ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第08章・46話

タンガタ・マヌー

「な、なんだい、味方か?」
「見たコト無い機体だし、オヤジの仲間だろうよ」
「どっちにしろ、有り難いね」

 ジャガー・グヘレーラーに乗る、セシル、セレネ、セリス・ムラクモの3人が言った。

「アタシは、真央だ。さっきは、助けてもらったからね。直ぐに恩を返せて、良かった」
 蒼いサブスタンサーを駆る、真央。
落下攻撃を繰り返す巨大ザルのアーキテクターを、両腕の拳で撃破する。

「真央か。助かったよ」
「戻って来て、くれたんだね」
「その機体は、アンタの専用機(オリジナル)かい?」

 前衛を得た3機のジャガー・グヘレーラーは、壁面に張り付く巨大グモや、ホバリングし襲ってくる巨大ハチドリを、アサルトライフルで掃射した。

「宇宙斗艦長が、知らない間に造ってくれたんだ。名前は、タンガタ・マヌー。アタシが、名付けた」

 タンガタ・マヌーは、蒼い身体の背中から巨大な翼を生やしている。
顔は鳥のようで、長いクチバシを持っていた。

「とりあえず、セノーテに張り付いたとんでもない数の敵を、どうにかしねェとな」
 タンガタ・マヌーは、蒼い翼を広げて飛翔する。

「アンタのサブスタンサーは、空中戦もできるのかい?」
「だが気を付けな。大グモが網を張って、獲物が掛かるのを狙っているぞ」
「ハチドリも、大きなクチバシで刺そうと待ち構えてやがる」

「心配は、要らないさ。クロノ・カイロスのサブスタンサーは、基本性能が違うんだ」
 真央のサブスタンサーは、鋭利な翼で大グモのネットを切り裂き、ハチドリの翼をも切断した。

「オラオラ。ナスカの地上絵から抜け出して来た連中が、大量に群がりやがって」
「さっさと絵の中に、帰んな」
「もっとも地上絵は、とっくに水没して消えちまってんだがな」

 1000年の時の経過は、有名な地上絵が地球上から姿を消すには十分過ぎる時間である。
セシルたちは、落下してくる敵に弾丸を叩き込んだ。

「敵の勢いが、弱まったよ」
「これだけの数を、倒したんだからね」
「どうだい、真央。敵は、せん滅できそうか?」

「イヤ、第1波を乗り切っただけだ。天井の上に、敵の巣があるみたいだ」
 タンガタ・マヌーは、大グモが開けた天井の大穴から中を覗き込む。
真央が見たのは、暗闇に蠢(うごめ)く大量の赤い眼だった。

「敵の巣だって。敵がどこからともなく、沸いて出るってのかい」
「そんなコト、あり得な……イヤ、あり得るぞ!」
「アタシらがオヤジたちと仕留めた、シュガールってヤツと同じだ」

「第2波が、飛び出て来るぞ。気を付けて」
 真央のサブスタンサーが大穴を離れると、中からおびただしい数のクモやハチドリ、大ザルらが溢(あふ)れ出す。
濁流の如き敵の群れは、1気にセノーテの床へと落下し、1面を埋め尽くした。

「ギャアァァ、キモチ悪いねェ!」
「これだけ密集してんなら、どこ撃っても当たるよ」
「だけど、数が多すぎる」

 3機のジャガー・グヘレーラーは、次第に敵の渦に飲まれて行く。

「セシル、セレネ、セリス、大丈夫か!」
 上空から味方のピンチを察したした真央は、落下して敵に攻撃を仕掛けた。

「クソ、ダメだ。あまりにも、敵が多すぎる」
 けれども攻撃は焼け石に水で、セシルたちを救援するには至らない。

「ヤバいぞ。銃の弾が、尽きちまった。予備のパックも、全部だ」
「これだけ弾を、バラまいてんだ。当然か……」
「仕方ない、白兵戦に移るよ」

 ジャガー・グヘレーラーは、元々装備していたラウンド・シールドに収まっていたシミターを構えて、襲い来る敵を斬り裂いた。
けれども遠距離攻撃用に設計された機体は、直ぐに劣勢に立たされる。

「クッソ、クモの糸に、絡めとられちまった」
「これじゃ、身動きが取れな……」
「こんなところで、死にたく……な……」

「セシル、セレネ、セリスーーーーーッ!」
 真央の叫び声が、無常に木霊(こだま)する。
ジャガーの頭を持った3機の機体は、完全に敵の群れの中に吞み込まれ、消えた。

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