ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

この世界から先生は要らなくなりました。   第10章・第23話

星座の少女たち

「ヘェ、そうなんだ。天空教室の天空って、そらの星座から取られてたのかァ」
 ライオンのようなタテガミ金髪の少女、王洲 玲遠(おおしま れのん)が言った。

 名前も見た目も性格も、しし座を象徴するに相応しいレノン。
彼女が居る天空ステージの中央には、黄金の獅子としし座(レオ)のシンボルマークが刻まれていた。

「お前、そんなコトも気付いてなかったのかよ」
 タリアが、悪友のアホさに呆れる。

 天空ステージの少女たちは、ヘッドセットで互いに会話ができるようで、その声は会場にあるスピーカーからも聞えて来た。

「タリアは、気付いてたのかよ!」
「当たり前だ。お前はしし座で、アタシはおうし座だろ」
「え、マジで。だけどどっちも、パワフルな生き物だな」

「女のコには相応しくないかもだケド、粗暴なアタシらにはお似合いだ」
 自虐的に微笑む、ボーイッシュなパーカー少女、美乃栖 多梨愛(みのす たりあ)。

 タリアはかつて、暴漢の少年グループからアステら少女たちを守った。
おうし座(タウラス)の名に相応しく、勇敢で実際にボクシングも強い少女だ。
空中ステージにも、牡牛の顔とシンボルマークが、チャンピオンベルトのようにデザインされている。

「ええッ、他のみんなも気付いてたの?」
「とうぜんでしょ。なんのためにユミアが、ベッドを12宮みたく円形に並べてくれたのよ」
 そう答えたのは、レノンの先生も務めたメリーだった。

「アレって、そう言う意味だったんだ。なんで丸く並べてんのか、疑問だったんだよ。でも、メリー先生はなに座なの?」

「わたしは、ヤギ座。八木沼 芽理依(やぎぬま めりい)が本名で、クリスマス生まれだからメリーよ」
 生徒に優しく教えるように、自分の名前の由来を話すメリー。

「ああ、クリスマスが誕生日って言ってたな。でも、なんか関係があるの?」
「お前、まだ解ってないのか。生まれた星座だよ。12月25日は、やぎ座だろ」
「アッ、なるホドォ。アタシも偶然、しし座生まれ……って、そんじゃアタシ達も!?」

「やっと気付いたのね。わたし達の誕生日は、それぞれの象徴する星座なのよ」
 出来の悪い生徒に、答え合わせをするメリー。

「マジかァ。アリスなんか、わかり易いよな。モコモコだし、おひつじ座だよな?」
「そ、そうなのですゥ」
 ひつじのように白いモコモコした髪の少女が、オドオドしながら答えた。

「アリスって確か、本名は金盛 阿梨栖(かなもり ありす)だよな。そんなに、ひつじっぽくない気がするんだケド?」

「おひつじ座は、英語でアリエス。アリスと、かけたのでしょうね」
 生徒の疑問に、メリー先生が回答した。

「あと、キアもわかるよ。絶対、カニだろ」
「カニいうなや、ボケライオン。かに座、言えっちゅうに!」
 関西風のツッコミを入れる、可児津 姫杏(かにつ きあ)。

「ウチも、シアも、ミアも、リアも、み~んなかに座生まれなんや。せやからウチらのバンドも、チョッキン・ナー言うてカニ推しなんやケドな」

 父親に家庭内暴力を受け、短くなってしまった髪も、かなり伸びて来ている。
キアたち4姉妹のインディーズバンド、チョッキン・ナーのライブを見に、卯月さんに、花月さん、由利さんの3人と、出かけたコトが遠い過去のように思えた。

「キアって確か、キャンって呼ばれてたよな」
 ボクは、天空にある巨大ガニのステージに立つ、少女に話しかける。

「せやで。お察しのとおり、かに座の英語名であるキャンサーからも、来とるんや」
 キアの天空ステージには、シアやミア、リアらも乗っていた。

「それにしても、よく星座の名前の少女たちを、これだけ集められましたね」

「偶然の産物では、あるのだがね。ユミアの本名、瀬堂 癒魅亜(せどう ゆみあ)が、なんとなく彼女の誕生星座、いて座っぽい名前に思えてね」
 久慈樹社長は、いて座のシンボルマークの刻まれた、天空ステージを見上げる。

「そんな理由で、みんなを集めたって言うの。アンタってヤツは、本当に……」
 天使の羽根に小さな黄金の弓を持ったユミアが、天空から社長を見降ろしていた。

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