ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第08章・79話

最果ての激戦4

「巨大なハサミが、向って来るよ!」
 群雲 美宇宙が、皆に伝える。

 準惑星エリスの公転軌道付近の宙域で、ツィツィ・ミーメと交戦するボクたち。
その下半身が分離し、無数の巨大なハサミとなってボクたちを襲った。

「1ケ所に集まっていては、不利だ!」
「仕方ねェ。散らばるぞ!」
「やむを得ません」

 固まっていたゼーレシオン、バル・クォーダ、テオ・フラストーは、3方向に散開する。
けれどもそれは、敵の思う壺だった。

「クッソ! Q・vic(キュー・ビック)まで連帯して、攻撃して来やがる!」
 四角い立方体の切れ目から伸びた、触手から放たれるビームでの攻撃。
それをかわしながら、巨大ハサミを戦斧で粉砕するバル・クォーダ

「あッ、後ろから来てる!」
「なにィ!?」
 背中から巨大な肋骨のハサミに襲われ、激しく吹き飛ばされてしまう。

「キャアアァァーーーッ!」
「やかましい!」
「ヒドッ! それが女のコに対する扱い……って、また後ろォ!」

 吹き飛んだ先に、下半身を切り離したツィツィ・ミーメが出現した。

「やはり、各個撃破を狙って来ましたか!」
 メルクリウスさんのテオ・フラストーが、ツィツィ・ミーメ本体に攻撃を仕掛ける。
けれどもその巨体は1瞬にして消え、2体のサブスタンサーはぶつかってしまった。

「オイ、なにやってる!」
「助けようとしたんですよ。それにしても、ワープの出来てしまう相手をどうやって……」
「2人とも、ハサミが色んな方向から向かって来てるよッ!?」

 バル・クォーダと、テオ・フラストー目掛け、無数の巨大ハサミが4方8方から飛んだ。

「こんなモン、どうやって防ぎゃイイんだッ!」
 文句を吐きつつも、両腕の戦斧で巨大肋骨のハサミを破壊するプリズナー。

「ホントに、骨が折れますね」
 テオ・フラストーの両腕に装備されたガントレットから、光弾を撃ち出し迎撃するメルクリウスさん。

 けれども巨大ハサミの数はハンパ無く、直ぐに窮地に陥(おちい)りそうだった。

「フラガラッハッ!!」
 ゼーレシオンが、2機の後ろから迫っていたハサミを両断する。

「助かったぜ、艦長」
「イヤ、まだ全然助かっていない!」
 巨大ハサミの執拗(しつよう)な攻撃は、尚も続いていた。

「このままでは、ジリ貧ですね。どうにか、突破口を開かないと行けません」
「でも、攻撃が連続していて、ブリューナグさえ展開できないんです」
「なんてこった。万事休す……か」

 サブスタンサーの3人のパイロットに、少しだけ諦めの気持ちが過(よ)ぎる。
その時、ゼーレシオンの高性能アンテナが通信を捉えた。

「宇宙斗艦長、聞えるか。そちらに、援軍として無人機を送った。戦力になるか解らんが、使ってくれ」
 低い男の声が、ボクの脳内で再生される。

「どうした、宇宙斗艦長。気を抜いてっと、マジであの世行きだぞ!」
「援軍が来る。バルザック大佐が、送ってくれたんだ」
「本当ですか!?」

 ボクが答える前に、援軍が現実となって現れた。
5機の漆黒な装甲をした戦闘機が、編隊を組んでボクたちの周囲を旋回する。
巨大なハサミを、4枚の翼の下のハードポイントに装備されたミサイルで攻撃した。

「援軍か。有り難ェぜ」
「今のウチに、離脱しよう」
 ボクたちは、1旦は窮地を脱する。

「大佐のフェブ・ライザーに、似てますね」
「ええ。ですが、無人機ですか……」
 メルクリウスさんが、不安を吐露(とろ)した。

 旋回していた5機の機体が、ボクが1000年前に見ていたアニメのように、ロボットへと変形する。
赤いカメラに黒い角が伸びた頭部、4枚の漆黒の翼を持ち、両腕には機銃が装備されていた。

「なんだよ、優男。なにか、気になるコトでもあんのか?」
「忘れたのか、プリズナー。時の魔女は、無人機を操って乗っ取るんだ」
 ボクは、木星での悪夢を思い出す。

「そうだったな。最悪、アレも敵に周っちまうってコトか」
 最初は、巨大ハサミやQ・vicを攻撃していた、5機のアーキテクター。
けれども徐々に、その挙動がおかしくなって行った。

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