ラノベブログDA王

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王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

ある意味勇者の魔王征伐~第13章・63話

鏡の中の死闘

「どうした。なにか、言ったか?」
 アッシュブロンドの長髪の、少年が問いかける。

「イヤ……なんでも無いさ、ティ・ゼーウス」
 サタナトスは、それ以上は自分の素性を明かさなかった。

「まあいい。そんなコトより、さっさとここから抜け出さねェとな」
 ティ・ゼーウスも、深く追及はせず、次元迷宮(ラビ・リンス)からの脱出を優先する。

「ダエィ・ダルス。ボクたちをミノ・ダウルス将軍の元へと、案内してくれないか。戦いに参加しろとはモチロン言わないし、その後は逃げるなり好きにすれば良い」

 サラサラの金髪をかき上げながら、眉も動かさずに断言するサタナトス。

「ミノ・ダウルス将軍には、お前の剣の能力は通じないのだぞ。勝算は、あるのか?」
 薄汚い姿の男は、自らを繋いでいた鎖の欠片で、伸び放題だった髭(ひげ)を剃りながら問いかける。

「勝算があるとしたら、ボクの旧知の友が追いついて来て、なんとかしてくれるのを願うくらいだね」

「オイオイ。一向に来る気配のない友達を、まだ当てにしてるのか。だったら、オレを……」
「その者なら、もう直ぐここに辿り着くだろう」
 ティ・ゼーウスの愚痴を遮(さえぎ)る、ダエィ・ダルス。

「そんなコトが、解かるのか?」
「自分の創った、次元迷宮内部のコトだからな」
 少しだけマシな顔立ちになった、天才建築家が言った。

「ヤレヤレ。ケイダンのヤツ、やっとミノ・テリオス将軍を倒したのか」
「イヤ。その者も、まだ生きておる。重傷は負っているがな」

「どうやら、お前の旧知の友ってヤツも、当てにはならん様だな」
「ホントだよ。まったく、なにをやっているのやら」
 ティ・ゼーウスに皮肉を言われ、イラつくサタナトス。

「相手も、中々の手練れだったのだろう。ミノ・ダウルス将軍を倒すのであれば、少しでも戦力が多い方が良いのではないか?」
「そりゃ、そうだがよ。仕方ない、待ってやるか」

 3人は、ケイダンを待つ選択をする。

 ~ケイダンこと魔王ケイオス・ブラッドと、雷光の3将が筆頭ミノ・テリオス将軍との戦い。
その決着は、少しだけ時を遡(さかのぼ)る~

 鏡の世界に、閉じ込められたケイオス・ブラッド。
周りを取り囲んだ無数の鏡に映る、自分自身。

「クッ! まさか自分の攻撃を、受けるハメになるとはな」
 万華鏡の中のように、無数に投影されたケイオス・ブラッドが、次々と魔王本体に襲い掛かった。

「鏡の投影の分際で、勝手に動いて主に牙を剥(む)くなど、気に喰わん!」
 師匠譲りのバクウ・プラナティスで、襲い来る自分自身の群れを斬り裂く。

「無駄だ。我が剣ジェイ・ナーズの生み出した鏡の世界では、鏡に映ったお前が傷付けば、お前自身も傷付くのだ」
 鏡の世界に響く、ミノ・テリオス将軍の声。

「ガハッ!?」
 雷光の3将が筆頭の言葉通り、バクウ・プラナティスの付けた傷が、ケイオス・ブラッド自身の身体にも刻まれた。

 完全に裂かれた胸や腰から、ボタボタと紫色の血が流れ落ちる。
魔王と言う特異な存在で無ければ、とっくに絶命してもおかしく無いホドの傷だ。

「フッ、こんなモノか……」
 魔王ケイオス・ブラッドは、自らの流した紫色の血溜まりを見つめる。

「そろそろ、トドメを刺させて貰うぞ。覚悟しろ!」
 ミノ・テリオス将軍の声と共に、周囲の鏡に映った魔王ケイオス・ブラッドが、本体目掛けて剣を突き立てる。

「イヤ、それはオレの台詞だ」
 鏡の剣に精神を集中させた、ミノ・テリオス将軍の背後の壁に空間が開いた。

「……なッ!?」
「油断したな」
 空間から現れた魔王が、バクウ・プラナティスを1閃する。

「フッ、それはわたしの台詞と、言ったところか」
 けれども時空を斬り裂く剣は、ミノ・テリオス将軍の前で阻まれる。

「お、お前は!?」
 驚きの表情を浮かべる、ケイオス・ブラッド。

 魔王の前に立っていたのは、蒼い髪の少年だった。

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