ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

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この世界から先生は要らなくなりました。   第08章・第47話

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閉鎖されるステージ

『こちら、現場のマンガ喫茶。ドローン操作をしていたと思われる、容疑者の身柄を確保しました』
 雑音交じりに、警察官らしき男の声が会場に聞こえた。

「ふう、なんとかなったか。それにしても……」
 ボクはホッと、胸を撫で降ろす。
ステージを見ると、警備員が数人壇上に上がって襟田 凶輔(えりだ きょうすけ)を、取り囲んでいた。

「念のためキミも、警察まで同行して貰うよ」
「ヘイヘイ、用は済んだからな。こんな騒がしい場所より、警察の独房の方が落ち着くってモンだ」
 襟田はおどけて、両手を挙げながら答える。

 ザワつく観客席の上を、2体の人形を乗せたドローンがゆっくりと降りて来た。

「残念だったな、ステージがこんなになっちまってよ。じゃあな……」
 警察官に肩を押され、ステージを降りる襟田 凶輔。

「ま、待てよ。どうして、わたしを助けた!」
 金色のステージ衣装を纏ったタリアが、詰め寄った。

「お前には言ってなかったか。オレはお前を、気に行っちまってな。オレの女にするつもりでいたんだ。まずはその、手始めってヤツさ」
「それじゃあ、あのドローンもお前の手下がやったのか!?」

「元手下だ。クズ男ってヤツが、なにかやらかすって噂を耳にしたんでな」
「そ、そうか……」

 警察官と警備員に連行される、襟田 凶輔。
大人しく歩いていたかと思えば、時折り暴れて警察官らを困らせている。

「お、お姉さま、大丈夫でしたか?」
「ケガは、無かったです!?」
 タリアの元に集まって来た7人の少女の内、アステとマイヤが問いかけた。

「ああ、大丈夫だよ。でもまさか、アイツに助けられるとは……な」

「で、ですが、襟田が自分で、仕組んだコトかも知れません」
「そ、そうだよ。その可能性のが、高いって!」
 メルリとエレトが言った。

「イヤ、わたしはそうは思わない」

「ど、どうしてだよォ、お姉さま!」
「あんにゃヤツの、肩を持つなんて!」
 タユカとアルキが、怒りをぶつける。

「2人とも、よく御覧なさい。襟田 凶輔が、去っていた先を」
「な、なんだよ、カラノ。ん、通路になにか……?」
「うわあ、血だァ!?」

 ステージから通路に向かって、転々と血溜りが続いていた。

「アイツ、自分の脚を撃たれてやがった。それなのに……やせ我慢なんか、しやがって!」
 険しい顔を見せる、タリア。
7人の少女たちも、それ以上の追求はしない。

「襟田 凶輔……病院で会った時は、意味深げな台詞を言っていたが、まさか本気でタリアを自分のモノにする気なのか」
 ボクも遅ればせながら、なんとかステージの前まで辿り着いていた。

「オイオイ、マジもんのテロかよ」
「大変なコトに、なっちまったな」
「あ~あ、これでライブはお開きか」

 警察や警備員がステージに上ったコトで、おおよその事態を把握する観客たち。
すると、観客席のVIP席にスポットが当たる。

「皆さま、大変お騒がせ致しました。ステージにドローンを進入させてしまうという不手際、ユークリッドの代表としてここに深くお詫びします」
 久慈樹社長は、小さく頭を下げた。

「犯人と思わしき容疑者は、すでに確保したとの連絡は受けましたが、まだ容疑者の段階です。ドローンによる攻撃のあったステージは、現場保管および現場検証のため使えなくなってしまいました」

「クッソー、やっぱ中止かよ!」
「オイ、待てよ。オレ、サラマン・ドール推しなんだケド!?」
「オレだって、ウェヌス・アキダリアの妖艶な魅力を愉しみにだなあ……」

「せっかく頑張って練習して来た生徒たちには申しワケないが、久慈樹社長としてもアイドルの身の安全は、確保しなくてはならないだろうからな」
 ステージの端から後ろを振り返ると、突然の中止を悲しむ落胆の声が聞こえる。

「では、ステージを改めましょう。空のステージです」
 中止だと思っていたファンたちは、久慈樹社長の言葉に色めき立った。

 現在のステージから、10メートルほどの高さに新たなステージが出現する。

「チョット待ってよ。ワイヤーアクションは、やらないって約束だろ!?」
「大丈夫ですよ、お姉さま。宙を舞うのって、けっこう楽しいですよ」
 アステはタリアの背中に回り、ベルトにワイヤーフックを装着した。

「イヤ、ちょっと……キャアアアァァーーーーーーーーッ!!」
 珍しく少女のような悲鳴を上げ、観客席の上を舞い始めるタリア。

 アステたち7人の少女らも続き、新たなるステージに降り立つと、ソロ曲の演奏が始まった。

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