ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第13章・68話

ミノ・テロぺ将軍VSミノ・アステ将軍

 闘技場に集った衆目が一斉に、1人の男の方を見る。
黄金の鎧を纏(まと)ったその男は、王妃に向って異議を申し立てたのだった。

「ミノ・テロぺ将軍。何を根拠に、申すのです?」
 パルシィ・パエトリア王妃は、将軍に問い返す。

「この者は、自ら異国の生まれと明かしました。我らがラビ・リンス帝国は、周辺諸国を戦争によって蹂躙(じゅうりん)し、従属国として朝貢(ちょうこう)させているのです。今日も、属国より朝貢の船がやって来ております」

「つまり貴方は、この者が異国よりの間者(かんじゃ)だと申すのですね?」
 ミノ・テロぺ将軍の遠回しな言(げん)を、汲んで取る王妃。

「ご明察にございます。王や王妃のお命を狙う者は、後を絶ちません」
 ヒスイ色の長い髪の将軍は、視線をルーシェリアに向けた。

「お前の、言う通りじゃ。ミノ・リス王や王妃の命を狙う者なぞ、いくらでもおるじゃろうて」
 同じく黄金の鎧を纏った、漆黒の髪の少女が答える。

「フッ。やはり、自ら認めるのですね。武勇を以(も)ってこの国に入り込み、味方だと油断させて王の命を狙うおつもりですか?」

「そんなつもりは無いがの」
「貴女の言葉を、立証する術(すべ)はありますか?」

「それはお互い様じゃろうて、ミノ・テロぺ将軍。お主とて、王の命を狙っていないと言う確証など、ありはすまい?」

「貴女の詭弁(きべん)に、付き合う気は無いのですがね。わたしは長年に渡って王に忠誠を誓い、王による遠征でも先陣を切って戦場を駆け巡ったのですよ」

「そうやって相手を油断させ、裏切る人間を多く見て来たのじゃがな」
 元魔王だったルーシェリアは、ため息を吐き捨てる。

「貴女とは、意見が合うコトは無いでしょう。ならば……」
 腰に佩(は)いだ剣に手をかける、ミノ・テロぺ将軍。

「妾と、戦かうと言うのじゃな。面白いわ」
 ルーシェリアも、イ・アンナを具現化させた。

「オイオイ。新たなミノ・アステ将軍の、就任式じゃ無かったのかよ!」
「何にしたって、ココは闘技場だぜ」
「戦いが始まるってんなら、止めるのは無粋(ぶすい)ってモンさ」

 観客席に集った男ばかりの観衆も、雷光の3将同士の戦いを望む。

「さて、まずは妾の、イ・アンナの能力を思い出して貰おうかの」
 ルーシェリアが、重力剣を振りかざした。

「ムッ。この能力は、砦での……!?」
 ミノ・テロぺ将軍の身体が、地面に沈む。
将軍は、自らの砦で体感した能力を思い出した。

「どうやら、思い出してくれたかの?」
 ミノ・アステの名を襲名しようとしている、ルーシェリアが問いかける。

「ああ、思い出したぜ。テメーは、あん時の間者の一味だったのか!」
 アーク・トゥルスを抜く、ミノ・テロぺ将軍。

「ミノ・テロペ将軍が、戦場での性格になったぞ」
「将軍は、剣を抜くと性格が変わっちまうからな」
「オレなんか、危うく殺されそうになったぜ」

 ノコギリのようなギザギザの刃をした剣を構えるミノ・テロぺ将軍は、普段の冷静な表情では無く、狂気で血走った目をしていた。

「パルシィ・パエトリア王妃。雷光の3将が1人として、コイツの能力を見極めさせて貰うぜ。本来ならミノ・テリオスの役目だろうが、姿を見せやがらねェからな」

「わかりました。ですが貴方も雷光の3将なら、闘技場(ここ)での戦いがどういった意味を持つか、お解りですね?」
 宣誓台の王妃が、確認を取る。

「モチロンさ。コイツは、先代のミノ・アステを倒したから将軍になるって話だがよ。オレに言わせりゃ、先代のミノ・アステ将軍が弱すぎただけだ。武勇で劣るアイツは、女の色香を使って将軍の座に付いたに過ぎん」

「口の達者な、小僧じゃ。弱い犬ホド、よく吼えると言うでな」
「な、なんだと、キサマ!」
 互いに剣を向けあう、ミノ・テロぺ将軍と、新たなミノ・アステ将軍。

 就任式が一変して、2人の将軍による戦いの火蓋(ひぶた)が、切って落とされようとしていた。

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