ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第08章・78話

最果ての激戦3

 近距離であれば、ワープが可能となったツィツィ・ミーメ。
異形の巨大サブスタンサーによる攻撃は、次第に苛烈さを増して行った。

「ど、どうするよ、宇宙斗艦長。あの巨体で、ポンポンワープされちまったら、こっちも戦いようが無ェぜ。さっさと対策を考えないと、どうにもならねェ!」
 死線をいくつも潜り抜けて来た、かつての少年兵が窮状(きゅうじょう)を訴える。

「解っているさ、プリズナー。だけど、こんなのどうやったら……」
 ゼーレシオンのフラガラッハが、ツィツィ・ミーメの巨体を斬り裂こうとした。
けれども異形のサブスタンサーは、瞬時に巨体を消す。

「うわぁ、後ろだよ。後ろにアイツが、現れた!」
「な、なんだとッ!?」
 バル・クォーダの斜め後ろに現れたツィツィ・ミーメが、プリズナーたちを襲う。

「チィィーーッ!!」
 必死に戦斧で攻撃を凌ごうとする、バル・クォーダ。
けれども無傷とは行かず、激しく弾き飛ばされた。

「プ、プリズナー!?」
「油断すんな、艦長。背後に、行ってやがる!」

「え……?」
 ゼーレシオンの触角が、背中に気配を感じる。

「グワァッ!?」
 逃げようとするも時すでに遅く、ツィツィ・ミーメの下半身であるムカデのような巨大肋骨で、後ろから羽交い絞めにされるゼーレシオン。

「どうしよう。オリジナルのボクが、捕まっちゃったよ!?」
 ボクに瓜2つな少女、群雲 美宇宙が叫んだ。

「クッ……ケツァル!」
 偶然、ゼーレシオンの背中から外れていたケツァルコアトルが、口からのレーザーでツィツィ・ミーメを攻撃する。

「よ、よし、これで何とか、脱出できる!」
 巨大肋骨から、逃げ出すゼーレシオン。

「あッ! ドラゴンが、やられちゃった!」
 代償として、ゼーレシオンはケツァルコアトルを失ってしまった。

「どうやらアイツ、徐々にオレたちの戦力を、削って行く算段らしいな」
「エエッ!? そんなの、ジリ貧じゃん!」
「だから、そうしてやがんだ」

 プリズナーと美宇宙の会話が、ゼーレシオンの巨大な触手を通じて聞こえる。

「もう、成り振り構ってられる状況じゃない。アレをやるしか……」
 ボクは、ブリューナグを撃つコトを覚悟した。

「待って下さい、宇宙斗艦長!」
 巨大な触角が、聞き覚えのある声を、ボクの脳裏に伝える。

「その声……メルクリウスさん!?」
「ええ。援軍に、駆けつけました」
 虚空の宇宙に、メルクリウスさんの水色のサブスタンサー、テオ・フラストーの姿があった。

「気を付けてください。ツィツィ・ミーメは、ワープが可能になったんです」

「了解してますよ。ボクのテオ・フラストーとて、こんな芸当くらいは出来るんです」
 両腕に装備されたガントレットから、水色の弾をいくつも射出する、テオ・フラストー。

「いつもの、エネルギー弾じゃない?」
「ええ、これは水の球です」
 水色の球は、まるで泡のようにテオ・フラストーを取り囲んだ。

 しばらくすると、泡のいくつかがいきなり割れる。

「そこです!」
 泡が弾けた方角に向け、ガントレットからエネルギー弾を発射する、テオ・フラストー。
空間からツィツィ・ミーメが現れ、その巨体に被弾した。

「やったか!」
「いいえ。テオ・フラストーのエネルギー弾の威力では、ツィツィ・ミーメの装甲は抜けません」
「だったら、どうするよ?」

「3機が、1ヶ所に固まるのです」
「ケッ! 軍師サマにしちゃあ、単純さ作戦だぜ」
「でも、効果的だ」

 ゼーレシオンとバル・クォーダは、テオ・フラストーの元に集まる。
その周囲を、水の球が取り囲んだ。

「これで、ツィツィ・ミーメがワープして来ても、事前に予測が付く」
「そう、上手く行けばイイんだがな」
 皮肉を言う、プリズナー。

「み、見て! アイツの、下半身がバラバラになってる!」
 美宇宙が、叫んだ。

「こ、これは……」
 言葉を失くす、メルクリウスさん。

 ツィツィ・ミーメの大きな肋骨で構成されたムカデのような下半身は、肋骨1つ1つのパーツに分解され、巨大なハサミとなって1斉にボクたちを攻撃して来た。

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