ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第13章・111話

キャットファイトの終幕

「お前ら、大丈夫か!?」
 ティンギスが、倒れたイオ・シル、イオ・セル、イオ・ソルの元へと駆け寄る。

「残念だったね。アタシらの縮地は、剣に限らず使えるのさ。この飛刀でもね」
 グリィ・ネとズリィ・ネが、ラウンドシールドの裏側に同心円状に並んだ飛刀を、ドレッドヘアの船長に向けて投げた。

「グッ!」
 ティンギスはヒーターシールドを構えるが、何本かの飛刀はそれをすり抜ける。
けれども真っ黒なプレートメイルが、飛刀を弾き飛ばした。

「チッ! 飛刀じゃ、プレートメイルは抜けないか」
「マズいよ、グリィ・ネ。他のヤツらが、攻めて来る!」
「なんだって!?」

 グリィ・ネが眼を向けると、残った2人の船長の構えた盾の隙間から、6人の少女たちが飛び出して来ており、攻撃を開始する。

「よくもイオ・シルたちを、やってくれたね!」
「今度は、アタシらが相手だ」
「イオ・シルたちに、トドメは刺させない」

 スラ・ビシャ、スラ・ビチャ、スラ・ビニャが、両腕に持ったタバールと呼ばれる月形の刃をした戦斧で、グリィ・ネ1人に襲い掛かった。

「ラビ・リンス帝国の尖兵でも、仲間のコトを気にかけるのかい。でも死んで行った大勢の仲間のためにも、死んで貰うよ!」
 ラウンドシールドで攻撃を受け流し、曲刀で応戦するグリィ・ネ。

「縮地の隙を、与えなければ……」
「お前など、どうと言うコトは無い」
「我らが攻めに、いつまで耐えられる」

 アイボリーのボブヘアに茶色い肌、若草色の瞳をした3人の少女は、軽業師のように宙に舞い、変則的な攻撃でグリィ・ネを翻弄(ほんろう)する。
黄金の胸当てに纏(まと)った水色の羽衣と、水色のミニスカートがヒラヒラと揺れた。

「どうだい、ルスピナ。何とかなりそうか?」
 同郷の少女に、心配そうな顔を向けるティンギス。

「ウン、だいじょうぶ。飛刀の何本かが急所に刺さってるケド、防護の魔法である程度防げてる」
 イオ・シルたちの柔肌に刺さった飛刀を、1本1本丁寧に取り除きながら、水の回復魔法で傷口を癒(いや)すルスピナ。

「こんなコトならアタシらも、もっとサポートするべきだったね。でも、これ以上はやらせないよ」
 ウティカも、風の魔法で船長たちの周囲の防御を固めながら、戦況を伺っていた。

「コイツら、小っこいクセに攻撃がハンパ無いよ!」
 ロウ・ミシャ、ロウ・ミチャ、ロウ・ミニャのタバールの攻撃が、ズリィ・ネのラウンドシールドを跳ね飛ばす。

「我らとて、アステリア様に鍛えられたのでな」
「見くびってもらっては、困る!」
「反乱分子如きに、遅れを取るモノでは無い」

 バイオレット色のマッシュルームヘアに茶色い肌、オレンジ色の瞳の少女たちは、ズリィ・ネを闘技場の壁際に追い詰めた。

「クッ!」
 苦し紛(まぎ)れに飛刀を投げる オレンジ色の短髪に小麦色の肌をした少女。

「お前たちの縮地は、僅かな時間を要する」
「縮地で無い飛刀など、簡単に避けられるのだ」
「覚悟せよ!」

 黒い羽衣に黄金の胸当て、黒いミニスカートの3人の少女は、舞い踊るかのような攻撃で、ズリィ・ネの両腕と腰にタバールを打ち込んだ。

「ギャアアァァ!」
 悲鳴を上げ、倒れる少女。

「アステ姉さまの、教えでな」
「女の顔は、傷付けない」
「慈悲深き姉さまに、感謝するのだな」

 戦いを終えらロウ・ミシャたちが、視線を闘技場の別の場所へと向けた。

「そっちも、終わったみたいだね」
「こっちも、今カタが着いたところだ」
「イオ・シルたちも、ルスピナ姉さまに救われたみたい」

 スラ・ビシャ、スラ・ビチャ、スラ・ビニャの足元にも、重傷を負ったグリィ・ネが倒れている。

「お主らも、なかなかやるでは無いか。感心じゃの」
 闘技場の上空から、イノシシの衣を纏った少女を抱えた、ルーシェリアが舞い降りて来た。

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