ラノベブログDA王

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ある意味勇者の魔王征伐~第11章・40話

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鉄の鳥

「サタナトスさま、これからいかが致しますか?」
 紫玉の魔王アクト・ランディーグが、龍の頭を傾げて問いかける。

「宮殿に放っておいた監視魔からの報告じゃ、どうやらヤツらはギスコーネを撃破し、復活した大魔王ダグ・ア・ウォンと戦っているらしい」
「ギスコーネさまを、バルガ王子が倒したのですか?」

「王子の弟……か。ヤツには、カル・タギアの宝物庫で見つけた氷の剣を与えてやったのに、困ったモノだよ」

「王子たちはもしや、ダグ・ア・ウォンさまをも倒してしまうんじゃ!?」
 藍玉の魔王ベク・ガルが、言った。

「それは無いだろう。ダグ・ア・ウォンは、天下七剣の一振りである、海皇の宝剣『トラシュ・クリューザー』を核に生み出した大魔王だ。それに、あの遺跡は中々に面白い場所だったからね」

「深海の遺跡が……面白いとは?」
「別に、考古学を言ってるワケじゃ無い。なあに、今に解かるよ」
 サタナトスは玉座で、口元を歪ませ微笑んだ。

 その言葉の意味するところに、舞人やバルガ王子たちは直面する。

「な、なんじゃ。ドームの中の灯りが赤く光って、何やら甲高い音が鳴り響いておるぞ」
 大魔王の巨大渦巻きによる攻撃を、背中の羽根で飛翔してかわすルーシェリア。

「大魔王との戦いの最中だ、気にしてる場合じゃ無いだろ」
「待って、ダーリン。気にしなきゃ、ダメかも。見て、アレ!」
 隣のサーフボードに乗ったスプラに言われ、巨大なドームの壁を見る舞人。

「な、なんだ。なにも無かったドームの壁一面に、扉がたくさん開いたぞ!?」
「しかも扉ん中から、なにか出て来やがった。一体、どうなってんだ!?」
 舞人を後ろに乗せたビュブロスが、隣のサーフボードに視線を振る。

「オレに振られたって解んねえよ、兄貴」
「でも、中から出て来た鎧みたいなのが、空中にドンドン飛び出して行ってるよ!」
 ベリュトスの後ろに乗ったスプラが、上を指さした。

「鉄の鳥……のよですね、王子」
「ああ。だが油断するなよ、ティルス。得体が知れねェ」
 並走する2つのサーフボードに乗った2人が、警戒をする。

 ドームの中をに現れた無数の『鉄の鳥』は、銅のような褐色の金属の身体をしており、長い腕を大きく広げて優雅に宙を旋回していた。

「アレは恐らく、この遺跡の古代人たちが創った兵器でしょう。我々を敵と認識すれば、攻撃を仕掛けてくるに違いありません!」
 海洋生物学者であるシドンの言葉は、直ぐに現実となってしまう。

「オワァッ! アイツら、マジで攻撃して来おったで!?」
 無機質な鉄の鳥の頭部から、赤い光が一閃して、アラドスの乗る巨大渦巻きを両断した。

「この攻撃、オレの持ってる槍とソックリじゃ無いェか!」
「ベリュトス、ならばこっちも応戦する他あるまい!」
 宮殿の武器庫で手に入れた、漁師兄弟の槍が閃光を放つ。

「おっしゃ、当たったぜ、兄貴!」
「だが、撃ち落とせたのは数匹だ。残りのヤツらが、攻撃して来るぞ!」
 漁師兄弟が指摘した通り、白いドームを舞う鉄の鳥は一斉に攻撃体制に入った。

『我と、我が息子の闘いを、ジャマするで無いわァ!』
 大魔王ダグ・ア・ウォンが、深紅の三叉の槍を天へと振りかざす。
紅の雷光が、轟音と共に無数の鉄の鳥を撃ち落とした。

「オ、オヤジ……!?」
 サーフボードに乗ったバルガ王子が、父親と視線を合わす。

『興が削がれたわ。お前との決着は、いずれつけてくれよう』
 大魔王の背中から、ヒレのような大きな蒼い翼が4枚出現した。

『その時までに、少しは我に抗(あらが)えるよう、鍛えておくのだな』
 蒼い翼で宙に舞ったダグ・ア・ウォンは、そのままドームの天井を突き破り飛び去って行った。

「オヤジ、待ちやがれ!」
「王子、まだ鉄の鳥が残ってます!」
「チィ!?」

 バルガ王子率いる海皇パーティーと、舞人やルーシェリアたちが、残った鉄の鳥を全て沈黙させるまで数時間の時を擁した。

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