ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第11章・53話

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再会の幼馴染み

「パレアナじゃと!?」
 舞人の言葉に、いち早く反応したのはルーシェリアだった。

「間違いない、パレアナだよ。パレアナが、生きていた!」
 蒼き髪の少年が指さす上空に、黄金の鎧を纏った戦士に抱えられる、栗毛の少女。

「ええ! パレアナって確か、ダーリンの死んじゃったって言う元カノだよね!?」
「正確には、幼馴染みじゃがな。確かにアレは、パレアナに見えるのォ」

 すると黄金の戦士は、少女を抱えたまま舞人たちの前に降り立つ。
戦士の左右には、白銀と黒鉄色の女性型の鎧を纏った、2体も舞い降りた。

「パレアナ!」
「待つのじゃ、ご主人サマ。パレアナの様子が……」
 ルーシェリアは舞人を止めようとしたが、その手は舞人の肩をすり抜ける。

「パレアナ……ホントに、パレアナだよな!?」
 一目散に、栗毛の少女に駆け寄る舞人。

『小童が、我が王女に対し無礼であるぞ!』
 黄金の戦士の黄金の剣が、一閃した。

「うわあッ!?」
 間一髪で反応した舞人だったが、その反動で後ろに激しく倒れ込む。

『何者かは知らぬがこのお方は、アト・ラティアの正当なる後継者、クシィー・ギューフィン様だ。愚民が軽々しく、触れて良い存在では無い』
 パレアナの前に仁王立ちをする、黄金の戦士。

「クシィーだって。誰だよ、お前。そいつは、パレアナに決まってるじゃないか」
 起き上がり、身構える舞人。

『我が名は、ラ・ラーン。アト・ラティアの王家を護る戦士。今のこのお方は、アト・ラティアの王女であらせられる。手出しは、許さん』
 ラ・ラーンの一撃が、舞人に放たれる。

「ウッ、ぐわあァァーーーツ!?」
 激しい斬撃を喰らい、古代都市の建物の壁に打ち付けられる、舞人。
凄まじい爆風が吹き荒れ、瓦礫が辺りに降り注いだ。

「ご、ご主人サマ!?」
「ダーリン!?」
 2人の少女が、舞人に身を案じるものの、黄金の戦士を前に動くコトすらままならない。

「ねえ。あのコ、ホントにパレアナってコなの。ダーリンが吹き飛ばされたってのに、顔色ひとつ変えないんだケド?」
「そうじゃな、本来のパレアナであれば、危険も顧みず一目散に駆け寄るじゃろうて」

「それじゃあ、今のあのコは?」
「ウム、恐らくはサタナトスか、あの黄金の戦士によって操られておるのじゃろう」

「相変わらず、卑怯な手を使いやがるぜ!」
 バルガ王子は、旗下の2人を伴って2人の少女と合流する。

「オイオイ、それは完全に冤罪じゃないか。まあ悪行の限りを尽くしたボクだ。キミらが信じるハズも無いだろうケドね」

「当たり前だろうが。テメーの言葉だけは、なにがあっても信じねェ!」
「ですが王子、この状況……我らが、圧倒的に不利です」
「相手はサタナトスに、元7海将軍(シーホース)だった魔王の5人だかんな」

「それにラ・ラーンと名乗った黄金の戦士……ご主人サマを、軽く吹き飛ばしたのじゃ」
「残りの2体も、厄介そうだね。もしかしてボクたちが手も足も出なかった、金属の巨人より強かったりして」

 バルガ王子、シドン、ベリュトス、ルーシェリア、スプラの5人が、円陣を組んで防衛体制を取る。

『キヒヒ、当然じゃろうて。たかが守護者(ガーディアン)など、我らの戦闘力の足元にも及ばんわ』
 黒鉄色の鎧の魔女、マ・ニアが言った。

「それがホントなら、めっちゃヤバいんじゃない?」
「そうじゃの。絶体絶命というヤツじゃな」
 張り詰めた空気の緊張感からか、2人の少女の顔からも脂汗が滴る。

「クソ、こうも戦力差があっては、どうしようも……」
『我が後継者のキサマが、情けない泣き言を申すか。ならば、キサマに戦力をくれてやろうではないか』

 何処からともなく低い声が響いたかと思うと、バルガ王子の前の地面に黄金像が突き刺さった。

「この声……親父か!?」
「それにこの黄金像……ギスコーネのモノですぞ」
「見ろよ、黄金になってた像が、元に戻って行く」

 残った海皇パーティーの目の前で、元の生身の肉体へと戻って行く、ギスコーネ。

「……な、なんだ、お前はバルガ!?」
 自分の手足を確認する、滑稽な男。

「そうか、ボクはお前に黄金像にされて……アハハ、元に戻してくださったのですね、父上」
 ギスコーネは、宮殿から現れた蒼き龍に向かって叫んだ。

『そうだ。キサマとも、戦ってみたくなったのでなァ。グアァッハッハ』
 大魔王ダグ・ア・ウォンは、豪華に笑った。

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