ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

キング・オブ・サッカー・第9章・EP018

迫られる決断

 どこまで行けるか分からないケド、ボクがボールを持ってるウチは、攻められるコトは無いんだ。
パスカットに成功したボクは、センターサークル付近からドルブルを開始する。

「させるかよッ!」
 まずはスッラさんが、ボクの進路を塞ごうとするが、1瞬だけボクの方が速く抜け出せた。

 フウ……ギリギリだったケド、なんとか抜け出せたな。
これで相手の危険地帯(バイタルエリア)に、入れ……ッ!?

「ガキが、舐めやがって。よくもオレに、恥をかかせてくれたな」
 右を向くと、そこにはネロさんの姿があった。
ネロさんは、斜め後ろからショルダーチャージをして、ボクの体勢を崩そうとする。

 ……グッ!!
なんとか踏ん張って、ボクはドリブルを続けた。
けれどもスピードが落ちて、ネロさんに周り込まれてしまう。

「なるホド。ファウルにならないくらいに身体を当てて、御剣くんのスピードを殺しドリブルを止めるとは、大したスキルです」
「ネロさんは、ファーストボランチとしての、理想的な選手と言えそうですね」

 バルガさんを警戒しながら、ネロさんの能力を評する、柴芭さんと亜紗梨(あさり )さん。

「へへッ。どうした、高校生。この程度で止まっちまうとは、まだ身体が出来てねェな」
 ネロさんが、トラッシュトークでボクを挑発した。

 でもボクって、そう言うので怒ったコト無いんだよね。
それにまだ、ボールを奪われたワケじゃない。

 ボクは、クライフターンで体の向きを変えてネロさんを外し、左サイドの紅華さんにボールを入れた。

「コ、コイツ、カイザみたいなマネを!」
 背中側を抜けるパスに、ネロさんは反応できない。
残るは……。

「今度は、渡さないぜ」
 やはりボクのパスは、紅華さんに渡る直前で、ハリアさんにカットされてしまった。

「クソッ、オレに入ればチャンスだったのに!」
 振り返って、ハリアさんからボールを奪おうとする紅華さん。

「プロの世界では、たらればを言っていては生き残って行けないぞ」
 守備のスペシャリストであるハリアさんだが、攻撃面はそれホド高く評価されてない。

「うっせえ。だったらお前から、ボールを奪ってやる!」
「キミみたいなセンスで勝負するタイプのドリブラーは、守備なんて大してできないだろう?」
「な、なんだと!」

 けれども紅華さんがボールを奪えるホド、ドリブルもキープ力も低くは無かった。

「こっちだ、ハリア!」
「おう!」
 カイザさんがフォローに入り、ボールを戻すハリアさん。

「お前に、自由にパスは出させねェ!」
 紅華さんが、カイザさんに圧力(プレッシャー)をかける。

「舐められた、モノだな」
 けれどもカイザさんは、華麗なキックフェイントで紅華さんをかわした。

「コ、コイツ、足元のテクニックもあるだと!?」
「これでもリベロなどと、呼ばれているからな。守備ラインを統率するだけが、オレの能力じゃ無いぜ」
 今度はカイザさんが、紅華さんの左サイドを抜けて攻撃参加する。

 右サイドバックのハリアさんは、カイザさんに替わって下がり、横一文字の守備ラインに加わった。

「さて、相手の10番だが……オレたちがまだ1点しか取れていないのも、あの10番が最初にバルガを抑え、次にスッラに着いたのが原因とも思えるな」

 ボクたちの左サイドでボールを奪ったカイザさんだケド、ナゼか左サイドを突破はせずに、中央に入って来る。

 こ、これって、さっきと同じシチュエーションだ!?

 相手のエースであるバルガさんを、密着マークすると言う監督の命令を無視して、ボールの出どころであるスッラさんに着いたボク。
だけどカイザさんがオーバーラップして、ゲームメイクをしてしまったら何の意味も無いんだ。

「さあ、どうする。そのままスッラに着くか、それともオレを止めに来るか?」
 カイザさんはあえて、ボクの方に近寄って来る。

 ペナルティエリアでは、ボクがマークするハズだったバルガさんを止めようと、柴芭さんと亜紗梨さんが必死に身体を張ってくれていた。

 ここは……勝負だッ!
ボクは、カイザさんを止める決断をした。

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