ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第05章・57話

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1000年後のトロイア戦争~エピローグ

 千年後の宇宙を揺るがす、イーピゲネイアの反乱は終わった。

 人間の指導者も、アーキテクターの煽動者も、宇宙の過彼方へと消え去る。
パトロクロスに残された人々も、反乱に加わったアーキテクターたちも、呆然自失となっていた。

「街の状況は、どうなっている?」
『はい艦長。数日以内に、グリーク・インフレイム社による次期会長の選挙が行われ、指導者を決めるとのコトです』

「まったく悠長なこったぜ。こっちはまだ、反乱したアーキテクターの鎮圧をしてるってのによ」
「プリズナー、ボヤかない。この街の反乱の鎮圧は、もう直ぐ終わるでしょ」
「まだ、メノイティオスの方も残ってんだろ。ヤレヤレだぜ」

 小惑星パトロクロスには、ほぼ同等の大きさの衛星が存在し、そこにも同様に街が広がっている。
暴動は、衛星メノイティオスでも発生していた。

「メノイティオスの反乱は、真央たちに出てもらっているから心配ない。そっちにはアマゾネスたちを向かわせた。彼女たちと合流してくれ」
「マジか。だが、こっちの反乱はほぼ終わってんぜ」

「それなら街の治安確保はアマゾネスたちに任せて、軌道エレベーターで真央たちの応援に回ってくれるか?」
 軌道エレベーターは小惑星の内部から、700キロ離れた衛星にまで伸びていた。

「了解よ、艦長。さっさと行くわよ、プリズナー」
「ケッ、余計なコト言っちまったぜ」
「では、後は我々が引き継ごう」

「どうやらヒュッポリュテーさんたちと、合流を果たせたみたいだな」
 ボクは、艦長の椅子にドカッと腰を降ろした。

「ね~え~、パ~パァ」
「あんなヤツらより、わたしたちのが役に立つよ」
「どうしてわたしたちは、行っちゃダメなのさ」

 ボクの周りには、様々な髪の色や肌の色をした60人もの少女が、纏わり付いていた。
彼女たちは色々な方法で、ボクの気を引こうとしている。

「お前たちは、十分に活躍してくれただろ。それに10歳の女の子に、危険な地域で生身の戦闘をさせるワケには行かないよ」
 ボクと黒乃の遺伝的娘である彼女たちウィッチ・レイダーは、見た目10歳程度の女の子なのだ。

「もう、パパったら過保護なんだからぁ!」
「アイツらだって、似たようなモンじゃんか!」
「あ~あ。マニプュレート・プレイシィンガーが壊れてなきゃなぁ」

 ボクたちとの戦闘で、宇宙の藻屑となった24人のアマゾネスたち。
彼女たちは、イーピゲネイアの元で新たなる身体を得て、無人機を操り反乱に加わっていた。

「ペンテシレイアさんや、ヒュッポリュテーさんたちは、見た感じ14~5歳くらいじゃないか。それに中身は、ちゃんとした大人の女性なんだし」

「わ、わたしたちだって、大人だモン!」
「大人だモンなんて言う大人が、どこにいる?」
「パパにイジワル、ベ~だ!」

『艦長、艦隊の再編が完了致しました』
 ボクが娘たちから嫌われていると、優秀なフォログラムが言った。

「速いな、ヴェル。どう言った内容になってる?」
『ギリシャ群、トロヤ群それぞれの勢力の艦艇を、2個艦隊ずつMVSクロノ・カイロスの傘下に配し、残った艦艇でやはり2個艦隊ずつを編成し、それぞれの領域用に配備させる予定です』

「ギリシャ群の小惑星帯でも、似たような反乱が起きていたんだろ?」
『残念ながら、そちらはまだ鎮圧されておりません』
「過去形にするのは、間違いか。会長のアキレウスはどうなっている?」

『反乱したアーキテクターによって、殺害されました』
「ヤレヤレ、英雄の名を冠しているのに、呆気ない最期だな」

 アキレウス=アイアコス会長は、一度モニター越しに見ただけではあったが、人間の尊大さを象徴するかのような人物だった。

『現在、ギリシャ群での反乱は、かなりの規模に拡大しており、所属する小惑星帯の67パーセントがアーキテクター側に付いております』
「ギリシャ群に当到着するまでに、ゼーレシオンやアフォロ・ヴェーナーの修理は可能か?」

「ゼーレシオンのみ、可能となります』
「またおじいちゃんに、頑張ってもらわないとですね」
「気が重いよ、セノン……」

 その日の内に、小惑星パトロクロスとその衛星の反乱は鎮圧される。
MVSクロノ・カイロスを中心とした艦隊は、トロヤ群全域の反乱鎮圧に向い、それが完全に収束するのに3日を要した。

「これから、ギリシャ群の反乱鎮圧に向かう。悪いがみんな、もう少し付き合ってくれ」
 その後ボクたちは、ギリシャ群までの長い宇宙距離を移動し、主星アキレウスに到着する。
ギリシャ群では、明確な首謀者の居ない反乱が、広大過ぎる小惑星帯のあちこちで起きていた。

 アーキテクターたちの反乱が、完全に終結するまでに1ヵ月の時を費やした。

 

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