ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第05章・32話

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狩りの女神

「そんな……ペンテシレイアさんが、アーキテクター!?」

「彼女と、その部下である十二人のアマゾネス全員が、アーキテクターなのです」

「それじゃあ、クロニーさんも、ポレムーサさんも、デリノエさんも、エヴァンドレさんも、アンタンドレさんも、ブレムサさんも、ヒポトーさんも、ハーモトーさんも、アルシビーさんも、デリマチェアさんも、アンティブロテさんも、サーモドーサさんも、アーキテクターなんですかぁ!」

 アマゾネス全員の名前を、一人ずつ正確に上げるセノン。

「彼女たちだけではありません。ヒュッポリュテー率いる、ギリシャ群のアマゾネスたち……」
 金髪の少女のターコイズブルーの瞳は、宇宙空間のアマゾネスたちを映す。

「名を挙げるなら、アエラ、フィリピス、プロトホー、エリボエア、セラエノ、エウリビア、フィービー、デイアニラ、アステリア、マルぺ、テクメッサ、アルぺプの全員がアーキテクター。それにパトロクロスの住人に紛れて、大勢のアーキテクターが暮らしていますよ」

「ではやはり、ギリシャ群がこのトロヤ群を、占領しようとしているのでは……」
 デイフォボス代表が言った。

「まだ解らないのですか。そうですね、ギリシャ群でも、このパトロクロスと同じコトが起きていると言えば、解っていただけるでしょうか?」

「そ、それはつまり、アーキテクターの反乱が、ギリシャ群の小惑星帯でも起こっていると?」
「ええ。ようやく貴方の頭でも、理解できたかしら」
 黒き英雄に向けられた、イーピゲネイアの両腕から閃光が迸(ほどばし)る。

「『ペレアイホヌア』ッ!!」
 ハウメアが叫んだ。
彼女の両手には巨大な手袋がはめられていて、攻撃をはじき返す。

「それがキミのチューナーか、ハウメア」
「まあね。これで何とかなるか解らないケド、危ないから下がってて」
 ハウメアが茶色のドレッドヘアを振り乱し、攻勢に転じる。

「お願いだから、何とかなってェ!」
 太い指のそれぞれから火炎弾を打ち出し、弾幕を形成する褐色の肌の少女。

「これしきの攻撃、わたくしには……ム?」
「今だ、指令室から逃げて!」
 弾幕を維持しながら、後退するハウメア。

「しゃ~なしだな。ここは引くとするぜ」
 真央のカエサル・ナックラーが、ボクたちが入って来た入り口扉を破壊する。

「軌道エレベーターを破壊して、そこから下に降りよう」
「破壊しなくても、乗っていけばいいんじゃないですか」
 隣を走る、セノンが言った。

「彼女が言っていただろ。この小惑星の全ては、AIやアーキテクターが支配しているんだ」
「エレベーターなんかに乗ったら、閉じ込められちゃうってコトですかぁ!?」

「オッラァ、唸れカエサル!!」
 真央の左フックが、エレベータの分厚い扉を破壊する。

「ここは小惑星の中央だ。少しは降りられるだろう」
「成る程。ここは本来、無重力の領域。わたしのチューナーで、水のロープを創れば……」
 ヴァルナのアクア・エクスキュートが、エレベーターの壁面に固定された。

「よし、これで脱出できるな。だけど、街に降りるのは危険……」
 その時、閃光が煌めく。

「ぐわあッ!?」
 ボクの右頬から、鮮血が噴き出した。

「おじいちゃんッ!?」
「大丈夫か、艦長!」

「ああ……なんとか……な」
 ボクは血の滴る頬を押さえながら、来た方向を見る。

「そう易々と、逃げ切れるとでも思ったのですか?」
 破壊されているとは言え、分厚い金属の扉を易々と捻じ切るイーピゲネイア。

「わたくしたちアーキテクターは、人間の手によって生み出されました。ですが、主と敬愛した人間は、余りに愚かだったのです」
 爆炎の中から迫りくる、金髪の女神。

「人間が神を冒涜し続けたように、アーキテクターも人間を『狩る』としましょう……」

 

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