ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第12章・15話

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パテラ

「パレアナ……と呼んでイイのか解らないケド、キミはボクの言うコトしか聞かないのか?」
 舞人は、幼馴染みソックリの重機構天使(メタリエル)に問いかける。

『はい。わたしの役目は、アト・ラティアの血に連なるモノの役に立つコト。一般の人間や他種族の命令など、聞く必要もありません』
 栗色の髪の少女は、顔色1つ変えなかった。

「ヤレヤレじゃの。それでは妾たちからの質問は、ご主人サマを介してしなくてはならんのかぇ」
「なんだか、面倒くさい話だね。パレアナって、こんな感じのコなの、シェリー?」
「いいや、もっと明るくて面倒見の良い娘じゃよ、スプラ」

 漆黒の髪の少女と、黄緑色のショートヘアの少女は、同時にパレアナを見る。
そこには、人形のように硬直した少女の顔があった。

「な、なあ、ラ・サ。なんだかその顔だと、違和感アリアリなんだケド、他の姿は取れないのか?」
『ご要望とあらば』
 舞人のリクエストに、パレアナの栗色の髪の毛が、漆黒へと変化して行く。

「なんと、妾になりおったぞ!?」
 冷静な顔と、驚きの顔、2つのルーシェリアが見つめ合ってる。

「うわあ、今度はボクになったよ、このコ!」
 アワアワした口のスプラが、自分と瓜二つな顔を覗き込んでいる。

「他のコと同じにしか、できないの。例えば、パレアナの髪の色や形を変えるとか?」
『可能です。どんな髪を、ご所望でしょうか?』
 いつの間にやら、流暢(りゅうちょう)な言葉で喋るラ・サが、舞人に問い掛けた。

「そうだなあ。パレアナの髪を後ろ1本のお下げにして、髪色は白にしてみたらどうだろう」
『こんな感じですか?』
 髪の毛だけが流体金属に戻り、純白色の三つ編みが背中に垂れる。

「ウム、かなり印象が変わったの。瞳の色も変えるのも、有りじゃと思うぞ」
「そうだね。瞳の色って、変えられるかな。紫色とか?」

『了解です』
 ラ・サの瞳が、グリーンからパープルへと変化して行く。

「髪が白ならさ。肌は、ココア色とか良いんじゃない?」
「ココア色の肌か。どう、出来る?」

『問題ありません』
 パレアナのキメの細かい肌が、綺麗なココア色へと変化した。
純白のお下げを背中に垂らし、ココア色の肌に紫色の瞳をした少女が完成する。

「こうして見ると、もうパレアナとは別人だね」
「そうじゃな。して、名前はなんとする?」
「ここまで変っちゃうと、パレアナでもラ・サでも無いかも」

「じゃあ、パテラでいいかな?」
「ご主人サマは、相変わらずテキトーに決めるのォ」
「ダーリン、もう少し考えた方が……」

『わかりました。この姿のときは、パテラと名乗ります』
 ルーシェリアとスプラの心配をよそに、パテラはあっさりと納得する。

「ちなみにパテラは、重機構天使(メタリエル)と呼ばれる種族じゃったの。天使と言うのであれば、羽根はあるのかえ?」
「どうだろ。パテラ、キミに羽根ってある?」

『もちろん、ございます』
 パテラは、背中から2枚の金属の翼を出した。

「アレ、2枚なんだね。トゥーラ・ンは、6枚だったのに」
『わたしは、トゥーラ・ン様に従属する者。羽根は、2枚との制約がございます』

「なるホド。天使って言っても、色々と階級があるんだな」
 舞人は、腕を組んで納得する。

「ところでパテラって、強いのかな?」
「どうじゃろうな。ご主人サマよ、聞いてはくれぬか?」

「わかったよ。キミって、戦えるの。もし戦えるなら、どれくらい強いのかな?」
『わたくしは、サポートタイプのメタリエルですが、戦闘もある程度はこなせます。少なくとも、メガトン・ギガンティックスよりは強いかと』

「メガトン・ギガンティックスとは、もしや……」
「アト・ラティアの宮殿地下に居た、大きな巨人のコトなんじゃない?」

「そ、そうなの?」
『はい、その通りです』
 純白の髪の少女は、ゆっくりと頷いた。

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