ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第13章・58話

坂道での噂話

 港町の宿屋から、丘上の闘技場へと続く道を登って行く、3人の船長ら1行。
周りを囲む12人の少女たちも、船長たちの装備である巨大な盾や槍を持って、歩みを進めている。

「見ろよ、レプティス、タプソス。街のヤツら、率先して道を開けてくれているぞ」
 ご機嫌な顔で先頭を行く、ティンギスが言った。
彼は闘技場の戦利品である、真っ黒なプレートメイルを装備している。

「あまり浮かれるなよ、ティンギス。もっともこの国じゃ、軍人は憧れの職業で、闘技場の勝者は英雄として尊敬されるらしいがな」

 レプティスの言った通りの光景が、彼らの行く沿道に広がっていた。
彼自身も勝者に与えられた、銀色の全身を覆うスケイルメイルを纏(まと)っている。

「文化の違いとは言え、慣れない風習だな。それよりお前たち、装備くらい自分で持つぞ」
 いぶし銀のプレートメイルを装着したタプソスが、12人の少女たちを気遣う。

「これしきの重さで、心配は無用だ」
「闘技場で醜態(しゅうたい)を晒(さら)した我らには、鍛錬(たんれん)が必要」
「未熟な我らには、丁度イイ重さよ」

 ピンク色のポニーテールに白い肌、水色の瞳をした、イオ・シル、イオ・セル、イオ・ソルが言った。
3人は赤いマントに黄金の胸当て、赤いミニスカートを穿(は)いている。

「言って無かったが、この国でも勝者と言えど、やってはならぬ法があるのだ」
「それは、弱者や敗者に情けをかけるコト」
「勝利による栄光は、あくまで己(おの)が能力(ちから)のみで、掴み取らねばならんのだ」

 ラビ・リンス帝国の絶対の法を語る、ハト・ファル、ハト・フィル、ハト・フェル。
金色のお下げに白い肌、ライム色の瞳をした3人は、白いマントに黄金の胸当て、白いミニスカートを穿いていた。

「どこまでストイックな国だよ、まったく」
「屈強な軍隊を誇るラビ・リンス帝国の、強さの秘訣なのかもな」
「港の船も、オレたちの乗っていた漁船とは、比べものにならない大きさだぞ」

 坂道から眼下を見降ろすと、小さな港町が広がっていて、その先には港がある。
軍港には、何列もの砲門を備えた軍艦が何隻も並び、隣の港にも大きな4角帆の巨大な商船が、何隻も停泊していた。

「ラビ・リンス帝国は、クレ・ア島に本拠を置く島国だ。ゆえに、海軍力も強大でなければならぬ」
「陸戦の将軍として勇名を馳せる、ミノ・ダウルス将軍と旗下の雷光の3将と共に……」
「海軍にあっては、大海の7将が軍艦を指揮している」

 アイボリーのボブヘアに茶色い肌、若草色の瞳をした、スラ・ビシャ、スラ・ビチャ、スラ・ビニャが、ラビ・リンス帝国海軍の説明をする。
3人の少女は、水色の羽衣に黄金の胸当て、水色のミニスカートを穿いていた。

「陸の将軍が4人で、海の将軍が7人も居るンかよ」
「それにしたって、7つの艦隊を維持できるモノか?」
「1個艦隊ですら、莫大な維持費がかかると聞いたコトがあるぞ」

 小さいながらも船の船長だった、ティンギス、レプティス、タプソス。
漁船の維持にすら四苦八苦していた彼らは、複数の軍艦からなる艦隊を7つも揃えるなど、どれだけの資金が必要なのかと慮(おもんばか)っていた。

「ミノ・リス王は、現実的なお方だ。戦争に金がかかるコトなど、百も承知よ」
「王は、専属の3人の大商人と、取引をされておられる」
「周辺航路の独占権と引き換えに、莫大な戦費を担(にな)わせているのだ」

 船長たちの疑問に答える、ロウ・ミシャ、ロウ・ミチャ、ロウ・ミニャの3人の少女たち。
彼女たちは、バイオレット色のマッシュルームヘアに茶色い肌、オレンジ色の瞳をしていて、黒い羽衣に黄金の胸当て、黒いミニスカートを穿いていた。

「ミノ・リス王は、戦争しか頭にないって思ってたケド、そうでも無ェみたいだな」
「考えてみりゃあ、当然か」
「王と言うのも、大変なのだな」

 3人の船長たちが、見知らぬ王の噂話をしていると、一行はすでに闘技場の前に辿り着いていた。

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