ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第08章・57話

取り残された人たちの叫び

 真央の駆るタンガタ・マヌーは、蒼い身体から巨大な翼を広げ、長いクチバシを真っすぐに伸ばして飛行している。
クチバシの先には、クワトロテールのサブスタンサーの姿があった。

「待てって、セノン。1人で先行しちゃ、危険だ!」
 アシュピド・ケローネを追い駆ける、真央が叫んだ。

「マケマケ。セノーテから避難して来た人って、どれくらい居るんですか?」
 横に並んだタンガタ・マヌーに、セノンが問いかける。

「さあな。タブン、1万人は余裕で超えるんじゃないか」
「そ、そんなに……ほとんど、助けられていないじゃないですかァ!」
「仕方ねェだろ。アフォロ・ヴェーナーだって、載せられる人数には限度があるんだ」

 言い争う2人の前に、アフォロ・ヴェーナーが駐留していた巨大なドッグが姿を見せた。

「み、見て下さい。ドッグの水が、溢れ出てますゥ!」
「地上に、隕石の雨が降ってんだ。ココも、無傷じゃ居られないってワケか」

 地下深くの固い岩盤に掘られた洞窟に、築かれたドッグ。
そのコンクリートの床に、真黒な汚水が浸水し始めていた。

「地球に降りて来たとき、チラッと見た程度だったから、気にもして居なかったんだがよ。本来は、潜水艦なんかの海軍戦力を整備する目的で、建設された基地らしいぜ。要するに、企業国家が成立する以前の施設みてェだ」

「ホントですゥ。オンボロの潜水艦が、何隻かありますね」
「動きそうもねェし、一体いつの装備だよって古さだな」
 汚水に半分沈んだ旧式の潜水艦を横目に、真央とセノンのサブスタンサーはドッグに突入する。

 巨大なドームに覆われたドッグの内部は、数段の階層になっており、そこにセノーテから逃げ延びた人たちが押し寄せていた。

「……て、敵か!?」
「違うわ。あの機体、格納庫で見たコトあるもの」
「良かった。救援が、来てくれたのか」

 2機のサブスタンサーが、敵では無いコトを知って安堵する人々。
けれどもその安心は、一過性のモノに過ぎなかった。

「マケマケ! 放射能の水が、中にまで入って来てますゥ!」
「恐らくだが隕石の衝突で、水の浄化システムがやられちまったんだ」
 徐々に水カサを増す汚染水から、逃げるように上へと登る人たち。

「オイ、もっと上には行けねェのか?」
「なんだか気分が、悪いぜ……」
「お願いよ。せめてこのコだけでも、助けたいの!」

「放射線の数値を、見てください。こんなの浴びていたら、1日と持ちませんよ!」
「ど、どうするよ、セノン。いくらドームが大きくたって、これだけの人数を収容するにはギリギリだ。それに、水位が上昇して来てる」

 切羽(せっぱ)詰まった状況に、焦りを隠せない真央とセノン。
その間にも黒い水は、凄まじい勢いでドッグの内部に流入して来ていた。

「わたしが、なんとかします!」
「意気込みは判るケド、どうやって!?」
 タンガタ・マヌーはドームから出て、旋回しながら辺りの様子を確認した。

「わたしには、おじいちゃんが創ってくれた、アシュピド・ケローネがあります」
「お前のサブスタンサーの能力で、なんとかなるのか?」

「アシュピド・ケローネはには、決して追いつけない……」
 ドームの中央に立った、アシュピド・ケローネ。
クワトロ・テールのサブスタンサーを中心に、衝撃波のような何かが広がる。

「な、なんだ。何が起こってやがる!?」
「汚染水が、ドームの中から引いて行くぞ!」
「それに空気も、さっきまでより良くなったみたい」

 ドームに非難した人々から、再び安堵の声が聞こえた。

「よ、よかったのですゥ。これで、当面はなんとかなった……」

「セ、セノン、大変だ!」
「ど、どうしたのです、マケマケ?」
 セノンのコミュニケーションリングに、ドーム外の地下空間を旋回する真央の声が響く。

「きょ、巨人だ。コイツ、上でやっつけたハズが……どうして!?」
 それは、新たなる災いを伝える声だった。

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