ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第13章・71話

王に迫る危機

「サ、サタナトスとは、何者なのだ!」
「親愛なる、アステ姉さまの仇(かたき)!」
「決して、生かしては置かぬ!」

 目を真っ赤に腫(は)らしながら、怒りを剥き出しにする、イオ・シル、イオ・セル、イオ・ソル。

「オレも、船ん中で少し聞かされただけだが、あの蒼髪のボウズやルーシェリアの嬢ちゃんですら、苦戦する相手らいしいぜ。ヤホーネスやカル・タギアを崩壊させたのも、サタナトスの仕業なんだと」
 ティンギスは視線を、闘技場に立つ舞人とルーシェリアに送った。

「例え強敵であっても、我らの誰かが仇を討つ!」
「そ奴の命を奪えるなら、刺し違えても構わん」
「我らとて、束になってかかれば、叶わぬ相手では無い」

 息巻く、ハト・ファル、ハト・フィル、ハト・フェルの3人の少女たち。

「残念だが、今のお前たちに敵(かな)う相手とは思えねェな」
「本当に仇を討ちたいのであれば、今の数倍は強くならねばならん」
 レプティスとタプソスも、血気に逸(はや)る少女たちを落ち着かせようとする。

「今の我らでは、力不足と言うコトか……」
「アステ姉さまの、仇も討てぬなどと!」
「な、情けない……」

 悔しさで身体を振るわす、スラ・ビシャ、スラ・ビチャ、スラ・ビニャ。

「オレらの村でもよ。サタナトスの野郎が引き起こした津波で、大勢死んでるんだ」
「今は無理でも、お前たちが強くなろうとすんなら」
「仇を討つ機会は、いずれ訪れよう」

「わ、わかった……」
「今の我らは、確かに弱い」
「修行を積んで、いつか必ず姉さまの仇を討つ!」

 ロウ・ミシャ、ロウ・ミチャ、ロウ・ミニャは、強くなる決意を固めた。
他の9人の少女たちも、それに頷(うなず)く。

 観覧席で、3人の船長が12人の少女たちの気を、落ち着かせようとしていた頃。
闘技場では雷光の3将が集い、互いに睨(にら)み合っていた。

「どうやら、先代のミノ・アステ将軍が死んだってお前の言葉……本当みてェだな?」
 ミノ・テロぺ将軍が、問いかける。

「ああ。彼女を倒したのは、恐らくサタナトスと言う男だ」
 ミノ・テリオス将軍も、会話に応じた。

「つまり、お前自身が直接見たワケじゃねェのか?」
「わたしはその頃、サタナトスの部下である魔王と戦っていた」
「魔王が部下だと?」

「自ら、ケイオス・ブラッドと名乗っていた。天下7剣(セブン・タスクス)の1振り、バクウ・プラナティスを使う」
「ケイオス……ブラッド。なんで魔王が、天下7剣を持ってやがる?」

「元々の持ち主である、ムハー・アブデル・ラディオを、サタナトスが倒して奪ったのじゃよ」
 ミノ・テリオス将軍の替わりに、新たなミノ・アステ将軍となったルーシェリアが答えた。

「蜃気楼の剣士と謳(うた)われた、ラディオが倒されただと!?」
「それだけでは無いのじゃ。ケイオス・ブラッドの手によって、赤毛の英雄すらも倒されてしまっての」

「赤毛の英雄って、シャロリューク・シュタインベルグのコトか!?」
「他に、誰がおる?」

「バ、バカな。あの最強の英雄すらも、倒されってのかッ!」
 コトの重大さを実感し、脂汗を流すミノ・テロぺ将軍。

「新たなる、ミノ・アステ将軍。貴女の言葉が正しいと、ミノ・テリオス将軍が裏付けてくれました」
 顛末(てんまつ)を見守っていた、パルシィ・パエトリア王妃が口を開く

「サタナトスと、ケイオス・ブラッド……2人の刺客が、今まさにミノ・リス王のお命を狙っているのですね?」

「2人かどうかまでは、解らぬ。サタナトスのヤツは、自分の組織を大きくしようと企んでおるのじゃ。ヤツの剣は、魔力の強い人間を魔王へと変える能力を持っておってな。すでにカル・タギアの海皇ダグ・ア・ウォンまでもが、魔王とされヤツの軍門に降っておる」

「そんなコトが……」
 繊細な指で口を押さえる、王妃。

「王妃。もはや一刻の猶予(ゆうよ)もございません。王のお命を狙う賊徒の討伐を、我ら雷光の3将にお命じください」
 膝(ひざ)を突き王妃に願い出る、ミノ・テリオス将軍。

「いいえ、心配には及びません」
 将軍の傍(かたわ)らに、歩み寄る王妃。

「ラビ・リンスには、我が子にして我らがラビ・リンス帝国最強の武将、ミノ・ダウルス大将軍が居るのをお忘れですか?」
 王妃は、優雅に微笑んだ。

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