ラノベブログDA王

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キング・オブ・サッカー・第8章・EP016

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事件の真相

 エトワールアンフィニーの練習場に、隣接した駐車場のアスファルトは、春の陽気で熱くなっていた。
ボクはそこで、ボクとウリ2つのロランさんと再会をする。

「ロラン。お前はチームを抜け出すために、影武者まで用意していたとはな」
 そこに、若きカリスマオーナーが立ちはだかった。

 うわ、ど、どうしよう!?
ボクが、ロランさんに成りすましていたコト、バレちゃった。

「オレはお前を、ウチの中心選手として考えていたが、どうやらオレの目が狂っていたらしい」
 壬帝 輝流(みかど シャル)オーナーの後ろには、金色に輝くスポーツカーが止まっている。
オーナーがまだ現役サッカー選手だった頃に、なにかと話題を振りまいた車だ。

「す、すみません、オーナー。実は、これにはワケがあってですね」
「ロランは偶然、名古屋のホテルから脱走したときに彼と……」

「言いワケなど、聞きたくない。アルマ、オリビ、かくまったお前たちも同罪なのだぞ」
 ロランさんを庇う2人も、激しく糾弾されてしまう。

「2人は、関係ありませんよ。それより、こんなに早く会えるなんて好都合です」
「なに?」
 訝(いぶか)しい顔をする、シャルオーナー。

「オーナーは、オレの姉貴が自殺した事件は、知ってますか?」
「ああ。知っているが……それが、どうした?」

「姉を自殺に追いやった、真犯人が解りました。現在、弁護士と協議を進めてます」
「まさかお前は、それを探るためにチームを離れたと?」

「はい。勝手にチームを離れたコトは、申しワケなく思ってます。ですが……」
「ここで話すような、軽い話でもなかろう。場所を移すぞ」
 オーナーの提案を、ロランさんは受け入れる。

「すまないが、一馬。少しだけ、ウチのロッカーで待っていてくれるか?」
「イヤ、一馬も来てくれ。今さら彼だけ、蚊帳の外に置くのも身勝手だろう」
 ロランさんの言葉に、ボクはコクリと頷(うなず)いた。

 オーナーに続き、事務所へと入って行くボクたち4人。
真新しい建物の中は空調が効き、観葉植物が多めに配されていた。

「話を、聞こう。一体、名古屋でなにがあった?」
 ダークブラウンのソファに座った、オーナーがロランさんに質問する。

「オレの姉……詩咲 杏寿(しざき あんじぇ)は、日高グループのプロデュースする、アイドルユニットのメンバーとして、活動してました」

「知ってはいるさ。オレも、日高グループの1員だからな」
「姉は、去年の夏の終わりに、自ら命を絶ちました。オレは、姉の自殺の真相を探るために、名古屋に残ったんです。もちろん、他の理由もありますがね」

「オレの標ぼうするサッカーが、気に入らないと言うのだな?」
 オーナーの質問に、透明なテーブルを挟んで座るロランさんは、答えなかった。

「名古屋には、生前の姉の同僚である元アイドルたちが、何人も住んでました。オレは名古屋で、一馬のチームメイトたちの協力を得て、彼女たちと会って事件の捜査を進めました。そして、ある結論に行き着いたのです」

「真犯人が……解ったのか?」
 普段から険しい顔のシャルオーナーが、一段と険しい表情を浮かべている。
ボクも、アルマさんやオリビさんと共に、固唾(かたず)を飲んで見守った。

「ええ、もちろん。貴方の実の妹である、狩野 時世流(かのう じぜる)にも会って来ました」

「ジゼルが、犯人だとでも言うのか!」
「ずいぶんと、我がままな妹さんですね。プライドが高く、高飛車で嫉妬深い」
「だ、だから、どうした。その程度の憶測などで、犯人などと……」

「オーナーは、ロランの姉のアンジェと、自分の妹のジゼルが、同じアイドルグループだったコトはご存じだったのですよね?」
 援護射撃をするように、オリビさんもオーナーを問い詰める。

「それがどうした。アイツは、性格に問題があったのは認める。だが、人を殺すようなヤツでは……」
 壬帝オーナーは、必死に実の妹の弁明をしていた。

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