ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第13章・69話

雷光の3将の激闘

「オイオイ。女将軍の就任式が、なんだって決闘の場になっちまってんだ?」
 豪奢(ごうしゃ)な観覧席から身を乗り出す、ティンギス。

「さあな。ここからじゃ、なにを話していたかも聞き取れなかったぜ」
 王妃と2人の雷光の3将との会話は、反対側の観客席で行われており、レプティスも解らなかった。

「この国では言い争いは、戦いで決着を付けるのか?」
 タプソスが、周りに侍(はべ)る、12人の少女たちに問いかける。

「全てでは無いが、当人たちが望めばな」
「どちらかが降参するか、またはどちらかが死ぬか……」
「降参は恥辱と考え、自ら死を選ぶ者も多い」

 イオ・シル、イオ・セル、イオ・ソルの、3人の少女が答えた。

「軍事国家らしいっちゃらしいが、恐ろしい文化だぜ」
 闘技場の中央に視線を戻す、ティンギス。
そこには、黄金の鎧を着た2人の将軍が、相対していた。

「ルーシェリアの嬢ちゃんの実力は、折り紙付きだ。あのミノ・テロペ将軍ってのは、強いのか?」
 今度はレプティスが、少女たちに問いかける。

「雷光の3将の名を頂くからには、弱いハズが無い」
「ミノ・テロぺ将軍は、戦場では死を恐れずに敵陣を駆け巡るお方」
「その狂気に満ちた戦いぶりに、味方さえ恐れを抱くと聞く」

 ハト・ファル、ハト・フィル、ハト・フェルの、3人が答えた。

「では、さっそく参るとするかの」
 ミノ・アステを襲名する予定のルーシェリアが、剣から漆黒の雷(いかずち)を放つ。

「面白れェ、魔術を扱えんのか!」
 ミノ・テロペ将軍は、ノコギリのような刃をした剣で、雷撃を弾き飛ばした。

「ギャアァァッ!」
「グヘェッ!?」
 観客席の1部に黒い稲妻が弾け飛び、観衆の男たちを感電させる。

「ヒィィ、おっかねェ。あんなの喰らって、文句は出ねェのか?」
 ティンギスが、周りの少女たちをチラ見した。

「闘技場での観戦は、命懸けだ」
「例え、剣闘士の攻撃が観客席に及んで、死んだとしても……」
「なんの保証も、されない」

 スラ・ビシャ、スラ・ビチャ、スラ・ビニャの、3人が答える。

「聞いたか、レプティス、タプソス」
「ああ、聞いたぜ。恐ろしい国だな」
「盾は、自分で持つとしよう」

 3人の船長たちは観覧席で、戦利品の盾を身構えた。

「なんじゃ、1人も死んでおらん様じゃ。リュオーネのヤツに、コツを聞いたのじゃがな」
「チンケな魔法、使ってんじゃねェ。今度は、こっちの番だぜ!」
 ルーシェリアに向って、突進するミノ・テロペ将軍。

「イ・アンナ!」
 ルーシェリアも、重力剣を振りかざす。

「そう何度も、同じ手を喰らうか。地走刃(じそうば)!!」
 ミノ・テロぺ将軍は、重力に絶えながら、剣撃を繰り出した。

「クッ、やりおるわ!」
 剣が生み出した真空の刃が、ルーシェリアを襲う。
漆黒の髪が切れて空に舞い、白い肌に血が滲(にじ)んだ。

「オレのアーク・トゥルスは、風を操る。行くぜ、竜閃刃(りゅうせんば)!」
 ノコギリのような刃をした剣が、次々に真空の竜巻を生み出す。
高速回転し甲高い音を発しながら、竜巻がルーシェリアを取り囲んだ。

「竜巻のコマかェ。稚児(ちご)の遊びじゃな」
 竜巻の直下の地面を、重力剣で粉々に破砕するルーシェリア。

「油断したな。ソイツァ、囮(おとり)だぜ」
 竜巻が消え、その中から姿を現すミノ・テロぺ将軍。

「気付いておらぬとでも、思ったのかェ?」
 ルーシェリアは、重力剣で自らを上空に飛ばした。

「なるホド、戦い慣れていやがる。小娘かと思ったが、中身はそうでも無ェらしいな」
「淑女(レディ)に年齢の話は、失礼じゃろうて」
 背中からコウモリの翼を生やし、空を飛ぶ漆黒の髪の少女。

「知ったコトか。今度は、とっておきをお見舞いしてやるぜ」
「それは、奇遇じゃな。妾も、取って置きを見舞ってやろう」

 地上と空で睨み合う、ミノ・テロぺ将軍と、新たなミノ・アステ将軍。

「待て、お前たち。今すぐに戦いを、止めるのだ」
 その時、闘技場に男の声が木霊(こだま)した。

「オワッ、誰でい。この声の、主はよ?」
 キョロキョロと、辺りを見回すティンギス。

「し、知っている、声です」
「この声……」
「雷光の3将、筆頭の……」

 ロウ・ミシャ、ロウ・ミチャ、ロウ・ミニャの3人が、闘技場の中央に出現した1枚の鏡を指さした。

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