ラノベブログDA王

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この世界から先生は要らなくなりました。   第08章・第64話

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デビルズ・ダークハッカーズ

 真っ赤な巨大な腕が、鎖に繋がれた妹の天使へと向かっていく。

「ガアアッ……ルクスまで食べられちゃう!」
 ライオンみたいな髪型の少女が、吼えた。

「食べるワケじゃ無いだろ、レノン。とは言え、これからどうなるか想像も付かんな」
 そうは言ったものの、ボクもやはり不安が隠せない。

 本当にカトルは、無事なのだろうか?
レアラとピオラは、人間をどう思っているのだろうか?
 疑心暗鬼が、心の内で広がって行く。

「ルクスちゃん、大きな魔王に捕まっちゃったのですゥ!」
 普段は小さな声のアリスが、大きな声を張り上げた。

 ステージは、壮大な映画のクライマックスシーンのようになっている。
魔王と化したカトルの大きな掌(てのひら)が、完全にルクスを包み込んだ。

『天使の命脈は、完全に潰えた』
『これで世界は、完全に我ら魔族のモノとなったのだ』
 真っ赤なドレスに身を包んだレアラとピオラが、ゆっくりと中央ステージに降り立つ。

『人間どもよ、聞け。お前たちを、我らAIが支配する……』
『このステージに集った者たちは、自分たちが支配される瞬間を目撃するのだ!』

 ステージの上に吊るされた4面パネルが、コンピューターの回路設計図や、世界中に張り巡らされたネットワークを映し出した。

「ねえ、アンタ。あのコたちの言ってるコトって、本気じゃないわよね?」
「どうだろうね。ボクにも彼女たちがなにを考えているのか、さっぱり解らないよ」
 本音を吐露する、久慈樹社長。

「アンタやユークリッドの開発者たちは、言わば産みの親でしょうに!」
「人間の親だって、自分の子供の考えを全て理解しているワケじゃないからね」

「もし彼女たちが大それたコトをしでかしたら、アンタらどうやって責任取るのよ!」
「まあ、AIが支配する世の中が本当に来たら、今の人間本位の法律も変わるだろう。それはそれで、楽しみじゃないか?」

「アンタって、ヤツは……」
 蓄積された苛立ちが、マックスなユミア。

「ね、ねえ、見てよ、ステージ!」
「カトルちゃんとルクスちゃんが、いっぱいなのですゥ!」

「な、なんだ、これは……!?」
 ステージには、赤や黒の禍々しい衣装を着たカトルとルクスが、大量に出現していた。

『さあ、人間どもよ。心して聴くがよい……』
『デビルズ・ダークハッカーズ』

 2体のダークアイドルは、宙へと舞い上がる。
四方から浴びせられる、人間たちの熱狂的な声援をバックに、2人は歌い始めた。

「今度はテクノとか、サイバーパンク寄りの曲ね」
「ユミアは、音楽にも詳しいんだな」
 ボクが感心していると、ユミアは顔を背ける。

「アハハ、彼女の好きなものは、せいぜいアニメやゲームだよ。その手のモノには、こう言ったノリの曲もよく使われているからね」
「う、うっさい、アンタは黙っとけ!」

 どうやら図星だったようだ。

「うおわッ、見ろよ。大量に沸いた天使たちが、宙に飛び立って行くぜ!」
「ホントだ。でもアレって、もう堕天使じゃね。羽根が黒いし」
「そっか。堕天使の群れがこっちに……って、エエッ!?」

 ドームの中に集った大勢の1人1人に、カトルとルクスの顔をした堕天使が舞い降りる。
堕天使たちは頬ずりをしたり、身体を密着させたりと、無邪気に振る舞った。

「せ、先生、これってどう言うコト!?」
「カトルちゃんとルクスちゃんが、頬っぺたを撫でて来るのですゥ!?」

「ボ、ボクに聞かれてもな……だけど、触られてる感触があるぞ!?」
 ボクの左右に纏わり付く、小悪魔のようなカトルとルクス。
星色だった髪は薄い紫色に変わっていたが、ショートヘアなのは同じだった。

「多分、ナノマシーンで、わたし達の肌の触覚神経に干渉しているのよ」
「いいや。もしかすると、脳に直接干渉しているのかもな」
 久慈樹社長が、ユミアと異なる見解を示す。

「脳にって……それこそ本気で、人間を支配しに来てるってコトじゃない!」

「……え!?」
 ボクも慌てて、周囲の観客席を見渡した。

 すると、夢見心地な顔の観客たちが、大勢目に入った。

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