ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第08章・66話

地下ドッグポートの激戦

 セノーテ地下には、巨大な地下空間があり、更に下には潜水艦用の地下ドッグポートがあった。
迫り来る汚水の巨人を相手に、劣勢を強いられる2人の少女。

「ねえ、真央。巨人って、まだいっぱい居ますよね?」
 ドームの外の戦況が判らない、セノンが親友を心配する。

「ああ。だが、心配すんな。お前のお陰で、目が弱点だって解ったからな。それに上から流れて来たのは、なにも悪いモノばかりじゃねェ」

「良い目玉も、流れて来てるですか?」
 汚水の巨人の正体は、目玉だった。

 目玉を核に汚水を集め、水の巨人の姿を維持する。
その核となる目玉が、隕石によって破壊されたセノーテから、プカプカと汚水に乗って下方の地下ドッグへと流れて来ていた。

「そんなワケあるか。上の地下空間で戦ってたヤツらが、戦線を後退させて合流したんだ」
 タンガタ・マヌーでドッグ上空を飛ぶ真央が、おっとりした親友に朗報を伝える。

「み、みんな、無事なんですね。ヴァルナやハウメアも?」

「それ、こっちの台詞……」
「セノンが勝手に、ドッグに向かったんでしょうが」
 2人の友人の声が、コミュニケーションリングを通じてセノンに伝わる」

「ゴ、ゴメンなさいなのですゥ。でも、良かった……2人とも、無事で」
 安堵する、セノン。

「でも、巨人が復活してる……」
「セノーテの、天井で戦ったヤツね。しかも、こんなにたくさん増えちゃって」

「ヴァルナ、ハウメア。巨人の弱点が、目玉だって判った。目玉を、集中的に攻撃してくれ」
 タンガタ・マヌーの鋭利な翼で、巨人の目玉を切り裂いて見せる、真央。

「オオ、凄い……」
「巨人が、1瞬で汚水に元った」
 驚く、ヴァルナとハウメア。

「そう言うコトだ。雑魚の巨人は後回しにして、ドッグのドームに貼り付いてるデカいのを、先に倒したい。強力してくれ」

「うわ、デッカ……」
「了解だよ。MVSクロノ・カイロスの、オペレーター3人娘の連携を見せてあげようよ」

 真央、ヴァルナ、ハウメアの操る3機のサブスタンサーが、セノンが護るドームに貼り付いた巨人を倒すべく、行動を開始した。

「聞いたかい、みんな」
「アタシらは、ドッグポートの巨人どもをやっつけるよ!」
「狙いは目ん玉だ。気合入れな!」

 セシル、セレネ、セリスの、長女ショチケの娘3人が指示をする。

「アタシらは、上から降りて来るヤツを撃破するよ」
「大ザルや大グモどもを、なんとかする」
「巨人のコアの目玉も、流れて来たら撃っちまいな」

 マクイの娘の、マレナ、マイテ、マノラが、上層からの水の進入口に貼り付いた。
ジャガーグヘレーラーのアサルトライフルで、適時攻撃する。

「アタイらは、どうしよっか」
「そうだな。遊軍ってのを、ヤロウぜ」
「ヤバそうになったところに、駆けつけるんだな」

 末妹であるチピリの娘の、シエラ、シリカ、シーヤの3人は、姉たちのサポートに周った。

「ヴァルナ、ハウメア。このデカい巨人は目が複数ある上に、顔の水も厚みがあって最悪吸収されちまう。まずそこを、なんとかしねェと」

「了解、真央。まずは、わたしがやってみる……」
 ヴァルナのサブスタンサーであるヴァール・バルカが、水の羽衣の袖(そで)を伸ばして、巨人の背中へと近づいて行く。

「コ、コイツ……!?」
「どうした、ヴァルナ?」

「この巨人、汚水のひと際汚れた部分だけを、取り込んでる……」
「どう言うコトだ?」

「ヴァール・バルカのナノ・マシンの水でも、浄化に時間がかかる……」
 巨人の背中の、水の羽衣の触れた僅かな部分が、青い綺麗な水へと変化していた。
けれどもそれも、直ぐに汚水に紛れて消えてしまう。

「海の水を真水に変えようとしても、直ぐに海水と混じってしまうのと同じだよ、真央」
「ハウメア、お前のサブスタンサーじゃ、どうにかならないか?」

「まあ、やってみるさ。行くよ、クホオ・ネ・エヌウ!」
 溶岩のドレスを纏(まと)ったサブスタンサーが、動き出す。

 ドレスが汚水の巨人の脚に触れると、大量の水蒸気が発生して視界を悪くした。

「やったか?」
「イヤ、ダメだ。余りにも、汚水の量が多過ぎる」

 巨人の脚は、地下ドックポートの海水に浸かっており、ポートは広大な海とも繋がっていた。

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