ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第08章・51話

真っ黒な煙

 セノーテの最下層には巨大な貯水槽があって、その下には巨大な地下空間が広がっている。
新造するセノーテ予定地にも繋がったその場所に、多くのサブスタンサーが集い、進入した時の魔女の手先と戦いを繰り広げていた。

「ヤレヤレだわ。ザコが次々に、湧いて来やがる」
「デカいコンドルも、グルグル飛び回ってるしよ」
「このままじゃ、大事なセノーテが壊されちまう」

 ジャガー・グヘレーラーに乗ったマレナ、マイテ、マノラの3姉妹。
大ザルや大サギのアーキテクターを、アサルトライフルで斉射しながら文句を言っている。

「厄介だよな、とくにあのコンドルの爆撃が!」
「ザコ敵も、空から大量投下されて来やがるしな」
「コンドルを先に潰さねェと、ラチが開かないよ」

 上空を飛び周る、巨大な黒いコンドルに向け、アサルトライフルを放つシエラ、シリカ、シーヤ。
けれども弾は届かず、巨大コンドルはセノーテの地下空間を我が物顔で旋回し続けた。

「ムダ弾を撃つな。お前らの装備じゃ、届きゃしねェだろ」
 髑髏(どくろ)の頭のサブスタンサーを駆る、プリズナーが怒鳴る。

「セノーテの防衛用アサルトライフルじゃ、届かないのはわかるんだケドさ」
「なんで天井が、あんなに高くなってんだよ」
「敵もボタボタ、落ちて来やがるし」

「知るか。時の魔女お得意の、空間転移(ワープ)ってヤツだろ。あのコンドルが、天井全体を転移空間に変えてやがるんだ」
 プリズナーは、いつにも増して苛立っていた。

「そう言えば、アタシらが引きずり込まれたセノーテの中も、異常に深かったよな」
「あの水の中に潜んでいたヤツが、空間を作り替えていたのかも知れないね」
「待って。確かオヤジたちのサブスタンサーも、セノーテの底に引き込まれたんだよな?」

 かつての3姉妹の真ん中であるマクイと、群雲 宇宙斗の娘シエラ、シリカ、シーヤ。
母親譲りの冷静さが、ある可能性を見出す。

「それってもしかして、あの異空間の空の向こうに……」
「オヤジたちが、居るかも知れないってコトか!」
「デカいコンドルが生み出した空が、オヤジたちのところの繋がってる?」

 直情型だった末妹、チピリの娘であるシエラ、シリカ、シーヤ。
彼女たちも直観的に、父親の居場所を推理した。

「なるホドな。だったら話は早いぜ。このオレが、直々に行って連れ戻して来てやる」

 巨大な鎌を持った、テスカトリポカ・バル・クォーダ。
全身に煙を纏(まと)い、敵が群がるセノーテの中心部目掛けて突進して行った。

「悔しいケド、アタシらのサブスタンサーは、飛べないからね」
「アイツに任せるしか、無いよ」
「ここは全力で、援護だ!」

 マレナ、マイテ、マノラのジャガー・グヘレーラーが、テスカトリポカ・バル・クォーダに群がる敵を、アサルトライフルで破壊する。

「どうやらアイツは、真下から異空間に侵入するみたいだ」
「アタイらも、姉キたちに負けてらんないよ」
「アイツを異空間に、入れてやるぜ」

 シエラ、シリカ、シーヤもありったけの弾を、セノーテ底の巨大空間に群がった敵へと向けた。

「コンドルが異空間を生み出してんなら、お前を倒すと異空間は消えちまうってコトだよな」
 セノーテ中央の、巨大コンドルの真下に辿り着いたプリズナーが呟く。

 真っ黒な煙が、テスカトリポカ・バル・クォーダから、竜巻の如く舞い上がった。

「な、なんだ!」
「なにが起こっている?」
「プリズナーは、無事なのか?」

 黒い煙の竜巻は、ジャガー・グヘレーラーの視界をも塞いでしまう。

 しばらくして煙が晴れると、コンドルの下に群がっていた大ザルや大グモ、大キジなどのサブスタンサーが、ほぼ壊滅していた。

「や、やったぜ。アイツのサブスタンサー、スゲェ能力を持ってやがる!」
「だケド、プリズナーはどこ行きやがったんだ?」
「あ、見ろよ。コンドルの、背中の上!」

 シエラ、シリカ、シーヤの3機のサブスタンサーが、巨大コンドルの背中にテスカトリポカ・バル・クォーダが乗っているのを確認する。

「まったく、世話の焼ける艦長サマだ。待ってな。お前らのオヤジを、連れ戻して来てやっからよ」
 再び黒い煙を纏う、髑髏の顔のサブスタンサー。

 黒い煙の竜巻は、セノーテの地下空間に発生した、異空間の空へと消えて行った。

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