ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第6章・2話

謎の少年

「……あれは、『エクスマ・ベルゼ』と、魔王の『バクウ・ブラナティス』だ!」
「シャロリューク様は、一体どこに居るんだ?」
 アーメリアに続き、ジャーンティも剣の主を心配する。

 二人の少女を隊長とした捜索隊は、急いで砂丘を駆け降り、二振りの剣の元へと急ぐ。
「だ、誰だ!?」「そこにいるのはッ!?」
 すると、砂漠に刺さった剣の後ろに、『一人の少年』が立っているのが目に入った。

 黄金色の髪にヘイゼルの瞳、絹の様な透き通った肌をした『美少年』だと解る。
「こ、こんな砂漠に少年だと?」「……一体、何者だ?」
 アーメリアとジャーンティの質問に、少年はクスクス笑いながら答えた。

「ボクかい? ボクはまあ……いずれ『この世界を支配する男』さ」
「な、何を言っている。お前のような子供が、世界を支配だと?」
「悪いが、悪ふざけに付き合っているヒマは無いんだ。ボクたちは……」

「『赤毛の英雄』を、探しているんだろ?」少年は、ジャーンティの言葉尻を繋ぐ。
「ど、どうしてソレをッ!?」「シャロリューク様がどうなったか、知っているのか?」
 二人の驚きを他所に、少年はクールな表情を崩さない。

「……ちょっとした『実験』を……ね?」少年の背後に、砂嵐が吹き荒れる。
「クッ、なんだ、この砂嵐は!?」「ま、前が見えない!」
 砂嵐は直ぐに治まったが、二人の前に巨大な物体が現れた。

「しっかし、役に立たないなあ、この魔王。せっかくボクが、『赤毛の英雄に対抗出来る力』を与えてやったって言うのに、酷いザマだ……」
 少年が蹴り上げたのは、動かなくなった魔王の巨大な体だった。

「ア、アレは、『力の魔王にして恐怖の魔王・モラクス・ヒムノス・ゲヘナス』!?」
「シャロリューク様と、戦ってた相手じゃないか!!」
二人の部隊長は、目の前の出来事が信じられないでいた。

「コイツは、実力で『蜃気楼の剣士』を倒したと思っているケド、実はボクが散々に痛め付けておいたのさ。しかしまさか、いい気になって、『赤毛の英雄』にケンカ売っちゃうとはね」
 金髪をなびかせながら、少年は肩を竦める。

「ムハー・アブデル・ラディオ様を……キサマ……よくも!?」
 アーメリアは自らの剣である、赤酒剣・『アムリ・ソーマ』に手を掛けるが、身構えもせず隙だらけの少年に斬り掛かることが出来ない。

「流石に女の子でも、ボクの『強さ』くらいは解るみたいだね?」
「クッ!」「シャ……シャロリューク様は、生きてるの?」
 最大限の警戒を払いながら、二人の部隊長は少年に問いかける。

「さあね? アイツがこのポンコツ魔王と戦っている隙に、ボクが後ろから刺したらさ。必死になって次元の狭間を作って逃げて行ったよ。『赤毛の英雄』だか何だか知らないけれど、笑っちゃうね」
 少年は、天使の様に屈託のない笑顔を浮かべる。

「背後から襲うなんて……」「卑劣とは思わないの……!?」
 二人の質問攻めに、少年は急に面倒臭そうな表情に変わる。
「いい加減、質問に答えるのも飽きたな。探したければ自分たちの力で探せば?」

 少年が右手をスッと上げると、砂丘に潜んでいた巨大サソリや、サンドワームが姿を現した。
「ただし、生きてここを出られる保障は無いけどね……」
二人の率いる部隊に、襲い来る魔物の群れ。

「この様な雑魚を相手に」「ボクらが遅れを取るとでも思ったのかい?」
 アーメリアとジャーンティは、自らの愛剣を抜刀する。
「それは……どうかな?」ニヤリと笑う少年。

「コイツらは、ボクの剣……『プート・サタナティス』によって、強化されているんだ。キミたち程度の力量じゃ、何時まで持つかな?」

「コイツ……斬っても斬っても、ただ分裂するばかりでキリがない!!」
 少年の言葉通り、アーメリアがいくら斬っても、サンドワームは分裂して数を増やす。

「そんな……ボクの灼熱剣・『アマゾ・セッツァ』に貫けないなんて!?」
 普通の巨大サソリなら、易々と装甲を貫く剣も、黒く変質したサソリの装甲を貫けないでいる。

「だから言ったろ? ここがキミたちの、墓場となるのさ」
 蟻を殺して遊ぶ子供のように、ケタケタと無邪気に笑う少年。
「これは、貰って行くよ。せめてもの『戦利品』としてね」

 少年は、『エクスマ・ベルゼ』を引き抜くと、もう一本の天下七剣『バクウ・ブラナティス』の能力で、他所へと続く『次元の扉』を作り出した。

「……ま、待て……逃げる気か!?」「『エクスマ・ベルゼ』を還せ!!」
 二人の少女騎士は叫ぶが、迫り来るサソリやサンドワームに対して、有効な手立てを打つことも出来ない状況では、少年を追撃することなど到底不可能だった。