ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

この世界から先生は要らなくなりました。   第07章・第08話

f:id:eitihinomoto:20200806163558p:plain

カオスMAXな寝室

 スケジュール管理が、しっかりとされているのだろう。
アイドルとしての道を歩み始めた少女たちも全員、午後の授業までには戻って来ていた。

 しばらくはアイドルとなった生徒たちもやる気があり、何の問題も無く時が流れるかに思われた。
けれども1週間が経過した頃には、問題が出始める。

「アロア、次の問題を答えられるか?」
 ボクは、グラマラスな双子姉妹の姉に問いかけたが、返事すら返って来ない。

「アロアとメロエ、午前中はグラビアの撮影があったからさ。疲れて寝ちゃってるんだよ」
「まったく、仕方の無いヤツらだな。レノン、替わりに答えてくれ」
「へ、アタシ……いやァ、ちょっと……」

「相変わらず、歴史は苦手だな。メリー、レノンに正しい答えを……」
「あ、メリーも寝ちゃってる。昨日からずっとスタジオで、デビュー曲の収録があったみたい」
 机に突っ伏して眠る、教師を目指す少女メリー。

「未来の教師が居眠りとは、困ったモノだな。ライア、キミが答えて……」
「ライアさんも、寝ちゃってるのです」
 アリスが、か細い声で言った。

「ライア、キミまでもが……これじゃ、まともな授業にならんぞ」
 焦燥感に駆られたボクは、天空教室を見渡す。
起きていたのは、アイドルを選ばなかったレノンたちだけで、他は全員が夢の中だ。

『まったく、人間と言う生き物は不便ですわね』
『睡眠などと言う行為をしなければ、精神を維持できないだなんて不便極まりないです』
 2つの机に置かれた、レアラとピオラの2体の人形が言った。

「どうやらキミたちには、睡眠というシステムは備わっていない様だな?」
 彼女たちの机には、星のような髪の双子姉妹が、気持ちよさそうに眠っている。

『いえ、ヴァーチャル空間のわたし達には、ちゃんと備わっているんです』
『ですがこの小さな身体には、睡眠を再現する能力が無いみたいですね』
「つまりキミたちも、眠いは眠いと?」

『ええ……そうですね』
『とても……眠いです……』
 そう言うと2体の人形は、機能を停止する。

「ああ、レアラとピオラまで寝ちゃったわ。先生、どうする?」
「どうするって、ユミア。これじゃ授業にもならんからな。せめてボクの授業の時だけでも、寝室で寝かせてやれば、他の先生の授業には起きていられるだろう」

 ボクは、最前列に座って寝ていたライアを抱えた。
よほど疲れているのか、ボクに抱えられても起きずに眠り続ける。

「アハ、ライアのパンツ丸見えだ」
「そんなコトよりレノン、寝室のドアを開けてくれないか」

「へ……いいケド……入っちゃうの?」
「彼女たちを寝かせたら、直ぐに出るから問題は無い……よ!?」

 寝室に足を踏み入れると、そこはとんでも無い有り様だった。
枕やシーツは乱れ、床やベッドの上には可愛らしい下着が散乱している。
生理用品やその袋までもが、無造作に置いてあった。

「こ……これは、なんと言うカオスMAXな寝室だ!?」
「前は、こんなんじゃ無かったのよ。早くライアを降ろして、出て行って!」
「わ、わかったよ、ユミア!?」

 ボクは何度も生徒を抱え、教室と寝室を往復する。
なんとか全員を運び終えたときには、授業の半分が終わっていた。

「先生、これからどうすんの?」
「みんな、居なくなっちゃったのです」
 レノンとアリスの周りには、ユミアとクララしか居らず、教室の机の殆どが空いていた。

「ユミアとクララは、自習をして置いてくれ。幸いにも教室で1番成績の悪い2人は、アイドルにならずに残ってくれた。ボクはみっちりと、彼女たちに勉強を教えるから」

「そ、そんなァ。とばっちりだよォ!」
「ひぃ~ん、大変なコトになったのですゥ!?」
 それからボクは、2人にマンツーマンでレッスンを施した。

 前へ   目次   次へ