ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第08章・55話

最悪の結末(バッドエンド)

 地球から見れば、点よりも小さな存在でしか無い、謎のサブスタンサー。
けれども地球の全域には、謎のサブスタンサーによってもたらされたと思われる、無数の隕石群が雨のように降り注いでいた。

「ど、どうしちまったんだ!」
「ドス・サントス代表の執務室が、シグナル・ロストしたぞ」
「それにこの揺れは、なんだい!」

 通信が途絶えた祖父の安否を心配する、マレナ、マイテ、マノラの3姉妹。

 セノーテのショッピングモール最上部をかすめるように落下した1つの隕石が、ドス・サントスの執務室を完全に消滅させ、蒸発させていた。

「う、上で、なにが起きてんだよ!?」
「衝撃波が、こんな地下深くにまで伝わって来るなんて」
「敵もまだ、倒せてないってのにさ!」

 シエラ、シリカ、シーヤの3姉妹が、巨大なコンドルが舞う地下空間で、大量に沸いた敵に向かって銃を放ちながら、愚痴(ぐち)っていた。

「ねえ、メイリン。アフォロ・ヴェーナーに、確認してみようラビ」
「そうだリン。トゥランさんなら、なにが起きてるか判ってるかもリン」

 セマル・グルを駆るラビリアと、メリュ・ジーヌを操るメイリン。
2人の首には、コミュニケーションリングは無かったが、その特殊能力でトゥランにコンタクトを取る。

『ラビリアにメイリンなのね、無事でよかったわ。こっちは避難民の収容に手一杯で、申しワケないケド援護には行けない状態なのよ』
 2人の少女の脳裏に、トゥランの声が響いた。

「ドス・サントス代表からの通信が、いきなり途絶えたラビ」
「地上で、なにが起きてるリン?」

『それは、こちらでも確認しているわ。地球に降り注いだ隕石の1つが、ドス・サントス代表の執務室を直撃したのよ』

「そ、そんなメル……」
「ドス・サントス代表は、死んじゃったリン?」
『隕石の衝突が、執務室のあった辺り一帯を蒸発させたわ。残念だケド……』

「……な、なんてこった」
「アタシらだって、ついさっきまで執務室に居たんだぞ」
「あの執務室が、消えて無くなっちまったのかッ!」

「ジイさんのヤツ、死んじまったんだな……」
「身内だって判って、大した時間も経ってねェのによ」
「代表を失って、この国はどうなっちまうんだ」

 ジャガー・グヘレーラーに乗る、6人の少女たちの間に動揺が走る。

『イイ、落ち着いて聞いて。現在地上では、無数の隕石が降り注いでいるの。謎のサブスタンサーが、地球上のあらゆる場所に隕石を降らしていると、思われるわ』

「たった1機のサブスタンサーに、そんな能力があるのか?」
「隕石って、そんなに都合よく宇宙を漂ってるモンでも無いだろ」
「まさか隕石は!?」

『ええ。異空間から呼び出されていると、推察しているわ』

「それじゃ、隕石を降らしてる謎のサブスタンサーってのは……」
「時の魔女ってヤツの、手下ってコトか」
「時の魔女は、トラロック・ヌアルピリを滅ぼしたいんだな」

『いいえ。隕石は、北アメリカだけじゃなく、地球の全域に渡って堕ちているわ。とくに、地球に生き残った人間が密集する地域に、集中的に落下している』

「だったら時の魔女の狙いは、地球に残った人類を、完全に滅ぼすコトだって言うの?」
 セノーテ下の地下空間に、1機のサブスタンサーが姿を現す。

「ハウメアも、無事だったメル!」
「よかったリン」
 歓声を上げる、ラビリアとメイリン。

「わたしだけ先に戻ったから、なんとかね。でも、セノンや真央たちが心配だよ」
 黒いサブスタンサーに乗った、ハウメアが答えた。

「ま、まさか姉キたちも……」
「隕石にやられて、蒸発しちまったんじゃ」
「チ、チキショウ!」

 シエラ、シリカ、シーヤの3姉妹が、不安を増幅させ、最悪の結果を想像する。

『大丈夫よ、みんな無事だわ。現在、貴女たちの居る場所に向かっている』

「ホ、ホントか!」
「よ、よかった」
「セシルたちも、無事なんだね」

 安堵の声を上げる、マレナ、マイテ、マノラ。

『残念だケド、朗報ばかりじゃないのよ。隕石が流星となって地球に降り注いだ影響で、地盤が崩れて海水が地下に流入し始めている。セノーテも、放棄するしか無いわ』

 トゥランの声が、最悪の結末(バッドエンド)の1つを告げた。

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