ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第9章・23話

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死の天使

「どうしたの、ケイダン。3人は無事なんでしょ。村で元気に、暮らしているのよね?」
「……ア、アイツらは……」
 質問を続ける少女の顔が、段々と蒼ざめた。

「ねえ、何とか言ってよ!」
 けれども追及を続けるホド、少年は顔を大きく俯かせる。

「マルクも、キノも、ハンスも、死んだんだよ」
「ケイダンは、道案内として生かしてやっているだけだべ」
 村長の命令でラディオに付き従っていた、2人の村人が言った。

「ウソ……マルクたちが死んだなんて、ウソよね、ケイダン!?」
 少女は少年の胸倉を掴むものの、少年は力なく崩れる。

「本当さ。アイツらは、モレクスさまに生贄として捧げられただ」
「飢饉にゃ、大して効果も無かったがよ」

「お前たち、忌まわしき生贄の儀式を行ったのか!」
 ラディオが、眼を見開いた。

「ど、どうせウチの村にゃ、孤児まで食わせるだけの食料なんてねえ」
「死ぬのが早いか遅いかの、違いだべ」

「だからって、生きたまま焼き殺して良いって言うの……」
 蒼い髪の少女の瞳が、ピンク色に染まり始める。
「マルクも、キノも、ハンスも、どんな大罪を犯したって言うのよォ!」

「アイツらは、お前たち兄妹の手先になって村に潜入して……」
「食糧庫の戸を開いてバッタを入れ、家に火をかけやがったべ」

「な……なにを、言って?」

「それに、マルクが全て白状しただよ」
「作物を食い荒らしているバッタも、全てはお前たち兄妹が操っているってよぉ」

「白状したって……そんなのウソに決まっているじゃない!」
 ラディオは、アズリーサの中で魔力が渦巻いているのに気付く。

「この娘、オラたちをウソつき呼ばわりするべか?」
「礫の砂漠に、オオカミの骨がたくさん転がってやがった」
「ありゃあ、誰の仕業だ。お前の兄貴がやったんじゃろ」

「に、兄さんを、どうするつもり……」
「フン、簡単なコトだべ」
 アズリーサの異変に気付かない、村人。

「捕まえて、モレクスさまに捧げてや……る……だ?」
 激痛を感じ胸元を見ると、身体の真ん中に風穴が開いている。

「……ああああぁぁぁ、なん……!?」
 彼は、大量の血を吐き倒れた。

「うわあぁぁ、ば、化けも……グバァッ!?」
 もう1人も、顔の中心を蒼い髪の針で突き刺され、絶命する。

「ヒイイィ、やはりこの娘……」
「魔王の血を、引いてやがったァ!」
 目を血走らせながら、それぞれの武器を身構える兵士たち。

「く、来るな、化け物ォォォ!?」
 怯えた視線の先に立つ、ピンク色に目を光らせた少女の背中から、6枚の羽根が生えた。

「あなたたちも、兄さんを傷つけようと言うの?」
「ヒエェ、殺されるゥ!」
「助けてくれェーーー!」

 ラディオとケイダンを置き去りにして、兵士たちは一目散に逃げだす。
けれどもアズリーサの蒼い髪が、針の様に鋭く尖って兵士たちの背中を貫いた。

「うああ、ア、アズリーサ!?」
 道案内の少年の顔見知りの少女の、束ねられた髪の毛先からは、ポタポタと血が滴っている。

「これは……やはり、討たねばならぬのか」
 蜃気楼の剣士と謳われた、ムハー・アブデル・ラディオ。
ケイダンが落として砂に刺さっていた、自らの剣を抜く。

「マホ・メディアの子であるならば、出来れば逃がしてやろうと思っていたが……残念だ」
 アズリーサの髪による攻撃を、剣でいなしながら言った。

「フゥウウゥゥ、兄さんの敵……死んで」
 本来の彼女ではない蒼い髪の少女も、リザードマンを屠った大鎌を手にする。

 怯える少年の目の前で、2人の武器が何度も交差した。
砂は舞い上がり、オアシスも礫の砂漠も越え、砂嵐となってキャス・ギアの街を吹き抜ける。

「ど、どうしてお前が、ここに……!?」
 街の宿屋の一室で、谷間の村の村長が何かに恐怖していた。

「それはボクの台詞だよ、村長。なんでお前が、この街に居る?」
 金髪の少年が問う。

「無論、お前たち兄妹を討つためよ、サタナトス。既に凄腕の剣士が、オアシスへと向かっておるわ」

「なん……だって?」
 少年の額から、汗が滴った。

 

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