ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第09章・20話

レーテー艦隊の消滅

「プレゲトーンめ、油断しおって。だがわたくしの艦隊は、敵に取り付けました」
 漆黒に蒼いラインの艦隊の旗艦で、小艦隊を率いる司令官の女性が吐き捨てる。

「この忘却のレーテーが、火星の魔女が艦を堕としてくれよう。旗艦をゼロ距離まで接近させ、敵艦に取り付きなさい」

 豊満な身体つきの女性は、青みがかった灰色の長髪に、鈍(にび)色の肌をしていた。
鼻筋の通った品のある顔に、翡翠(ひすい)色の瞳をしている。
黒に蒼いラインの制服とタイトスカートに、蒼いタイツを穿いていた。

「ニー・ケー中尉、突撃部隊の指揮はお任せ致します。直属のサブスタンサー小隊と、アーキテクターの部隊を展開させましょう」

「レーテー少尉、了解です。ヴェローナ少尉、ヴァクナ少尉、ヴィカポタ少尉、聞きましたね?」
 純白のショートヘアに褐色の肌、エメラルド色の瞳の少女が、純白のサブスタンサーのコックピット内で指示を出す。

「了解しております、ニー・ケー中尉」
「ネリ・オー、いつでも出せるわ」
「わたし達の戦果を、レーテー様に捧げて見せましょう」

 答えた3人の少女たちも、髪型は異なるものの純白の髪に褐色の肌をしていた。

 ニー・ケー中尉を含めた4人の少女は、胴体のみを覆う純白のタイトな宇宙服に、美しい装飾の施された黄金のコミュニケーションリングを首に巻いている。
黒い腕カバーと、同色のタイツを履いていた。

「ニー・ケー中尉、ヴィクトー・リア、出ます!」
 黄金の翼と純白のスカートを持った少女型サブスタンサーは、レーテー艦隊の旗艦から漆黒の宇宙へと飛び出す。

 ヴィクトー・リアは、本体は完全に純白であったが、機体の左右に大きな黄金の盾を装備していた。
左右の腰に黄金の剣を挿し、黄金の槍を構える。

「ヴェローナ少尉、ネリィ・オー、行きます!」
「ヴァクナ少尉、ネリィ・オー、出る!」
「ヴィカポタ少尉、ネリィ・オー、行くよ!」

 3人の少女たちが搭乗するネリィ・オーも、少女型のサブスタンサーだった。
僅かにヴィクトー・リアより小型だが、純白の身体に黄金の兵装を持っている。
ただ黄金の盾だけが、ラウンドシールドになっていた。

「アレが、クーヴァルバリアですか。気品のある、美しい艦ですね」
 ニー・ケー中尉が、ヴィクトー・リアの頭部カメラに、流線形の優雅な艦を捉える。

「ニー・ケー中尉! ゼロ時方向から、サブスタンサーが急速に……キャアアッ!」
 少女の悲鳴と同時に、1機のネリィ・オーが腰から分断された。

「ヴィカポタ少尉!?」
 慌てて踵(きびす)を返す、ヴィクトー・リア。

「ニー・ケー中尉、今度は真下から……アッ!」
 攻撃を避け切れず、股下から左胸にかけて斬り裂かれる、2機目のネリィ・オー。

「ヴァクナ少尉まで……敵は、そこまで手練れなのですか!」
 ヴィクトー・リアは、敵の影を追い駆けた。

「クッ、太陽が……これでは!」
 けれども敵影は、地球で見るより小さな太陽を背にする。

「敵を、見失いました。ヴェローナ少尉、油断しないで……」
「ニー・ケー中尉、レーテー様の艦がッ!!」
 残された1人の部下に言われ、母艦の方向を向くヴィクトー・リア。

「……ああ……助け……」
 漆黒に蒼いラインの艦隊旗艦が、大きなエネルギー弾の直撃を受けて、艦橋を吹き飛ばされた。
灼熱の真っ白な光に包まれ、瞬時に蒸発するレーテー少尉。

「レーテー少尉ッ!?」
 轟沈する母艦を前に、唖然とするしかな出来ないニー・ケー中尉。

「宇宙戦闘空母クーヴァルヴァリア、レーテー艦隊を突破し離脱して行きます」
 唯一残されたネリィ・オーを駆る少女が、戦況を告げた。

「……了解です、ヴェローナ少尉」
 ヴィクトー・リアの周囲に、既に敵影は無い。

「2人は、まだ生きているようです。ヴァクナ少尉、ヴィカポタ少尉を回収し、艦隊を再編致します」
 艦隊司令官を失ったレーテー艦隊は、ニー・ケー中尉の指揮の元、残存兵力の再編を図った。

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