ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

キング・オブ・サッカー・第10章・EP012

2人の高校生と動画編集2

「日高グループが出て来たら、なんかマズいのか?」
 動画製作会社のパソコンデスクに座った、真っ黒に日焼けした高校生が、社長に質問した。

「アホやな、お前は。相手は、日本を代表する芸能プロダクションやで。ウチなんか、比べモンにならんくらい影響力があるんや」
 金髪ドレッドヘアの高校生が、ツッコミを入れる。

「本来であれば、サッカー界期待の新星・倉崎 世叛がプロデュースするチームとして、デッドエンド・ボーイズを売り出す予定だったのですがね。金刺くんの言う通り、日高グループがプロデュースする3チームに、完全に話題をかっさらわれてしまいました」

 メガネの社長が、ため息交じりに言った。

「よ~するに、当てが外れたってコトか」
「デッドエンド・ボーイズも、絡んでんで。他人ごとみたいに、言うなや!」

「まあまあ、金刺くん。とは言え黒浪くんの言う通り、当てが外れたのも事実です」

「ですよね、社長。正直、相手が悪過ぎますって」
 アニメキャラのプリントされたシャツを着た、太った社員が同調する。

「ウチは、動画制作の下請けや、ホームページ制作が主な業務でした」
「でも、独自コンテンツを持ちたくて、デッドエンド・ボーイズと契約したんです」
「そんな矢先に、まさか日高グループが出て来るなんて……」

 似たファッションセンスの他の社員たちも、弱気な意見を出した。

「ホンマ、スマンなあ、佐藤さん」
「いえいえ、金刺くんやデッドエンド・ボーイズに、落ち度はありません。ですが、サーフィス・サーフィンズの社長として、なにかしら手を打たないと……」

「そうかなあ。オレさまとしては、そんなに悪い状況じゃ無いと思うケド」
 あっけらかんとした顔の、真っ黒に日焼けした高校生。

「クロ、お前まだ状況が理解出来んのか。ホンマ、アホやな」
 呆れ果てる、金髪ドレッドヘアの高校生。

「だってさ。相手はスッゲエ強豪なんだぜ。しかも、3チームも居るし」
「せやから、それが最悪な状況って解れヘンのか!」

「マンガだったら、メッチャ盛り上がる場面じゃん」
 八重歯を見せてニカッと笑う、真っ黒に日焼けした高校生。

「そりゃ、マンガやアニメの話やろ。今は、現実の話を……」
「いいえ、金刺くん。マンガもアニメも、現実に存在するコンテンツですよ」
「ええ!? せやかて、佐藤さん……」

「黒浪くんの、言う通りですよ、みなさん!!」
 社長の厚淵メガネの向こうの瞳が、ギラリと輝く。

「た、確かに我々は、日高グループを前にして、つい悪い方にばかり考えが行ってました」
「ですが弱小の小さなクラブが、巨大資本をバックに優秀な選手や監督を集めたチームに立ち向かうなど、まさに少年漫画の王道です!」

「みなハン、なんでそない盛り上がっとんのや!?」
「サーフィス・サーフィンズは元々、MMORPGのギルド名であり、その時のギルメンを中心に立ち上げたのがウチでして。ですからみんな、筋金入りのアニヲタやゲームヲタクなんです」

「そない胸張って言われても……」
 周りのノリに、付いて行けない金髪ドレッドヘアの高校生。

「今までの製作動画は破棄し、少年漫画の黄金路線に変更します。萩原くん、シナリオは任せましたよ」
「任せて下さいよ、社長。2-14の惨敗のドン底感。ウオオ、アイデアが溢れ出る!」
 先ほどの太った社員が、目を真っ赤に燃やしていた。

「こうなったら選手1人1人にもっと、スポットを当てた方がイイですね」
「イヤ、それだけじゃ薄いな。日高グループのライバル選手たちも、思いっきり取り上げようぜ」
「ウチのデッドエンド・ボーイズのホームページ、替えてイイっスか?」

「モチロンですよ。いやはや、これだから動画制作は止められませんな。アッハッハッハ」
 厚淵メガネの社長は、上機嫌に笑った。

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