セノンと3組の3姉妹
「シエラたちが、おじいちゃんたちと戦った相手も、時の魔女の配下だったんですね?」
あどけない顔をした、栗色のクワトロテールの少女が言った。
「さっきから、気になってたんだけどさ、セノン」
「なんで、オヤジがおじいちゃんなんだ?」
「セノンと同じか、少し上くらいの見た目なのによ」
シエラ、シリカ、シーヤの3姉妹が、別の疑問を聞き返す。
「見た目に騙されちゃ、ダメですよ。ああ見えて、1000歳ですからね。今生きてる人間で1番年上の、スーパーおじいちゃんなんです」
腰に手を当て、自慢げに語るセノン。
「……時の魔女の配下ってのは、後から知ったんだ。戦ったときは、それどころじゃ無かったぞ」
「あのデカいカメみたいなヤツ、回転して竜巻を起こしたりしてさ」
「大ムカデを大量に沸かせたりして、とんでも無いヤツだったんだ」
母親のチピリ同様に金髪ドレッドヘアの3姉妹は、本来の質問に答える。
けれども、セノンと同じクワトロテールに分けてあって、それ故か気が合っている様だった。
「シエラ、シリカ、シーヤも、おじいちゃんを助けに行くつもりなんですね?」
格納庫に駐機してある、ジャガーの頭を持ったサブスタンサーを見上げる、セノン。
それは3姉妹らの乗機の、サブスタンサーであった。
「気合いが入ってるところ、悪いんだがよ」
「まず、どこに居るかわからない……」
「シエラたちも、宇宙斗艦長の居場所を聞きに、ここに来たんだからさ」
セノンの友人である、真央、ヴァルナ、マケマケが忠言する。
「あッ、そっか。忘れてました」
大きく開けた口の前で、手をパーのカタチに開くセノン。
「セノンって、かなり天然なんだ」
「ま、アタイらも、姉貴たちに迷惑かけてるしよ」
「他人に思えないトコ、あるよな」
「アンタらも、自覚はあったんだ」
「だったら、もう少しアタシらの言うコト、聞いて欲しいモノだね」
「いつも見境なく、突っ込んで行くんだからさ」
セノンやシエラたちの話の輪に、セシル、セレネ、セリス・ムラクモの3姉妹が近寄って来た。
3人はダークブラウンの肌に紫色の瞳をしていて、 茶色とピンク色の長めの髪を編み込んで、クワトロテールにしている。
「あ、セシルたちだ」
「姉貴たちだって、直ぐにキレるだろ」
「いつもは、やる気ないクセにさ」
「うっせ、黙ってろ」
「1番上は、色々と大変なんだよ」
「まったく、可愛げの無い妹たちだぜ」
文句を言いつつもセシルら3人は、シエラたち3人の妹たちを抱き寄せた。
「ところで、セシルたちは何しに来たんだ?」
「残念だケド、こっちは収穫無しだったよ」
「もしかして、オヤジの居場所がわかったのか?」
「そんなトコかね。オヤジの居場所までは、まだだケドよ」
「アタシらは、オヤジの知り合いのアーキテクターんトコに行ったんだ」
「オヤジの居場所を知る方法があるらしいんで、呼びに来たのさ」
「ホントですか!」
真っ先に反応する、セノン。
「本当だろうよ。そのアーキテクターってのは、トゥランさんのコトだろうし」
「タブン、その方法ってのも……」
「MVSクロノ・カイロスに連絡を入れるって、コトじゃないかな」
真央、ヴァルナ、ハウメアの3人が言った。
「よくわからないケド、話はそんな感じだったよ」
「マレナたちが、ドス・サントスじいさんのトコに、集まれってさ」
「アンタらも、来るんだろ?」
「ハイ、もちろん行きます」
セノンの元気のイイ返事のあと、一行はドス・サントスの執務室へと向かう。
「あ、やっと来たよ。タイミング、イイっちゃイイのか」
「ちょうど今、オヤジたちが地球に降りるのに使った艦と、連絡が取れたところなんだ」
「その艦は、地球の衛星軌道上を周回している」
マレナ、マイテ、マノラ・ムラクモが、状況を説明した。
3人は、黄色い肌にチョコレート色の瞳をしていて、編んだ黒髪をクワトロテールに分けて、4方向に垂らしている。
「きっと、テル・セー・ウス号のコトだぜ」
「アンティオペーたち、まだ居てくれてたんだ……」
「セノン、行くよ」
「おじいちゃん、どうか無事でいて下さい……」
ハウメアに促(うなが)されたセノンは、ポツリと呟きながら執務室へと入って行った。
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