ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

キング・オブ・サッカー・第9章・EP012

終わらない猛攻

「まだ先制点を、献上するワケには行かないであります」
 屈強なチュニジア人ストライカーに仕事をさせまいと、懸命に喰い下がる杜都さん。

「多少は、鍛えてあるようだな。だが……まだ甘い!」
 身体の競り合いで、杜都さんを上回るバルガさん。
ペナルティエリアに侵入したと同時に、シュートを放った。

「やらせはしない」
 センターバックの龍丸さんが、脚を伸ばしてシュートを防ぐ。
ボールはクロスバーを越え、MIEのコーナーキックとなった。

「フウ、ヤレヤレ。ナイスクリアだ、龍丸」
「それよりコーナーだ。少しはシュートを防いで見せろ、デブ」
 かつてのコーチに対しても、容赦ない龍丸さん。

 コーナーを蹴るのは、フォワードから左サイドバックにコンバートされたトラヤさんだ。
スッラさんとネロさんのボランチコンビは、上がらずにカウンターに備えていて、代わりにセンターバックのマグナさんがペナルティエリア内に加わる。

「バルガは、オレと亜紗梨でマークする。相手のセンターバックには、野洲田が付け」
「オウ、任せとけ」

 バックラインに、的確な指示を飛ばす龍丸さん。
海馬コーチのチームでは、キャプテンを任されていただけあって、コーチングも様になっている。

「オラ、行くぜ!」
 左のコーナーから、少し内側に巻いたボールを蹴るトラヤさん。

「ウス」
 ニア(近い側)に居た長身のマグナさんが、少しだけコーナーに近寄って、野洲田さんより先にボールに触れ、コースを変えた。

「ヤベ、マークがズレちまった」
 マグナさんのマークを任されていた野洲田さんが、慌てて後ろを振り返る。
ヘッドで逸らしたボールには、チュニジア人ストライカーが飛び込んでいた。

「まずは、1点だ」
 バルガさんのヘディングシュートは、海馬コーチの左手側に飛ぶ。

「あっ!?」
 メタボキーパーは、相変わらず1歩も動けなかった。

 ゴールに入っていたボクは、ゴールラインを割るギリギリで、シュートをクリアする。
けれども掻きだすのがやっとで、ボールは再びタッチラインを割った。

「あー、決まったと思ったのにィ!」
「クッソ、クリアされちまった」
「だケドよ。得点も、時間の問題だぜ」

 MIEのサポーター席から、ため息と共に楽観論も聞こえる。

「もう1度(ワン・モア)だ。気持ちを、切り換えて行くぞ」
 逆サイドのコーナーは、右サイドバックのハリアさんが蹴るみたいだ。

「こっちも、再度集中だ。各自、マークを確認しろ」
 キャプテンの雪峰さんが、指示を飛ばす。

 野洲田さんがマークしていたマグナさんが、バックラインに戻って行き、代わりにカイザさんが上がって来た。

「オレは、上がって来たヤツに付くぜ」
 ヘディングを先に触られてしまった野洲田さんも、名誉挽回をしようとカイザさんにピタリと密着し、マークに付く。

「相手は、ゴール前に密集しているな。ならば……」
 ハリアさんは、マイナスにボールを戻した。
そこには、先ほどコーナーを蹴った、左サイドバックのトラヤさんが待ち構えていた。

「……ッシャ! ナイスや、ハリア!」
 ボールをトラップしたトラヤさんが、ペナルティエリア中央からシュートを撃とうとする。

「させるか!」
 けれども雪峰さんが反応し、シュートコースを塞ぐようにスライディングした。

「クソ、厄介なヤツや」
 トラヤさんはシュートを止め、ボールを一旦持ち直す。

「ここです!」
 柴芭さんがトラヤさんの足元から、僅かに離れたボールを奪い取った。

「し、しまった!」
「マズいぞ、両サイドバックとカイザが上がってしまっている」
 左右のサイドバックの、ハリアさんとトラヤさんが慌てている。

「黒浪くん!」
 柴芭さんは、トラヤさんの護っていた右サイドに、ボールを入れた。

「流石は、柴芭だぜ。ナイス……あっ!?」
 ボールを受け快速を飛ばすつもりだった、黒浪さん。
けれども、ボールは黒狼には渡らなかった。

「問題ない。攻撃を続けよう」
 ボールを奪取したのは、ボランチの一角のスッラさんだった。

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