ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

キング・オブ・サッカー・第一章・EP009

f:id:eitihinomoto:20191113233812p:plain

紅華 遠光

「ボ、ボクも……く、倉崎さんみたいにッ!」

 深夜のコンビニは人もまばらだったが、ボクの精一杯の叫び声は、それでも店内で流れる音楽に負ける。

「それにはまず、試合をこなさなきゃならんだろ」
「は、はひッ」あ、噛んだ。

「サッカー選手の体は、試合に出て作られる。例えば持久走が早くて体力に自信があるって連中が、サッカーの試合ではヘバったりするからな」
『コクコク』それは、何となく理解できる。

「とにかく一試合でも多くの試合に出るコトが、サッカー選手として一番の成長につながる。だがウチのチームは、現時点でお前一人だ」

「……こ、ここに……書いてある人たち……」
「オレたちデッドエンド・ボーイズに、入る可能性のあるヤツらだ」

「つつ……つ、つまり……?」
「お前が集めて来てくれ」

 ですよねェーーーーーーーーーーー!!?

 ……という、コトがあった。

 実は、最初に一対一の勝負をした時点で、ボクはチームメイト集めを依頼される。

 でもその頃は、倉崎さんがプロのサッカー選手だって知らなかったもんなあ。
チームメイトを集めるって依頼も、雲を掴むような話に思ってた。

 けれども欲しい選手をリストアップまでされると、さすがに現実感が増した。

 人と話すのが超絶苦手なボクが、知らない人をサッカー選手としてスカウトだなんて……。
相変わらず顔を引きつらせたまま、校門の前で突っ立っているだけしかできない。

「お前には、名刺を渡しておいただろ。まあ、それで何とかなるだろ」
 なるワケが無い!

 昨日の倉崎さんに、突っ込みを入れてると、校門から派手なピンク色の髪をした男子生徒が出てきた。

「あ……」
 倉崎さんのノートに乗ってた人だ。
つまりは、ターゲットなワケである。

 名前は『紅華 遠光(くれはな とおみつ)』。

 倉崎さんのノートによれば、ボクと同じ左利きで、小学校の時代はドリブラーとして注目されていたそうだ。

 肌は白く、ボクより少し身長は高いだろうか。
切れ長の瞳にはめられた、綺麗なサファイア色のカラーコンタクトで、一瞬ボクを見た。

「ん?」
 紅華 遠光は、怪訝そうな顔をしたが、そのまま通り過ぎて行く。

 ボクは彼に視線を固定したまま、後姿を見送った。

 イ、イカン、イカン!?
ボクは彼に、デッドエンド・ボーイズに入ってくれるように頼みに来たんだった!

 ……とは言え、ロクに喋れないボクに出来るのは、彼の後を付いて行くことくらいしかない。

 彼は小さな繁華街を抜けると、バス停の前で立ち止まった。
ボクもそおっと、隣に並ぶ。

「あのなあ。なんなんだお前。オレになんか用か?」
 ボクが、必ずされる質問だ。
ここでちゃんと答えられたら、今までどんなにコトが上手く運んだだろう。

「なんで無視なんだ? オメーその制服、隣の高校のヤツだろ。バス停まで付いてきたってコトは、オレに用があるんじゃないのか?」

 全くもって、その通りだった。
だけど、初対面の人に対しては、いつものコトだケド口が開かない。

「なんとか言えよ、コラ。ストーカーか? 野郎に付きまとうなんて、どんな趣味してんだ」
 細い眉毛を吊り上げながら、機嫌の悪さを顔に表現する紅華 遠光。

 いつもなら、ここで沈黙したままだけど、一応ポケットに名刺がある。
思い切って、それを差し出してみた。

「なんだ、これ。名刺かぁ?」
 高校生なのだから、名刺なんか差し出されたコト無いんだろう。
ボクも同じ理由で、驚いたし。

「デッドエンド・ボーイズ……御剣……一馬ァ?」
 紅華 遠光は、観察するようにボクを見た。

 

 前へ   目次   次へ