ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第13章・109話

縮地の剣

 闘技場の破壊され無残な姿となった観覧席では、ミノ・アステ女将軍の配下だった12人の少女たちが、奴隷を装って侵入して来た4人の少女と相対していた。

「ヤレヤレ、血気盛んな娘たちだぜ。お転婆にも、ホドがあンだろ」
 貝殻で装飾された黒色のドレッドヘアを、ポリポリと掻きながらため息を吐くティンギス。

 真っ黒なプレートメイルに身を包み、2枚の黒いヒーターシールドを両肩にかけていた。
盾に収納してあった、2本の黒い槍を両手に持って身構える。

「キサマの鎧や盾は、見覚えがあるぞ!」
 ミノ・テリオス将軍によって殺された、シィニ・スの娘の1人であるグリィ・ネが言った。

「アアン? この鎧や盾は、闘技場の戦いに勝利して拝領したモンだぜ。なあ、レプティス」
 ドレッドヘアの船長が、同僚の1人に話を振る。

「ああ、そうだぜ。なんでも、闘技場で死んだヤツらが、着けていた装備らしい」
 シャイニーレッドのモヒカンを背中まで垂らした、海の男としては珍しい真っ白な肌の船長が言った。

 銀色の全身を覆うスケイルメイルを装備した、レプティス。
銀色のタワーシールドの中央部に仕舞われた、太い赤い槍を取り出している。

「お前の鎧も、我らが同郷の戦士の装備していたモノだ」
 同じく3人シィニ・スの娘の1人である、ズリィ・ネが指摘した。

「かつてこの鎧を纏(まと)っていたのは、お前たちの国の者だったのか」
 身に着けたいぶし銀のプレートメイルを確認したタプソスは、ピーコックグリーンのショートドレッドヘアを横に振る。

「この鎧は、オレたちの命を幾度となく救ってくれた。礼だけは、言って置こう」
 茶色いラウンドシールを両腕と両肩に装備し、同じ色の長槍を持構えた。

「フン。多少は、心がまえのあるヤツも居るみたいだね。だけど、容赦しないよ」
 3人の娘の最期の人であるブリィ・ネが、曲刀を振りかざして襲いかかる。

「うわッ! アイツら、向って来やがった!」
「落ち着け、ティンギス。オレらは、盾を構えて防御を固める」
「お前たち。攻撃は、任せたぞ!」

 3人のノッポな船長たちは、それぞれの盾で防御体勢を固めると、その影から3人の少女たちが駆け出した。

「行くぞ、反逆者どもめ!」
「ラビ・リンス帝国が、兵の強さを……」
「思い知らせてくれるわ!」

 イオ・シル、イオ・セル、イオ・ソルの3人が、両腕に両刃の斧を構え、ブリィ・ネを迎え撃つ。

「へェ。たった3人で、アタイに挑んで来るとはイイ度胸だね。まずは、アタイの剣をお目に掛けようじゃないか」

 1歩を大きく踏み込む、ブリィ・ネ。
次の瞬間、彼女の姿が消えた。

「……なッ!?」
「消えただと!」
「ヤツは、どこだ?」

「ここだよ!」
 イオ・シル、イオ・セル、イオ・ソルの背中から斬り付ける、ブリィ・ネ。

「キャアアッ!」「グアッ!」「うわあッ!」
 3人は腰の辺りを斬られ、その場に崩れ落ちた。

「腰を真っ2つにするつもりが……イイ勘してるね。だけど、ここまでだよ」
 ブリィ・ネは、倒れた3人にトドメを刺そうとする。

「やらせるか!」
「今度は、わたし達が相手をする」
「ヤツの剣は、加速能力があると見た。油断するな」

 船長たちの盾壁(シールドウォール)の隙間から、ハト・ファル、ハト・フィル、ハト・フェルが飛び出した。
3人は斧をブリィ・ネに向って投げ、けん制する。

「お前らにも、味合わせてやるよ。縮地の剣……メラ・ニア!」
 再び1歩を踏み込む、ブリィ・ネ。
3挺の斧は、何もない空間を抜け、どこかへ飛び去ってしまった。

「クッソ。やらせるかっての!」
 唖然として立ち尽くす、ハト・ファルたちの前に立ちはだかるティンギス。
ビシィっと大きな音が響き、黒いヒーターシールドが揺れた。

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