ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第08章・56話

クホオ・ネ・エヌウ

「状況が最悪って、どんなだよ?」
 真央・ケイトハルト・マッケンジーが、ハウメア・カナロアアクアに問い返す。

「宇宙から地球の全域に向けて、無数の隕石が降って来ている。この国の統治者であるドス・サントス氏も、先ほど隕石の直撃を受けて、亡くなられた」

 火山の如き黒いドレスを着たサブスタンサーに乗る、ハウメアが言った。
裾(すそ)広のドレスには、マグマが流れ出した筋がいくつも走る。
黒と金色のエキゾティックな女性の顔に、頭髪は噴煙の黒い煙となっていた。

「ドス・サントスさんが、死んだってのか?」
「トゥランさんからの情報だ、間違いないだろうね」
 ハウメアは、1呼吸置いて情報を提供し続ける。

「トゥランさんは真央たちと入れ違いで、アフォロ・ヴェーナーで避難民を乗せ宇宙に飛び立って行った。だけどアフォロ・ヴェーナーと言えど、人間を乗せられる数には限度があって、ココとテル・セー・ウス号を往復するって言っていた」

「そんな悠長なコトを、やっていられるのか?」
 真央は説明を聞きながらも、地下空間に群がった敵を、タンガタ・マヌーの鋭利な翼で切り裂いた。

「どうだかね。トゥランさんだって、他に方法があるんなら、そうしているだろうよ」
 ハウメアも、自身のサブスタンサーの巨大な手から、火焔弾を発射して敵をせん滅する。

「ドッグに避難した人たちも、みんな宇宙に逃げられたワケじゃないんですね?」
「そうだよ、セノン。アフォロ・ヴェーナーの格納庫まで入れて、1000人も運べないんだ。だから何往復も……」

「わたし、ドッグに行って来ます!」
 セノンのアシュピド・ケローネが、集団から別れて、アフォロ・ヴェーナーが駐留していたドッグへと向かった。

「セノン、1人じゃ危険過ぎだ!」
 タンガタ・マヌーが、後を追いかける。

「真央まで、行っちゃった……」
「仕方ないさ、ヴァルナ。ここはわたし達で、持ちこたえよう」
 ハウメアが、言った。

「了解。わたしは、地底湖の水を浄化する……」
「だったらわたしは、クホオ・ネ・エヌウのマグマで、残った敵を焼き尽くしてやる。みんな、地底湖から離れて!」

「なんだか解らないケド、了解だよ」
「ハウメアたちに、作戦があるみたいだ」
「お前ら、ドッグの方向に撤退しな」

 合流を果たしていた、セシル、セレネ、セリスの3姉妹が、長女の娘らしく6人の妹たちに指示を飛ばすと、6人の妹たちも呼応して撤退を開始する。

「まずはわたしが、汚れた水をキレイにする……」
 ヴァルナのヴァール・バルカが、美しい水の羽衣を纏(まと)い、放射能や科学物質にまみれた汚水の地底湖に飛び込む。

「な、なんだってんだい」
「あれだけ薄汚れていた水が……」
「あっという間に、キレイになって行くよ!」

 ヴァール・バルカの活躍を見ていない、マレナ、マイテ、マノラの3姉妹が、驚きの声を上げた。
ナノ・マシンの水は、瞬(またた)く間に汚水が流れ込んで出来た地底湖を、綺麗な地下湖に変える。

「今度は、わたしの番だね。クホオ・ネ・エヌウ、行くよ!」
 ハウメアが、自身のサブスタンサーを動かすと、黒いドレスの端が地底湖の水に触れた途端、水が水蒸気となって蒸発した。

「ハウメアのサブスタンサー、なんだか火山みたいだな」
「見て。黒いドレスからマグマが流れて……」
「地底湖が、溶岩湖になっちまった!?」

 撤退を完了したシエラ、シリカ、シーヤの3姉妹も、目まぐるしく変化する地底湖の様子を、目を丸くして見ている。

 クホオ・ネ・エヌウは、黒いドレスから無限にマグマを垂れ流した。
やがてマグマは地底湖の水を全て蒸発させ、替わりに溶岩が流れ込んで溶岩湖を形成する。

 地底湖上空には、相変わらず巨大なコンドルが旋回していた。
いびつになったとは言え異次元の空からは、大グモや大ザルなどが落下して来ている。
たが、その全てがそのまま溶岩湖の溶鉱炉へと、叩き込まれて行った。

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