ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第05章・38話

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女性の生殖能力

「ど、どうして、ぺンシレイアさんたちが、ここに!?」

 ペンテシレイアと、彼女に率いられた12人のアマゾネスたち。

「そ、そそ、それに、その格好!?」
 彼女たちは皆、金色に縁どられた黒のビキニアーマーを身に着けている。
けれども豊満なバストも、大きなヒップも殆ど隠せていない状態だった。

「もう、どこ見てるんですか、おじいちゃん!」
「だ、だって、いきなり大人の女性が大勢、あんな姿で出て来られたんじゃ」

「女性じゃ無くて、女性型アーキテクターが正解だぜ」
「人間の女性を、模してるだけ……」
「お尻もオッパイも、作り物なんだからね!」

 3人のオペレーター娘も、不機嫌そうにボクを睨んでいる。

「た、確かにアーキテクターは、機械の身体だモンな。どんなに美しくたって、マネキンやフィギュアとは結婚できないからな」

「機械の身体で、悪かったわね、艦長。何なら、ご自分で飛んでみる?」
「うわあ、ゴメンなさいッ!」
 『あちらを立てればこちらが立たず』だった。

「どうやら人間の娘たちは、アーキテクターの美貌に嫉妬している様ですね」
 美しい金色の髪を靡かせた少女が、クスリと笑う。

「ですが、わたくしたちの創造主であるアガメムノンやその一族の人間は、この身体に人間の女性の生殖機能も与えている様ですね」

「それって、人間との間に子供を創れるってコトか?」
「わたくしやアマゾネスたちの身体の構造を見るに、恐らくは可能でしょう」
 イーピゲネイアは、まるで他人事のように言った。

「人工子宮が存在する現在、アーキテクターに生殖機能を持たせる意味があったのか解りませんが」

「意味か。それなら、予想くらいはできるかな」
「ええ、なんなんです、おじいちゃん!?」

「会ったことも無いケド、アガメムノン会長は、自身の名前の由来にもなった小惑星アガメムノンで、ギリシャ群からこのトロヤ群への大遠征を果たしたんだったよな」
「それが、どうしたんですか?」

「大遠征は、成功するとも限らない。軌道計算をミスれば、宇宙の果てに小惑星ごと飛ばされる可能性もあったハズだ。そうなった場合、小惑星単体で種の存続をする必要に迫られる」

「でも、アガメムノンクラスの小惑星なら、人工子宮は設置されてますよ」
「それが、何時まで機能するかは解からないだろ」
「そっか。宇宙の果てに飛ばされちゃったら、エネルギー不足で停止しちゃうかも」

「つまり、わたくし達の身体は、人工子宮が破壊された時のバックアップというワケですか」
「人間は、男だけじゃ生殖できない。でも女性なら、精子さえあれば子供を産める。男本人は、死んでいたって構わないからね」

「女性の子供を生める能力って、実はけっこうスゴイのかもです」
 織田 信長も、イエス・キリストも、どんな偉人や聖人であっても、全ては女性から生まれたのだ。
人工子宮が存在する未来にあっては、その限りでは無いが。

「フッ……その考えはまさに、我ら『アマゾネス』の生きざまそのものですね」
 ペンテシレイアが、寂しそうに微笑んだ。

「言われてみればそうだぜ。神話のアマゾネスは、女性だけの部族」
「子孫を残す時だけ、強そうな男を引き入れて子供を生む……」
「生まれた子が女だった場合育て、男だったら殺しちゃうんだよね?」

「ボクの想像に過ぎないが、小惑星アガメムノンの大遠征は、人類を他の星系に運ぶための、壮大な実験だったんじゃないかな」

「その可能性は、大いにあるわね」
 愛の女神の名を冠する、アーキテクターが言った。

「群雲 宇宙斗……千年前の人間と侮っておりましたが、アーキテクター無しでは何もできない今の人類よりも、遥かに有能なのかも知れませんね」
 イーピゲネイアが、手に光の矢をつがえる。

「ですが、既に賽は投げられました。わたくし達アーキテクターの反乱は、既に始まっているのです」
 それは人類と、人類が生みだしたアーキテクターによる、哀しい戦いの始まりでもあった。

 

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