ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第13章・70話

受け入れられない現実

 闘技場の中央に出現した鏡から、1人の男が姿を現す。

「なんだァ。鏡ん中から、誰か出て来たぞ!」
「ミノ・テロぺ将軍や、ルーシェリアの嬢ちゃんみてェに……」
「黄金の鎧を、纏(まと)っているな」

 ティンギス、レプティス、タプソスの3人の船長の視線は、鏡から現れた男に集中した。

「主たちも、闘技場で会ったであろう……」
「あのお方は、雷光の3将の最後の1人にして筆頭」
「ミノ・テリオス将軍だ」

 イオ・シル、イオ・セル、イオ・ソルの、3人の少女が説明する。

 鏡を抜け出した男は、五芒星が大きくデザインさた黄金の鎧に、2本の折れた角の生えた黄金の兜を被っていた。
兜からは、ディープロイヤルパープルの髪が見え、深い湖のようなターコイズグリーンの瞳をしている。

「ミ、ミノ・テリオス将軍。どうしたのです、そのお姿は……?」
 不安気に問いかける、パルシィ・パエトリア王妃。

 王妃のエメラルド色の瞳に映った将軍は、脇腹から血を流していた。
顔も精彩を欠き、苦しそうに息をしている。

「何があった、テリオス。お前ホドの男に、そこまでのケガァ負わすなんざ……誰の仕業だ!?」
 同じ雷光の3将であるミノ・テロぺ将軍が、剣の先をルーシェリアに向けながら怒鳴った。

「……サタナトスと言う名の、男だ。それに、もう1人居る」
 片膝を付く、ミノ・テリオス将軍。

「オイ、勝負はアトだ。オレは、どこにも逃げやしねェ。いいな?」
「妾は、勝負になど興味は無いでの。構わんよ。のォ、ご主人サマよ」
 ルーシェリアの紅の瞳は、ミノ・テロぺ将軍の背後の鏡を見ていた。

「な、なんだとォ!?」
 慌てて振り返った、ミノ・テロぺ将軍。
ミノ・テリオス将軍の創り出した鏡から、蒼い髪の少年が飛び出てくる。

「テメーが、サタナトスってヤロウか? そう言や、オレの砦に侵入した賊も、蒼い髪をしていたな」
 ミノ・テロぺ将軍は、ノコギリの刃をした剣に殺気を込めた。

「か、勘違いするな、テロぺ。彼の名は、因幡 舞人。わたしの危機を救い、ミノ・リス王に危険が迫っているコトを、知らせてくれたのだ」

「どうだかな。進入した賊徒と、仲間(グル)だって可能性も捨て切れんぜ」
 ミノ・テリオス将軍に言われて尚、警戒を緩めないミノ・テロぺ将軍。

「お前と、言い争っている場合では無い。ミノ・リス王に、危険が迫っている」
「どう言うコトだ。賊は、お前が仕留めたんじゃねェのか?」

「残念だが、取り逃がした……イヤ、因幡 舞人が居なければ、わたしもアステ・リアの元に逝っていただろう」
「ああ、どう言う意味だ?」

「先代のミノ・アステは、死んだ。サタナトスに、殺されたのだ……」
 深い湖のような瞳を、同僚に向けるミノ・テリオス将軍。

「な、なんだと。ふざけてんじゃ、無ェぞ」

「ふざけてなど、居られるか! わたしは、彼女を護れなかった……」
 瞳を閉じ、無念さを滲(にじ)ませる、雷光の3将が筆頭。

「え……ウソ?」
「そんなハズ……無いよ」
「アステ・リアさまが、死んだなんて……」

 呆然自失で立ち上がる、ハト・ファル、ハト・フィル、ハト・フェル。

「な、なにかの、間違いよ」
「アステ・リアさまは、幸せにならなきゃダメなの」
「そ、そうでしょ。ウ、ウソに決まってるわ!」

 スラ・ビシャ、スラ・ビチャ、スラ・ビニャの3人が、3人の船長たちに詰め寄った。

「そ、そうだよな。あの、おっかねェ女将軍サマが、死んだなんて言われてもよ」
「に、にわかには、信じられんな」
「ああ、そうだ」

「ホ、ホント?」
「アステさまは、生きてるよね」
「絶対……生きて……」

 ボロボロと涙を零す、ロウ・ミシャ、ロウ・ミチャ、ロウ・ミニャ。

 アステ・リアを、姉のように慕っていた12人の少女たちは、船長たちの胸で泣きじゃくった。

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