ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第10章・17話

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死んだ英雄

 ヤホーネスの王都に長雨が降ったのは、それから暫く経ってからのコトだった。

「城壁の補修は間に合いそうですか、ラーズモ?」
「女王陛下の引き連れて来た兵隊を、総動員したからな。何とか洪水の被害は、免れそうだぜ」
 オレンジ色の長髪をした獣人は、小さな簡易小屋に鎮座する主に対し答える。

「ヨナ、怪我人たちの様子はどうです?」
「リーセシルたちの助力もあって、怪我人の数は減ってきておりますが、この雨の影響で病気を患う者が増えているのが現状でございます」

 王宮魔導所を統括する神聖国家の代表、ヨナ・シュロフィール・ジョ。
彼女の聖なる蒼いローブや白いマントも、泥にまみれていた

「済まない、ヨナ。エキドゥ・トーオの王宮も、全壊したまま雨に打ちひしがれたままだ」
「女王陛下が統べるべき王城でさえ、この有り様なのです。今は、一人でも多くの命を救い、国力を回復するコトに努めましょう」

「そうですね。2人とも引き続き、任務に当たってください」
「おう、任されたぜ」
「女王陛下の、御心のままに」

 ヤホーネスの元老院の五大元帥のウチの2人は、女王陛下の簡素過ぎる御所を後にした。

「女王陛下、カーデリア様とルーシェリア様が、お目通りを願っております」
 女王の側近である少女騎士の1人が、報告を上げた。

「2人が……直ぐに、通してください」
 嫌な予感がしたレーマリアは、直ぐに命令を下す。

「どうしたのです、2人とも。サタナトスの調査は、何か手がかりが得られたのですか?」
女王の問いかけがあっても、2人は暫くの間押し黙ったまま時が流れる。

「済まぬが……人払いを願えぬか、レーマリア女王」
 ルーシェリアが、やっとの思いで口を開いた。
カーデリアに至っては、俯いたまま酷く落ち込んでいる。

「では、我々は……」
 側近の少女たちは、女王の御所を退去した。

「シャロリューク様は、どうされたのです?」
 降りしきる雨のカーテンの中で、15歳の女王は恐る恐る質問する。

「赤毛の英雄は、死んだ……完全に、消滅してしまったのじゃ」
 黒雲に雷鳴が轟き、轟音が鳴り響いた。

「そんな……どうして!?」
「彼奴の過去を探るべく、キャス・ギアの街に行った後、砂漠のオアシスに向かったのじゃ。そこで、彼奴自信に出くわしてしまってな」

「サタナトスと……戦闘になったのですか!?」
「彼奴とは、妾とカーデリアや、ニャ・ヤーゴの騎士団長が戦ったのじゃ」

「それではシャロリューク様は、一体誰と?」
「ケイオス・ブラッドと名乗る、新たな魔王が現れての。魔王の持つ刻影剣・バクウ・プラナティスによって、赤毛の英雄は……」

「シャロが……シャロが、死んじゃったのよォ!」
 泥濘(ぬかるみ)に身を伏せ、泣き崩れるカーデリア。

「ケイオス・ブラッドとは、それ程までに強力な魔王だったのですか?」
「そうじゃ。シャロリューク・シュタインベルクで無ければ、相対せぬ程にな」
 漆黒の髪の少女は、目を伏せる。

「なあ、ルーシェリア。そんなの、ウソだろ?」
「ご、ご主人サマ、おったのかえ!?」
「ゴメン、偶然通りかかって……それより!」

「ああ、本当じゃよ。赤毛の英雄は、死んだのじゃ」
「そ、そんな……シャロリュークさんまで!?」
 膝を突き崩れ落ちる、因幡 舞人。

「本来の力であれば、遅れを取る事は無かったのじゃろうて……」
「ボ、ボクがシャロリュークさんを、女の子にしたから?」
「そうせねば、助けられなかったであろう。運が……悪かったのじゃ」

「運が、悪かったなんて……そんなの……アイツなら!」
「カーリー、済まんのじゃ」
 幼馴染みの英雄に、憧憬と崇拝と恋心を抱く少女に寄り添う。

「サタナトスはまた……新たな魔王を得たんだ」
「それは違うのやも、知れぬ」

「違うとは、何がでしょうか?」
「今回の魔王は、恐らく人間じゃ。天下七剣を使って、魔王として強化したのじゃ」

「天下七剣(セブン・タスクス)をですか!?」
「そうじゃ。彼奴は今、天下七剣を集めておる」

「天下七剣……それじゃあ、シャロリュークさんの、エクスマ・ベルゼも!?」
「残念ながら、彼奴の手に墜ちてしもうたわ」

「サタナトスは、エクスマ・ベルゼやバクウ・プラナティス以外の剣も、狙っているってコト!?」
「恐らくな。2振りを持っている、雪影とやらにも伝えた方が良いのじゃ」

「では早急に、使者を派遣致しましょう」
 女王レーマリアの命にを受け、ナターリアたち3人の侍娘たちが使者に立った。

 

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