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「おじいちゃんが、行方不明なんですか!」
栗毛の少女が、叫んだ。
彼女の背後には、真珠色の巨大イルカ(アフォロ・べーナー)が、岩に囲まれたドッグに停泊していて、整備を受けている。
「そ、そうだよ。もう何日も、行方知れずなんだ」
「アンタ、オヤジの仲間なんだろ。知らなかったのかよ」
「ところでアンタ、名前はなんて言うんだ?」
彼女の前には、シエラ、シリカ、シーヤ・ムラクモの3人の少女が立っていた。
「わたしは、世音(せのん)・エレノーリア・エストゥード。セノンって呼んでください」
栗毛の少女は、自分の名前を名乗る。
「そっか。アタイらは、群雲 宇宙斗とチピリ・サントスって母親の娘でさ。アタイは、長女のシエラ」
「シエラですか。でも貴女たちが、おじいちゃんの娘って本当なんですか?」
「アタイは、シリカ。本当だよ、ちゃんと遺伝子検査をしたからね。アタイらの父親は、紛れも無く群雲 宇宙斗さ」
セノンの質問を、3姉妹の別の少女が答えた。
「アタイは、シーヤだ。アンタに聞けば、オヤジのコトも少しは解るって期待したんだケドな。こりゃ、望み薄だぜ」
軽口を叩く、シーヤ。
「ゴメンなさい、わたしは何も聞かされてません」
ペコリと頭を下げる、セノン。
「イヤ、アンタが謝るコトじゃ無いよ」
「オヤジは、アタイらを助けようとして消えちまった」
「だから今度は、アタイらが助けてやんねェとなって、思ったんだ」
3姉妹の末っ子であるチピリ・サントスの遺した、3人の娘たちはセノンの前を立ち去ろうとする。
「悪いな、少し待ってくれないか」
1人の少女が、3人を呼び止めた。
彼女は、サファイアブルーの短髪に、ターコイズブルーの瞳をしている。
「ま、マケマケ。もしかして、マケマケは……」
「スマンな、セノン。宇宙斗艦長が行方不明になったコトは、知らされていた」
呼び止めた、真央=ケイトハルト・マッケンジーは答えた。
「ど、どうして、黙ってたの。ヒドいよ!」
「お前に言ったら、またおじいちゃんを探しに行くとか、言い出すだろ」
「そりゃ……そうだケド」
「だから、ある程度の情報が集まるまでは、秘密にってコトになった……」
水色のセミロングの髪に、青緑色の瞳の少女が話を進める。
「ゴメンね、セノン。でも、何日か待っても、手がかりらしい手がかりは無かったんだ」
茶色いドレッドヘアに褐色の肌、太い眉にモスグリーンの瞳の少女が話を閉じた。
「ヴァルナ、ハウメアも、知ってたんだね……」
哀しそうな顔を浮かべる、セノン。
「けっきょく、アンタらも手がかり無しかよ」
「セノーテの底で、サブスタンサーごと消えちまったって話だモンな」
「じいさん達がいくら探索しても、なにも出て来やしねェし」
「おじいちゃんは、セノーテの中で消えたの?」
シエラ、シリカ、シーヤの3姉妹に、逆に質問するセノン。
「ああ。アタイらは最初、オヤジをセノーテに誘ったんだ」
「まあなんつぅか、一応は親子だしよ」
「セノーテで一緒に泳ぐのも、イイんじゃないかってコトになってさ」
「そしたら泉の底に、ナゼだか化け物が潜んでやがってよ」
「水底からいきなり、真っ白な髪が伸びて来てさ」
「アタイらは足を掴まれて、引きずり込まれそうになったんだ」
「オ、オイオイ。急にホラー展開かよ」
「ちょっと恐い……」
「それで、どうなったの?」
真央たち3人娘も、探偵側に周た。
「アタイらは、気を失っちまったから、聞いた話にはなるよ」
「オヤジが、サブスタンサーに乗って戻って来てくれて、助けてくれたんだ」
「プリズナーってのが、アタイらを地上に引き上げてくれたんだケド……」
「おじいちゃんは、そこで行方不明に……シリカたちの足を掴んだ、白い髪ってなにかな?」
セノンの問いかけに、3姉妹は答える。
「なにって……水底に、サブスタンサーが潜んでいたらしいんだ」
「なんでも、時の魔女の手下って言ってたぜ」
「アタイらには、なんのコトかサッパリなんだケドね」
「と、時の魔女ですか!?」
セノンは、真央たち3人と顔を見合わせる。
「時の魔女が、絡んでやがったのかよ」
「また、火星での惨劇が……」
「悪いんだケド、もう少し互いに情報を交換したいんだ」
ハウメアの提案に3姉妹は納得し、少女たちは互いに持っている情報を出し合った。
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