ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

王道ファンタジーに学園モノ、近未来モノまで、ライトノベルの色んなジャンルを、幅広く連載する予定です

キング・オブ・サッカー・第六章・EP027

f:id:eitihinomoto:20191113233812p:plain

翻された反旗

「ああ? ふざけてんのか、テメーは?」
 岡田さんのヘビみたいな鋭い眼光が、倉崎さんに向けられる。

「お前んトコのメンバー表は見たが、あのデブキーパー以外は全員高1じゃねェか!」
「よくもそれで、プロチームみたいなコト抜かせるな。信じられんわ」
 仲邨さんと棚香さんも、追従した。

「フフ、いずれ解かるさ」
 『曖経の四凶』の3人の威圧を、サングラスの涼しい顔で返す倉崎さん。

「それより岡田、お前のチームも見どころのありそうな1年が揃ってるじゃないか?」
 倉崎さんがそう言うと、ナゼか3人の表情が一段と険しくなる。

「ウチはオレら3年が主力だが、2年がクソ過ぎて使えね~ヤツばかりだから、仕方なく1年を入れてやってんだよ!」
「お前の後ろの1年と同じで、生意気なヤツばかりで困ったモンだぜ」

 うわあ!?
仲邨さんと棚香さんが、ボクを睨んでる!

 でも1年って、千葉クラス委員長のコトだよね?
沙鳴ちゃんのお兄さんの。

「フッ、確かに生意気なヤツらだぜ。お前らとの勝負の他にも、もう1つの勝負があるんでな……」
 岡田さんはそう言うと、2人を引き連れて試合に戻って行った。

 もう1つの勝負……って、なんだろう?
相手チームの内情が解らずに、疑問に思うボク。


 ボクたち、デッドエンド・ボーイズと、ボクの母校、曖経大名興高校サッカー部の試合。
この試合には、もう1人の主人公が存在した。

 主人公の名は、千葉 蹴策。
時は、試合開始の10分前にまで遡る。

「今日の相手ってよ。プロのサッカーチームじゃ無かったのかよ」
「見たトコ、オレらと同い年な感じだぜ?」
「年下だよ、メンバー表見てないのかよ」

 大都市から離れた田園風景の広がる町の、曖経大名興高校のグランド。
少し離れた場所にある更衣室で、むさ苦しい男たちが学ランから紫色のユニホームに着替えながら話していた。

「それより相手のチーム、スゲー数の女を連れてやがるぜ。うらやましい!」
「マイクロバスが置いてあったよな。もしかして、着替えとかするんじゃね?」
「バカ、トイレなら確実に行くだろ。オレ、ちょっくらションベン行ってくるわ」

 不謹慎極まりない会話が飛び交う中で、4人の1年生がサッカー部部長の前に並んでいた。
部長の名は、岡田 亥蔵。

「……で、千葉。要件ってのはなんだ?」
 その鋭い眼光が、並んだ1年の真ん中の人物に向けられる。

「はい。先日、妹の沙鳴が世話になったそうで……オレは兄として、アンタの行いに抗議します!」
 ツンツンと尖った頭をした男が、腕を体の後ろで組んで言った。

「アアン。あのじゃじゃ馬剣士は、オメーの妹だったのかァ!」
 いきなり鉄拳が、彼の横から飛んできた。

「妹の教育が、なってないんじゃねェのか、千葉ァ?」
「オレらは竹刀で、ボコボコにされたんだぜ!」
 倒れた千葉 蹴策を無理やり立たせて、平手打ちを喰らわす2年生の先パイ。

「妹の行いについては、謝罪します。教育の行き届いてない悪らつなヤツらと言えど、竹刀を向けたのは間違いであった……」

「誰が、悪らつなヤツらじゃ、ボケェ!!」
「教育が行き届いてないとか、放っとけや、コラァ!!」
 ロッカーがへこむくらいに殴りつけられる、千葉。

「そのヘンにして置きな、テメーら。話が進まねェだろ」
「へい、スイヤセン」
 岡田にガンを飛ばされ、スゴスゴと引き下がる2年生たち。

「もう1度聞く。千葉、用件はなんだ?」
 岡田に問われ、地面に伏した千葉が、口の血を拭って立ち上がる。

「こ、このままでは、曖経大名興高校サッカー部はダメになってしまいます」
「ほう、それで?」
 顔色1つ変えない、岡田 亥蔵。

「今こそ、改革が必要な時だと思います。キャプテンを含む3年生の先パイがたは、全国クラスの実力を持っているのですから!」

「オイ、そりゃどう言う意味だ、千葉ァ!?」
「オレら2年は、実力が無いって……」

「うるせえぞ、黙ってろっつってんだろうがッ!!!」
 岡田の一括に、沈黙する2年の先パイたち。

「つまりテメーは、オレらに品行方正なサッカーをしろってェのか?」
「はい。先パイたちなら、できると思います」

「できるかどうかっつー話でも、無ェんだがな」
「ルールなんざ、破るためにあんだからよ」
「千葉はマジメちゃんだねェ。クラス委員長に、選ばれるだけはあるわ」

 仲邨 叛蒔朗、棚香 心平、川神 治晃の、『曖経の四凶』の残る3人も、岡田の元に屯(たむろ)する。

「岡田先パイ、アンタの実力は疑いようも無いです。ですがもし、オレがアンタよりこの試合多く点を取ったら、オレの提案を受け入れては貰えませんか?」

「斎藤、桃井、伊庭、オメーらもか?」
 千葉と同列に並んだ、3人の1年に問いかける岡田。

「はい、オレたちも千葉と同意見、同じ覚悟です」
「負けたときは、退部を免れないでしょう」
「ですが千葉なら、やってくれると信じてます!」

 曖経大名興高校サッカー部の1年が、3年に対し反旗を翻した。

 前へ   目次   次へ