連行される。

「わたし、メロンソーダとホットドックね」
「わたしはココアと、カツサンド下さ~い」
 遠慮もせず、メニューを片っ端から注文する、七人の女子高生。

 ボクは、いたたまれない気持ちのまま、中々進まない時計の針を眺める。
するとカランカランと、ドアのベルが鳴った。

「ゴメンな、待たせて。アタシは遠光の姉の、紅華 鳴弦(くれはな なつる)だ」
 女性はそう名乗った。

 

 前へ   目次   次へ