ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

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この世界から先生は要らなくなりました。   第09章・第11話

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先生たちと生徒たち

「よし、そこまでだ。後ろから、プリントを回収するように」
 ユミアが作った、数学の模擬テストが終わった。

「ユミア、難し過ぎだよ。こんなの、解けるワケ無いじゃん」
 ため息を吐く代わりに、レノンが愚痴を吐く。

「確かに難しい問題ではあったケド、基礎が出来ていればある程度解けるようになっていたわ」
「そうね。模擬テストには、打ってつけの内容だと思うわよ」
 メリーとライアの、2人の優等生が言った。

「2人にそう言って貰えると、安心ね。それに問題は、模擬テストの結果じゃないわ」
 テストの出来に胸を撫で降ろしたユミアが、ボクを見る。

「模擬テストはあくまで予行演習であり、解らない箇所を浮かび上がらせるためのモノだからな」
 ボクは受け取った回答用紙を、ユミアへと渡した。

「ライアとメリーは、流石に及第点は取れてるわね」
「答え合わせもせずに、解るのか?」
「数学に関してわね。ライア、メリー。2人には、教師役をやってもらうわよ」

「了解よ、ユミア」
「でも、普段のユミアを見てると、どうしても同一人物には見えないわね」
「言えてる。普段のあの子って、ゲーマーでアニメ好きな残念少女だもの」

「うっさい。本人を前にして、よく言えるわねェ!」
 ユミアは怒りながらも、否定はしなかった。

「ゴメンゴメン。わたしはいつも通り、レノンとアリスを受け持つわ」
「お、お手柔らかに、お願いします」
「メリー先生、お願いします」

「残念だケド、時間がないのよ。ビシバシ行くわ」
「ええ、そんなァ」
「ひィ~ん」

「さて、わたしは誰を担当しようかしら」
「ライアには、アロアとメロエ、それとエリアをお願いできるかしら」
「任せて。それじゃ、彼女たちの答案用紙も貰っていくわね」

「ラ、ライアさん。芸能界を目指すのに、数学は必要なくてよ?」
「そ、そうですわ。経理などは、マネージャーか税理士にお任せするものでして……」
「牧師になるのにも、数学は必要ないんじゃないかな?」

「いいえ。今の時代に経理を覚えて置くメリットは、大いにあるわ。パソコンに入力するにしても、基礎ぐらいは身に付けて置かないと出来ないものだしね」

 あっさりと論破される、3人の少女。
弁護士を目指すライアを相手に、論理で挑んだのが裏目に出る。

「それじゃあわたしは、カトルとルクス……」
 言いかけたユミアの言葉が、遮られた。

「いいえ、その2人は我らが下僕(しもべ)」
「よって教育は、わたし達が受け持つわ」

「あ、貴女たちは!?」
 ユミアが振り向くと、そこには先日のアイドルデビューライブで、トリを務めた2人が立っていた。

「うわ、レアラとピオラじゃない」
「それにしても、今日は制服姿なんだ」
 下僕と言われた双子が、そのコトには反応を示さずに、2人のAIの服装に反応する。

「当たり前でしょう。わたし達だって、この天空教室の生徒ですもの」
「今までだって、共に授業を受けていたでしょう」

「そりゃそうだケド、今までは人形だったじゃない」
「人間の身体はライブのときに見たケド、制服着てるとなんだかヘンな感じがするな」

「確かに人形からのギャップは、かなりあるからな。今の身体は、人間にしか見えないし」
 カトルとルクスの抱いた感想はボクも感じたし、他の生徒たちもそう思っているだろう。

「フン、おべっかはいいわ。それに、この身体はまだまだ未完成よ」
「細部だって粗削りだし、改善の余地は大いにあるわ」
 人間の素人目では完璧に見えても、完璧主義の2人にはまだ不満があるらしい。

「それより、カトル、ルクス。なに、この回答は」
「半分も合ってないわ。これでは本番では、落第点よ」

「イヤ、それは2人のステージの練習に、付き合わされたからで……」
「そ、そうだよ。アレが無かったら、もっと良い点数取れてたのに」

「いいえ。貴女たちの学力から計算して、上ったとしてもせいぜい5点」
「焼け石に水よ。落第点に変わりないわ」

「うッ、ぐう……」
「それは、その……」
 全世界に散らばるサーバーが頭脳であるAIの言葉に、反論する余地は無かった。

「それじゃあわたしは、タリアとテミル、キアを見るわ」
「だったらボクは、アステたちとシア、ミアとリアを見れば……ン?」

 ボクは、1人の生徒の名を呼んでないコトに気付いた。

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