ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

キング・オブ・サッカー・第8章・EP034

ラッキーチャンス

 ペナルティエリアへと進入した、ロランさん。
それに対しヴォーバンさんが、シュートコースを狭めようと飛び出す。

「遅いよ」
 ロランさんは、スパイクの靴先をトントンと整えるようなシュートを放った。

「putain de merde(クソッ)!!」
 シュートは、ヴォーバンさんの左脇をすり抜け、ゴール右隅に決まる。

「流石は10番だぜ。まずは1点、返したぞ」
「ナイスシュートだ、ロラン!」
 イヴァンさんとオリビさんが、ボールを抱えて戻って来るロランさんと並走した。

「だけど、あと3点取らなくっちゃならない」
 ラグビーのプレースキックのように、ボールをセンターサークルにセットするロランさん。
相手ボールだが、試合終了の時間は刻一刻と迫っていた。

 まだ2点リードがあるためか、白のビブスのチームはそこまで時間を使わずに、プレイを再会する。
ルネさんがボールを持つと、ヴァロンさんが大きな図体を揺らしながらゴール前に顔を出した。

「またあの2人の、ホットラインか」
「イヤ、リナル。もう1人のヤツの可能性もあるぞ」
 オリビさんの言うもう1人とは、ラフェルさんのコトだ。

 ボクは前線から戻って、ラフェルさんをマークする。

「ナイスフォローだ、一馬」
 ロランさんも帰陣して、ボールの出所であるルネさんに圧力(プレッシャー)をかけた。

「それでも、ここは上げる!」
 ロランさんをかわし、強引にセンタリングを上げるルネさん。
けれどもボールは精度を欠き、ヴァロンさんの背中側に入ってしまう。

「オッと、危ね、危ね」
 慌てて振り向いて、ボールを確保するヴァロンさん。
その頃には、オリビさんとリナルさんが戻って、ヴァロンさんのボールを奪おうとした。

「よこせ、ヴァロン」
 いきなり、ボクがマークしていたラフェルさんが急加速で走り出し、ボールを要求する。

 うわあッ、しまった!?
慌てて後を追うものの、5メートルは離されてしまっていた。

「お、おう、ラフェル」
 ヴァロンさんは、大きな身体の割りには小さな足で、チョコンとボールを蹴り出す。
けれどもキックが上手くヒットせず、ラフェルさんじゃなくてボクの方に転がって来た。

「ギャア、しまった!」
「ヴァロン、なにやってんだ!」
 チャンスがカウンターのピンチになり、怒りをあらわすラフェルさん。

 なんだか知らないケド、ラッキーだ。
相手は、前がかりになってる。
ボクはそのまま、ドリブルを開始した。

「来い、坊や!」
 イヴァンさんが、オフサイドラインの向こうで手を挙げる。
今出しても、戻りオフサイドを取られるのが関の山だ。

 もう1人のアタッカーである、ワルターさんを確認するも、センターバックのヴァンドームさんが、左サイドバックとポジションチェンジをして、マークに付いていた。

 ど、どうしよう。
もう、アルマさんが向って来ている。

 ロランさんには、そのままルネさんがマークに付いてるしな。
ディフェンスラインにまで戻ったオリビさんとリナルさんに、攻撃参加は無理だ。
ここは……。

 ボクは、アルマさんが詰めて来る前に、シュートを放った。

「チィ、枠の上かよ」
 そう判断したイヴァンさんが、諦めて戻って来る。

「ヴォーバン!!」
「お、おう!」
 ヴィラールさんの合図に、アフリカにルーツを持つキーパーが反応した。

 ボクの放ったシュートは、セルディオス監督に見せてもらった、ドライブシュートだった。
急激とは行かないまでも、下降してゴールの枠を捕らえるシュート。

 けれどもドミニク・ヴォーバンは自身の左手側に飛んで、ボクのシュートを片手でキャッチする。
そのまま保持は無理だと判断したのか、腕の力だけでボールを掻き出した。

「よし!」
 ルーズボールは、たまたま戻っていたイヴァンさんが確保する。

「あッ!」
 その時、相手の白いビブスの選手が、イヴァンさんを背中からチャージした。
すかさず、審判の笛が鳴り響く。

「ポジションチェンジが、裏目に出やがったか」
 吐き捨てる、ヴァンドームさん。

 チャージを取られた選手は、ヴァンドームさんとポジションチェンジした、左サイドバックだった。

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