ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

この世界から先生は要らなくなりました。   第10章・第57話

マドルの調査

 伯父である警察の警部との会話から、容疑者たちの人となりを明かして行くマドル。

「長女夫婦にも、何かしら明るみにされていない過去が、ありそうだね?」
「ああ。オレも、その線は怪しいと思ってな。長女の経歴を、洗っているところさ」

「ところで……これまで何も語られていない、重蔵の長男についてはどうなんだい?」
 マドルが、警部に問いかけた。

「ああ。それについてなんだが、長男は戦争に招集され、激戦地で戦死したそうだ」
「そう……それは、お気の毒に」
 小さな手帳に、ペンを走らせるマドル。

「長男は未婚で、子供も居なかったそうだ。戦争のあった頃には次男や3男もまだ幼く、否応なしに長男が招集されちまってな。重蔵も反対したそうだが、地元の名士の立場もあってな。最終的には、招集を受託したらしいぜ。だが長男は、南方戦線で戦死しちまった」

「戦争だって。いつの時代の、話だよ!」
「電話が主体の時代なんだから、なんとなく解ってたでしょ」
「そ、そう? 言われてにれば……」

 観客の中にも、時代設定に気付いてる人間は少なからず居た。

「弟たちと歳の離れた長男は、戦争に駆り出された挙げ句、戦地にて戦死したのだね。彼に遺族は、居なかったのかな?」

「残念ながら、独身だったらしくてよ。だが、婚約相手は居たみてェだぜ」
「その、婚約相手とは?」

「伊鵞(いが)の、支族に当たる家柄でな。もっとも、親同士の決めた許嫁(いいなずけ)ってくれェで、その許嫁も重蔵の長男の戦死が伝えられて間もなく、他の男と結婚しちまったらしい」
 マドルの伯父である、警部の声が言った。

「重蔵の長男にしてみれば、なんともやり切れない結末だね」
「オレも、重蔵の長男とは変わらねェ歳なんだがよ。そんな話は、ありふれていた時代だぜ」

 戦争が、人々の生活にも大きな影響を及ぼしていた時代。
地元の名士と言えど、時代に抗(あらが)うコトは叶わなかったらしい。

「吾輩は、伯父に当たる警部から、事件のあらましと調査内容を聞いた。最初に断って置くと、事件の現場検証は警察の手で行なわれており、吾輩が直接見たワケでは無いと言うコトだよ」
 マドルは、何故か前置きをした。

「事件の概要(がいよう)を聞いた吾輩は、調査を開始した。警部補に扮していた吾輩は、それなりの自由を得て館の中を散策できたのだよ」
 マドルは、墓場セットの中を行ったり来たりする。

「まず吾輩は、聞き込みを行った。調査の、基本だからね。聞いた内容は、2つの事件それぞれのアリバイと、気になった点。聞き込みをしたのは、館に住み込みで働いていたメイド長と料理長、それに外部から通っていたメイド達からもね」

「オイオイ。メイド長と料理長とか、最初にシロって言ってなかったか?」
「メイドたちも、家に帰っていたんだろ?」
「なんで、聞き込みなんかしてんだよ」

「バカね。彼女たちにアリバイがあっても、犯人に結び付く手がかりを目撃した可能性もあるじゃない」
「そうよ。女ってのは、些細(ささい)な違和感を見逃さないモノなんだから」
 ドームの観客たちも、推理をぶつけ合っている。

「そう。吾輩は彼女たちから、事件の日の様子を聞いて周った。料理長に関しては、その日に出す献立をどうするかで、頭がいっぱいの男でね。大した情報は、得られなかったんだ。だけどメイド長とメイドたちからは、重要な証言を聞き出すコトが出来た」

「男って、そう言うトコ駄目ね」
「う、うっせェな。今回の事件が、そうだったってだけだろ」
「そうかしら。男って、鈍感なトコ多いのよね」

 観客席でも、意見が割れている。

「まず吾輩が気になったのは、メイド長の証言だ。彼女は館の主である重蔵氏の留守には、館の全権を預かっていた。年齢も40代で、館のメイドたち全員が彼女の配下となる」

「やっぱ、メイド長が犯人じゃねえの?」
「だけど、マドルは違うって言ったじゃない」
「そりゃあ、そうだケドさ」

「彼女は言った。第2の事件のあった夜、誰かが館を訪ねて来たのだと」
 マドルは、言った。

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