ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

この世界から先生は要らなくなりました。   第08章・第67話

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アンコール

 ユークリッドがプロデュースするアイドルたちの、デビューライブ。
レアラとピオラのコスチュームは、真っ白なアイドル衣装に変わっていた。

「今度は、白い衣装か」
「2人のイメージとは、少し違う気もするわね」
 ボクの抱いた違和感を、ユミアも感じていたらしい。

『さあ、次の曲はフラワース・ザ・レインボー』
『サラマン・ドール、最後の曲よ』
 2人は、中央ステージから宙へと舞い上がった。

 すると中央の4面パネルから、7色のスポットライトが会場中を飛び回る。
スポットライトをくぐり抜ける度に、異なる色へと変化するアイドル衣装。

「悔しいケド、キレイね。アイドルって……」

「そうだな、ユミア。それに、キレイなだけじゃない。アイドルには、これだけの規模のドーム会場を埋め尽くす、大勢のファンを感動させられる力があるんだ」
 ボクは正直、ずっと驚いていた。

「イヤイヤ、アイドルの力は、そんなモノではないさ。このライブは、世界36ヵ国同時にテレビ中継されている。中継の無い国でも、ユークリッターを介せば誰でも視聴可能なのだよ」

「つまり彼女たちは、今この瞬間も世界中の人々を魅了してるってコトですか!?」
「ああ、そうだとも。後ろのキミの生徒たちを、見給えよ」
「え、レノンとアリスがどう……!?」

「先生、見て見て。ユークリッター。スッゴイことに、なっちゃってるよ!」
「ほとんどの検索上位を、ユークロッドのアイドルが独占してるですゥ!」

 会場に脚を運んだ1人1人が、艶やかな衣装を着て舞うレアラとピオラの歌声に、熱狂してる。
街のコンビニのフードコート、空港の待合いロビー、屋台が並ぶ繁華街に高層ビルがそびえる摩天楼。
同じ光景が、日本のみならず世界中の至るところで、行なわれていた。

「主催者としては、さぞや満足でしょうね」
「ああ。小さなトラブルこそあったが、初回にしては大成功と言っていいだろう」
 得意気に、自慢を始めるユークリッドの若き経営者。

「本来であれば、今日のチケットは倍率が1万倍を超えていてね。会場に入れただけで、幸運なのさ」
「そ、そうなんですかッ!?」
 関係者枠で入っているボクは、その数字に後ろめたい感情が沸き上がった。

「チケットは、ユークリッターでの受付のみとしたから、転売ヤーたちも手を出せなかったが、中にはユークリッターの入ったスマホごと、出品する輩もいたらしい」

「どうかしてるって、言いたいケド……」
「こんなの見せられると、気持ち解っちゃうんだよな」
「わ、わたし達、う、恨まれたりしませんよねェ!」

 アリスが心配するのも、頷ける。
それくらいに会場は、熱気に包まれていた。

『わたし達の曲は、これでラストよ』
『今日はたくさん集まってくれて、本当に……』

「レアラー、ピオラー、これで終わりじゃないだろ!」
「もっと曲を、聞かせてくれェ。終電、無くなっても構わないからさ!」
 暗くなった観客席に、サイリュウムのケミカルライトが揺れる。

「アンコール、アンコール!」
「アンコール、アンコール!」
「アンコール、アンコール!」

「こ、これは……」
 アイドルのライブどころか、音楽ライブ自体に殆んど行ったコトが無いボクは、回りから湧き上がる『アンコール』の声に戸惑う。

「ねえ、なにやってんのさ、先生。アンコール!」
「わたし達も、叫ぶのですゥ。アンコール!」

「そうね。あのコたちも、同じ教室の仲間なんだモノ。アンコール!」

「そう……だよな。アイツらは、ボクの生徒だ。アンコール!」
 ボクも、見よう見マネでアンコールを贈った。

『今日のプログラムは、これで終わりのつもりだったケド……』
『困った人間たちね』
 レアラとピオラは、顔を見合わせる。

『それじゃ、次のシングルをお披露目しようかしら』
『曲は、ユルルングル・オブ・ミルリアナ!』

 再び広大なドーム会場が、ファンたちの熱狂に包まれた。

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