ラノベブログDA王

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王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

ある意味勇者の魔王征伐~第13章・41話

闘技場(コロッセオ)

「わたしはこれでも、ミノ・ダウルス将軍にお仕えする、雷光の3将が1人。女であるコトを理由に、ナメて貰っても困るのだよ」

 フワフワした白い髪を掻き上げながら、ミノ・アステ将軍は鞭を再び打ち鳴らした。
稲光を帯びた鞭は地面を大きくえぐり、石畳(いしだたみ)や瓦礫(がれき)が辺りに四散した。

「ヒエエェェーツ、なんつゥ威力のムチだよ!?」
「あんなの喰らったら、肉だけじゃなく骨までえぐれちまうぜ」
「キレイな顔でスタイル抜群なのに、恐しい女だぞ」

 ティンギス、レプティス、タプソスの大柄な船長3人は、黄金の女将軍に恐怖する。

「別に女だからと言う理由で、ナメてなんかいませんよ。それより彼らに、武器を提供すると言うのは、本当ですか?」
「本当だとも、少年よ。お前たち、武器を用意して差し上げなさい」

 ミノ・アステ将軍の命令により、部下である女性の兵士たちが、闘技場の門の奥から武器や防具を運び入れ、テーブルの上に並べる。

「罪人には相応しくないくらいの、高級な武具を提供してやろう。好きに、選ぶが良い」
 テーブルには、切れ味鋭そうな槍や剣、美しい装飾の施された鎧や盾などが、並んでいた。

「こ、こりゃあ、本当に由緒ありそうな槍じゃねェか」
「ああ。武器屋でも奥の棚の上に、ご大層に置かれてるヤツだ」
「こ、こんなの借りれるなんて、気前イイな」

「気にしなくとも、良いぞ。どれも、お前たちの先人たちが遺した、遺物だからな」
 ミノ・アステ将軍は、微笑みながら言った。

「するってェと、これを付けていたヤツらはもう、オダブツしちまってるってか?」
「こんな高級装備を揃えられるホドのヤツらが、死んじまうなんて……」
「ええい。こうなったら最期くらい、高級装備で固めてやンぜ!」

 3人の船長たちは、必死に自分に合った装備を身に付ける。
ティンギスは、真っ黒なプレートメイルに、2枚の黒いヒーターシールドを両肩にかけ、2本の黒い槍を両手に持った。

 レプティスは、銀色の全身を覆うスケイルメイルに、銀色のタワーシールド、太い赤い槍を装備する。
タプソスは、茶色いラウンドシールを両腕と両肩に装備し、いぶし銀のプレートメイルに同じ色の長槍を持っていた。

「お主ら、過剰装備になってはおらぬかえ。それでは、動きにくかろう?」
「嬢ちゃんたちこそ、良いのかよ。剣は自前にしろ、鎧や盾くらいは選んだ方がいいぜ?」
 ティンギスの言う通り、ルーシェリアと舞人は装備を何も選んでいない。

「構わんよ。妾は、このイ・アンナ1本で十分じゃ」
 ルーシェリアは、レーマリア女王より下賜(かし)された剣を具現化させた。

「ボクも、いい加減ボクの剣を、目覚めさせなきゃならないんでね」
 舞人も、サタナトスとの戦いで沈黙してしまった、ガラクタ剣を抜く。

「なにを考えているかは知らんが、準備はできたか?」
「ええ。待っていただき、有難うございます」
「妾も、始めてもらって構わんよ」

「肝が座ってんなァ、オイ!」
「こっちは、武者震いが止まんねェのによ」
「今にも、逃げ出したい気分だぜ」

 重武装の3人の船長たちは、尚も怖気(おじけ)づいていた。
その時、闘技場に集った観客たちが歓声を上げる。
舞人たちが闘技場の門を見ると、大勢の亜人種たちが入場して来ていた。

「ゴブリンやリザードマン風情が、かつては魔王と呼ばれた妾を、倒せるとでも思っているのかえ?」
 ルーシェリアの重力剣イ・アンナが、ゴブリンとリザードマンの小隊を地面にひれ伏させる。

「さ、流石は嬢ちゃんだぜ」
「最初のモンスターたちが、戦いの場に上がる以前に退場とはな」
「頼りになるな……」

「フッ。お前たちが余裕ぶるのも、理解はできる。だが、次のモンスターたちはそうは行かんぞ」
 ミノ・アステの右手が上がると、再び闘技場の門が開いた。

「ミ、ミノタウロスだぜ!」
「他にも、1つ眼巨人(サイクロプス)が居やがる!」
「どうすんだ。あんなのに踏み潰されたら、一瞬であの世行きだぞ」

 巨大な通用門から姿を顕(あらわ)したのは、巨人の群れだった。

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