ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第13章・46話

決死の覚悟

「ミノ・アステとやらも、大したコトは無いのォ。ご主人サマは、まだ本気を出しておらんぞ」
 ルーシェリアは、地面にひれ伏す6人の少女に向って言った。

「お、おのれ。アステさまを愚弄するとは!」
「ゆ、許せん。我らにまで、このような屈辱を……クツ!」
「こ、この借りは、必ず返してやる!」

 スラ・ビシャ、スラ・ビチャ、スラ・ビ二ャの3人の側近が、恨めしそうな瞳でルーシェリア睨み付けている。

「口だけは達者じゃが、俊敏な動きを封じられると何も出来んじゃろう?」
 漆黒の髪の少女は、重力剣(イ・アンナ)の能力をさらに強めた。

「ガハッ。こ、これしきの力など……」
「の、乗り越えて……見せ……グフッ!」
「我らは、アステさまの……側近……」

 ロウ・ミシャ、ロウ・ミチャ、ロウ・ミニャの3人の少女たちは、剣の重力に逆らって必死に立ち上がろうとするが、指1本すら動かせない。

「これ以上やると、脳や内臓を痛めるでの。悪いが、お主らの負けじゃ」
 ルーシェリアが、倒れた少女たちに向け剣を一閃した。
重力の剣撃が、6人の少女たちの首筋を襲い、全員の気を失わせる。

「こっちも、片付いたの。あとは、3人の船長たちかえ」
 ルーシェリアの視線の先では、ティンギス、レプティス、タプソスの3人の船長たちが、残る6人の少女たちと戦いを繰り広げていた。

「ヤ、ヤベェ、もう後がねェ」
「ここまで何とか戦って来れたのも、盾や鎧のお陰だしな」
「ど、どうするよ……」

 3人の船長の背中は、観客席の壁にピタリと張り付いている。

「オイオイ、どうしたよ」
「アンタらのお仲間は、アステ将軍さまさえやっつけちまったんだぜ」
「アンタら、大人なんだからよ。かっこいいトコ、見せてくれや」

 背後から、無責任な野次が飛んで来た。

「クッソ、勝手なコト言いやがって」
「こっちは、これで精一杯なんだよ」
「オイ、来るぞ!」

 3人の船長たちに、容赦なく襲い掛かる6人の少女たち。

「せ、せめて我らだけでも、勝利を収めねば……」
「敗者に待っているのは、不名誉な死のみ」
「例えここで果てようと、勝利だけは譲らん!」

 イオ・シル、イオ・セル、イオ・ソルの3人の少女は、必死の形相で攻撃を仕掛ける。

「女でありながらアステさまは、武勇で雷光の3将にまで昇りつめられた」
「敬愛するアステさまの武名を、こんなところで汚すワケには行かない」
「お前たちを血祭りに上げ、残る2人も討ってくれようぞ」

 ハト・ファル、ハト・フィル、ハト・フェルの3人の少女も、両手の戦斧で船長たちに凄まじい攻撃を仕掛けた。

「おわっと、危ねェ。だけどよ」
「ああ。攻撃はハデだが、大振りで防御にスキがあるぞ」
「こ、これなら行けるか」

「ガハッ!?」
 1人の少女が、腹にタプソスのパンチを喰らって気を失い、その腕に倒れる。

「イ、イオ・セルが、やられた?」
「お、おのれ。よくも、我が姉妹を!」
 イオ・シルとイオ・ソルは、タプソスに斬りかかるも、2人の船長がそれを阻んだ。

「オッと。お腹がスキだらけだぜ、嬢ちゃん」
「今度は腹まで覆う黄金の鎧を、買ってもらうんだな」
 ティンギスとレプティスも、タプソスに習い腹パンチで少女を気絶させる。

「そ、そんな。イオ・シルたちまで倒されるとは!?」
「わたし達には、もう後がない」
「こうなったら、刺し違えるまでよ!」

 残されたハト・ファルたちが、決死の覚悟で船長たちを襲った。

「まったく、あどけない女のコの言うセリフかァ!」
「命ってのはな、そんなに軽く扱っていいモンじゃねえんだ」
「もっと自分の命を、大切にしろ!」

 津波で多くの村人を失った3人の船長は、それぞれが倒した少女たちをヒョイッと肩に担(かつ)ぐ。
しばらくすると最後の3人の少女は、船長たちのもう片方の肩に担がれていた。

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