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ある意味勇者の魔王征伐~第6章・10話

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サタナトスVS舞人

 舞人が憧れた『赤い髪の英雄』は、今まさに大勢の人々が暮らす、ニャ・ヤーゴの街を破壊しようとしていた。

「人間どもの希望を、その両肩に背負った英雄が、魔王と化し人間どもを焼く尽くすのさ。どうだい……これホド面白い余興って、他にないだろう?」
 天使の如く純粋な微笑みを浮かべる、サタナトス。

「そんなコトは、させない! ボクの憧れた英雄は、太陽のように温かく人を惹きつけるから『英雄』なんだ!」
 勇ましく、ガラクタ剣を構える舞人。

「ヤレヤレ……キミはどこまで愚かなんだい。絶対的な強さを誇るシャロリューク=シュタインベルグが、魔王と化しているんだ。キミの能力で、伏防げるホド甘い炎じゃないと思うケド?」

 舞人の前で渦を巻く巨大な炎のトルネードが、サタナトスの言葉を裏付ける。

「聞いてくれ、シャロリュークさん! ボクは、あなたの背中に憧れた。あなたみたいに、カッコ良くなりたかった。あなたみたいに、大ぜいの人たちの喝さいを浴びたかった!」
 蒼髪のボサボサ頭の少年は、有りっ丈の力を『ジェネティキャリパー』に込める。

「アハハハ、この後におよんで英雄に命乞いかい? だけどムダさ。彼の意識はもう無いんだ。このボクの剣、『プート・サタナティス』によってね」

 紅き魔物が、真っ白に輝く灼熱の魔弾を放った。
「ご主人サマ、逃げるのじゃ!!?」
白く透き通った手を伸ばす、ルーシェリア。

「シャロリュークさんを、『魔王』になんてさせるものかあぁぁぁぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!」

 少年の叫びもろとも、煌めく超高熱の光がすべてを飲み込んだ。

「……ご、ご主人サマァァァァァーーーーッ!!?」
 漆黒の髪をした少女の、悲痛な叫びも完全に爆音にかき消される。

 地面や岩盤をも蒸発させる、真っ白な光の熱風が辺り一面を焼き尽くす。
岩石の混じった土煙が霧のように辺りを覆い、丸くくり抜かれた地上に干上がった川の水が流れ込んだ。

「バ、バカな……!? 灼熱の炎が街を襲わないだと?」
 宙を舞いながらも、驚きを隠せないサタナトス。
それどころか、光の炎の一部が金髪の少年を襲っていた。

「このボクに傷を負わせ……なお且つ、あの攻撃を防ぎ切ったと言うのかッ!?」
 巻き上げられた土砂や岩石が、バラバラと舞い落ちる先には、地面に横たわる少年と傍らに立つ少女の姿があった。

「ど、どういうコトだ。真っ白な光の渦が……段々と小さくなっていく!?」
 消し飛ばされた左半身を押さえながら、ルーシェリアに問いかける。

「まったく……ご主人サマは、なんと言う無茶をするんじゃ……」
 ルーシェリアは血塗れの少年の頭を、自らの膝枕に乗せ汚れた額を拭く。

「ど、どこへ行ったんだ……赤毛の英雄。いや、赤毛の破壊神は!!?」
「そんなモノは、もうどこにもおらんのじゃ」
「お前、なにを言って……!!?」

 驚きの表情を浮かべるサタナトスの瞳に映ったのは、赤い髪の少女の姿だった。
少女は全裸で、魔王シャロリュークがいた場所に横たわっている。

「ああ、そうじゃとも。お前の剣が、人を魔王へと変えてしまう能力であれば、ご主人サマの剣はな……魔王を女の子に変えてしまうのじゃ!」
 ルーシェリアは、自らの自慢のようにそう答えた。

 彼女の言葉には、『もし、この青髪の少年に手出しをすれば、全力を持って相手をする』と言う気迫が込められており、傷を負った金髪の少年は手を出すのをためらう。

「フッ……まあいいさ。計画通りでは無かったが、これで『赤毛の英雄』は失われたんだ。完璧なハズのボクの計画に、狂いが出てしまったのは腹立たしいケドね」

 サタナトスはそう吐き捨てると、蜃気楼の剣士から奪った幻剣・『バクウ・ブラナティス』で『時空の扉』を創って、その中へと消え去った。

「ヤレヤレ……じゃのォ。何とか、行ってくれたか?」
 実際のところ、ルーシェリアに戦う力など殆ど残されてはいなかった。

「ご主人サマよ、カッコ良かったぞ。まあ、少しだけじゃが……な」
 少女は、全ての力を出し尽くして気を失った少年の額に、軽く口付けをする。

「しかしのォ……ご主人サマよ。これからどうするのじゃ? 人間どもの希望の象徴である赤毛の英雄を、女の子に変えてしもうて」

 漆黒の髪の少女が目線を送った先には、全裸の『紅い髪の少女』が横たわっていた。

 

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