ラノベブログDA王

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一千年間引き篭もり男・第07章・18話

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アマゾネスの急襲

「敵艦隊に向け、正面突破を開始致します」
 メラニッペ―が言った。

「了解しました。行って下さい」
「では、行きますよォ。テル・セー・ウス号、発進ですッ!」
 黒乃が許可を出すと、アンティオペー艦長が操艦を開始する。

 ……と同時に、周りの半個艦隊も動き始めた。
宇宙の星々を纏った謎の敵艦隊に向け、ゆっくりと進み始める緑色の艦隊。

「敵の砲火も、そこまで激しくはないな。だとしたら、あの艦隊の目的はなんだ?」
 ボクは疑問に思ったものの、好機であるコトに間違いはない。

「今は、地球に向かうコトが最優先です」
 妙に、地球へのこだわりを見せる、黒乃の姿のミネルヴァさん。

「どうしてキミは……うわッ!?」
 ボクが問いかけた途端、2人のギリシャ英雄の名を混ぜ合わせた名を持つ艦が、大きく揺れる。

「本艦左舷に被弾、損傷軽微。前方バリアによって、艦隊に撃沈はありません」
「さ、さすがに、すんなりとは通してくれないみたいですね」
 メラニッペ―の報告を受けたアンティオペー艦長が、有能な参謀を見た。

「こちらもさらなる密集陣形を取り、砲撃を1点に集中させ突破します」
「OK、オリティア。艦隊運用は任せるわ。前方1点に、集中砲火!」

 上下左右から、緑色の船体をした大型艦が近づいて来る。
それぞれの艦がバリアを張ると共に、謎の艦隊の1点に向け斉射を開始した。

「静かなモノですね」
「ええ、周りに空気はありませんから。宇宙での戦闘は、こんなモノです」
「黒乃、まるで幾多の戦場を切り抜けてきたかのような、言い方だ」

「実際に、戦闘経験は数えきれないホドあります。伊達に200年も、生きてはおりません」
 ミネルヴァさんは、ピシャリと言った。

「敵の艦隊、突破致しました!」
 テル・セー・ウス号率いる半個艦隊は、正面の敵艦隊を撃破し、その向こうへと抜ける。

「よし、なんとか敵艦隊を突破出来たか!」
「いえ、まだです。前方に、さらなる敵艦隊を確認」
「なんだって!?」

 メラニッペ―の言葉通り艦隊の進路に、黒い鏡面仕上げの新たな艦隊が出現した。

「後方の敵艦隊も回頭し、こちらの艦隊を追尾する模様」
「て、敵はこれを、狙っていたのか。このままじゃ、全面包囲されるぞ!?」

「アハハ、いよいよ面白くなって来ましたね!」
「……へ?」
 アンティオペー艦長が、不敵な笑みを浮かべている。

「そうですね。この程度は、予測の範囲内です」
「メラニッペ―まで……後ろから追撃してくる艦隊は、どうするんだ!」
「後方からの追尾艦隊に関しては、問題ありません」

「ありませんって……ああ、そうか!」
 ボクも彼女たちの意図に、遅ればせながら気付いた。

 後方艦隊を映すモニターに目をやると、謎の艦が次々に破壊されて行く。
鏡面仕上げの船体ではビームを弾けても、動力源が集中する後方は脆いらしかった。

「ニケ―さんの艦隊が、後方から追ってくる艦隊を後ろから殲滅してくれたのか」
「敵艦隊が居るのに回頭とは、ずいぶんと間抜けなAIですね」
「そ、そうだね、黒乃」

 メラニッペ―の言った通り、後ろからの脅威はほぼ無くなる。
ボクたちの艦隊は、前方の艦隊に向けて突撃を敢行しいた。

「イッケェー、テル・セー・ウス!」
 興奮し、艦長の椅子から立ち上がる、アンティオペー。

「前方艦隊、突破。さらに別の艦隊が、前方に出現!」
「突破するのみ!」
「艦載のアーキテクター、後方艦隊を狙撃させます」

 オリティアの指示で、艦の後部カタパルトに固定したアーキテクターのスナイパーライフルで、先ほど突破した後方艦隊を撃破する。

 謎の艦隊は、さらなる陣を用意していたが、アンティオペー艦長は中央をブチ抜いた。
そんなルーティンワークが、幾度となく繰り返される。

「前方、艦影はありません」
「やった、抜けたァ!」
「後方、敵艦隊に備えて迎撃準備」

 オリティアは指示を出したが、すでに後方から追ってくる艦隊は無かった

「ヤレヤレ、忘れていたよ」
「なにがですか、宇宙斗艦長?」
 顔に疑問符を浮かべる、アンティオペー。

「キミたちが、アマゾネスだってコトを……さ」
 ボクはため息交じりに、女戦士たちの勇戦に敬意を表した。

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