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ある意味勇者の魔王征伐~第6章・1話

使者の報告

 ヤホーネスの王都、『エキドゥ・トーオ』の王宮では、二人の使者が王に謁見していた。

「……そなた達が……フラーニア共和国の? 此度の援軍……感謝すると……ゴホゴホッ!」
 ヤホーネスの王は九十に迫る高齢であり、ここのところ健康を害していた。
「済まぬが、王はお体の調子が思わしくない。以後の報告は、皇女殿下にしていただだきたいのだが……」

「ハッ!」「御意!」青い鎧に銀のマントを纏った二人の使者は、大臣の意見を快諾する。
「誠にかたじけない。では、王を寝室へとお連れ致せ」
 大臣の命令を受けて、衛兵と侍女が顔色の悪い老人を、『謁見の間』の外へと運んでいった。

「……申し訳ございません。曽祖父……王は、ここのところ体調が優れませんもので」
 しばらくして『謁見の間』に現れた一人の少女が、使者に向って軽く一礼する。
「どうぞ、お顔をお上げ下さい」頭を伏せる二人の使者に、優しい声が響いた、

「わたくしは、『神澤・フォルス・レーマリア』。ヤホーネスの皇女です」
 片膝を付いた二人の使者が、そろって顔を上げると、そこには『眩いばかりに輝く金色の髪の少女』が微笑を浮かべて、王の座る『玉座』に腰を下ろしていた。

「若輩ながら、王の代役を務めさせていただいております。お二人も女性ですのね? 宜しければお名前をお聞かせ下さいませんか?」
 本来ならば使者は、例え乞われたところで名乗るべきでは無い。

 だが、目の前の少女は『王の代役』という重責を担っていることを、二人は考える。
「わたしは、『アーメリア・ジーレティス』……」
「ボ……わたしは、『ジャーンティ・ナーラシャ』。魔王討伐戦の、ご報告に上がりました」

「まあまあ! では貴女方は、『プリムラーナ・シャトレーゼ』様、直属の精鋭部隊・『蒼き宝石たち(ブルー・ジュエルズ)』に所属されておりますの……?」

「……はい。ですが、取り急ぎ、ご報告したい議がございます」「恐れながら、急を要します」
「あらあら、そうでしたわね。わたくしとしたコトが……」
 皇女レーマリアは、おっとりした口調で言った。

「それで、冥府の魔王にして暗黒の魔王、『ルーシェリア・アルバ・サタナーティア』討伐の是非は、どうだったのですか?」
 少しだけ、キリっとした口調になる皇女。

「我らの軍は、魔物の待ち伏せに遭って、戦場への到着が遅れましたが、ニャ・ヤーゴの領主さまが、良く持ちこたえ……魔王軍との戦争自体は勝利いたしました」
 アーメリアは、ニャ。ヤーゴ領主の功績も、正確に報告する。

「……ですが、魔王の姿は既に城に無く、シャロリューク様の率いる覇王パーティーも、魔王の配下を倒すに留まりました」
 ジャーンティも、魔王が城から姿を消した経緯も報告する。

「その後、我ら二名は、シャロリューク・シュタインベルグ様と共に、王都に向かいました」
「ですが、シャロリューク様が、途中の『イティ・ゴーダ砂漠』にて、突如現れた魔王と……」
 アーメリアジャーンティは、シャロリュークと別れた経緯を伝えた。

「そ……そんな、シャロ様が!?」金髪の少女、レーマリアは急に蒼ざめる。
「魔王『モラクス・ヒムノス・ゲヘナス』は、我らが適う相手ではございませんでした……」
「未熟な我らを、シャロリューク様はお逃がし下さったのです」

 皇女・『神澤・フォルス・レーマリア』は、少しだけ取り乱したものの、直ぐに平静を取り戻した。
「お二人は、使者としての使命を果たされたのです。自分を卑下するものではありません」
 毅然と言い放った皇女だったが、詳しい話を聞くうちに、神妙な面持ちへと変わる。

「魔王は、蜃気楼の剣士と言われた『ムハー・アブデル・ラディオ』様を、倒したのだと……」

「ムハー様の剣『バクウ・ブラナティス』も魔王に奪われ、それを手にした魔王を相手に……」
 二人の報告を聞き終えた皇女は、『赤毛の英雄』を慮った。

「シャ、シャロさまの強さは別格ゆえ、心配は無いと思いますが……」皇女は、立ち上がった。
「では早速、捜索部隊を派遣致しましょう。お二人には、捜索部隊の指揮をお任せします」
「御意!」「一命に代えましても、シャロリューク様を、発見して戻ります!」

「……いいえ、命を失うことは許しません。お爺様もお父様も、戦から帰っては来ませんでした。そんなのは、もうたくさんです!」
 アーメリアとジャーンティは、何故に病に臥せっている老人が王であり、十五歳の少女がその代役を務めているかを知った。

「申し訳ございません、レーマリア皇女殿下」「我らが軽率でした」頭を垂れる、二人の少女騎士。
「魔王軍との戦いが熾烈を極める中、我ら人類は『赤毛の英雄』を失うワケには参りません。ですが、くれぐれも皆様……危険を冒さないよう、頼みましたよ」

 皇女の号令と共に少数精鋭の捜索部隊が、王都・『エキドゥ・トーオ』の城門を潜り抜ける。
「シャロリューク様、どうかご無事で……」レーマリアは、城郭の窓から一行を見送る。

 けれども、砂漠に入った捜索隊が目にしたのは、傷付き倒れた『恐怖の魔王・モラクス・ヒムノス・ゲヘナス』の姿と、砂の大地に突き刺さる二本の剣だけだった。

 

次回・謎の少年

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