ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第13章・36話

ミノ・テロペ将軍

 クレ・ア島の東側半分を領するミノ・リス王は、ラビ・リンス帝国の名前の由来となった迷宮のような城塞の、奥深くに玉座を構えていた。

「これが、ウワサに名高い城塞ラビ・リンスか」
 マントの男が、夜空に浮かぶ白い月を眺める。

「もう3つの兵士の詰め所を突破しているのに、王の居る寝室か玉座の間に近づいてんのかも解らねェ」
 男の足元にはドス黒い血が滲み、その傍らには兵士たちの死体が転がっていた。

 すると、月灯りに照らされた男のマントに、影が掛かる。

「侵入者とは、久しいな。ラビリンスの迷宮の恐ろしさが伝わって、進入しようと考える愚か者など、長らく現れなかったんだがよォ」
 マントの男を覆った影の正体は、ハゲた頭の巨漢だった。

「へェ、アンタがミノ・ダウルス将軍直属の配下だってのは、まんざらウソじゃ無いみたいだな?」
 マントの男が、吐き捨てる。
ハゲた巨漢は、黒に赤やオレンジで縁どられた鎧を着ていて、20人ホドの部下を引き連れていた。

「昼間は逃がしちまったが、まさかそっちからノコノコと、ラビ・ランスの罠ひ引っかかりに来てくれるとはな。探す手間が省けて、助かるぜ」

「剣山の落とし穴に毒の沼、マグマの流れ出る罠まであって飽きさせないよ、この迷宮は」
「なんせこの迷宮を作ったのは、かの有名な建築家にして発明家、ダエィ・ダルスだからよ」

「なるホド。確かに城壁も罠も、完璧な仕事だ。悪趣味ではあるがな」
「さて、お喋りはここまでだ。お前には、あの世に行ってもらうぜ。この……アッ!?」

 巨漢の口が、開いたまま閉じなくなる。
兵士たちが見上げると、ハゲた男の顔の中央にサーベルが突き刺さっていた。

「昼間は、街中だから殺さなかっただけだ。お前のようなヤツが直属の部下とは、ミノ・ダウルス将軍も大したコト無いのかもな」
 マントのフードを外す、ティ・ゼーウス。

 巨漢の部下が襲い掛かって来たが、アッシュブロンドの少年は20人の兵士たちを、1分とかからずに斬り伏せる。
それからティ・ゼーウスは、兵士たちの骸(むくろ)から傷の少ない武具を奪うと、迷宮を駆け巡った。

「この砦は、今までのに比べればずいぶんと大きな」
 今までのモノとは見違える巨大な黒い砦は、クレ・ア島の絶壁の海岸線沿いに聳(そび)えており、眼下に荒れ狂う海を見下ろすように建っている。

「ここに、ミノ・リス王が居るのか。あるいは……」
 ティ・ゼーウスが砦に脚を踏み入れると、中はそれなりに豪奢な内装が施されていた。

 赤い絨毯(じゅうたん)が敷かれ、数名の護衛を左右に配した椅子には、眩(まばゆ)く輝く黄金の鎧を着た男が座っている。

「キサマが、ラビ・リンスを騒がす賊徒か?」
「アンタからすれば、そんなところだろうよ……ミノ・ダウルス将軍」
 ティ・ゼーウスがそう返すと、護衛の兵士たちから失笑が漏れた。

「な、なんだ。なにが、おかしい?」
「フッ、わたしは、ミノ・ダウルス将軍では無いのだよ」
 黄金の鎧の男が、無骨な椅子から立ち上がる。

「わたしは、ミノ・テロぺ。ミノ・ダウルス将軍から1軍を預かる、3将の1人だ」
 黄金の兜は、右側にだけ巨大な角があって、左側は途中で折れていた。
兜からは、ヒスイ色の長い髪が伸びている。

「なんにしろ、ただの雑魚じゃ無さそうだな。まずはどれホドの腕前か、確かめてやる」
 ティ・ゼーウスは小刀を投げるが、ミノ・テロぺは素手で弾き飛ばした。

「やるな。だが……」
 小刀の後を追うように、剣による攻撃を仕掛けるアッシュブロンドの美少年。

「小賢しいマネを」
 ミノ・テロペは、巨大な刃の付いたハルバートを取って、ティ・ゼーウスを剣ごと弾き飛ばす。

「クッ、手強い!」
 追い打ちを仕掛けるミノ・テロぺに、防戦一方のティ・ゼーウス。
ミノ・テロぺの親衛隊らしき部下の1人が、とどめを刺そうと試みるが、返り討ちに遭った。

「コ、コイツ、よくも我が同僚を!」
「斬り刻んでくれる!」
 仲間の死に憤(いきどお)る、他の親衛隊たち。

「我が配下を、いとも簡単に切り伏せるとは、やはり中々の腕前です」
「アンタも、部下の仇を討ちたくなったってコトかい?」

「いいえ。このラビ・リンス帝国に置いては、強さこそが絶対の正義。弱き者が破れて死んだとて、それは自明の理に過ぎませんよ」
 部下の死体を前に、ミノ・テロペは言ってのけた。

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