ラノベブログDA王

ブログでラノベを連載するよ。

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この世界から先生は要らなくなりました。   第07章・第02話

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2つのアイドルユニット

「問題は、ここからだな。あと3組は、誰だ?」
 ボクは朝食の準備も途中で放り出し、リビングのテレビの前に胡坐をかいていた。

「アロアとメロエは芸能一家に育ち、天空教室に入る前も何本かCMを受けていた。キアたち4姉妹も、インディーズとは言えコアなファンを獲得していたロックバンド。スポットライトを浴びる覚悟も、それなりに備わっているだろう」

 でもボクの知る限り、他にスポットライトを浴びた存在と言えば、ユミアくらいしか居ない。
彼女がユークリッドの……久慈樹社長のオファーを、受けるハズが無い。
つまり、誰であろうとアイドル未経験者なのだ。

「軽い気持ちで、アイドル活動を始めてしまっていないか心配だ……」

 テレビの向こうの手の届かないステージで、次のアイドルが紹介されようとしていた。

『そしてアイドル2組目は、プレーア・デスティニー。なんと盗撮などの被害に遭ったテニスサークルの7人の中学生と、それを助けた女子高生のユニット……』

「や、やはり彼女たちか。でも、タリアまで参加してるのは意外だな……」
 ステージには、星空色のローブのような衣装を纏った7人の少女たちと、ギリシャの剣闘士をアイドル風にアレンジした衣装のタリアが立っていた。

『サブリーダーの、禄部 明日照(アステ)です。きょ、今日は皆さま、お忙しいところお集まりいただき恐縮です!』
 パステルブルーの長い髪の少女が、フラッシュを浴びながらお辞儀をする。

『へ、へへ、戸次 芽瑠璃(メルリ)と、も、申します。ヨロシクですゥ!』
 カチコチに緊張したモスピンクの巻き髪ツインテールの少女が、頭を下げた。

『わたしは蔵澤 絵零兎。エレトって呼んでくれていいわ』
 対してまったく動じていない、白い髪を後ろで二つに束ねた少女。

『ボクは麻井 舞依弥。マイヤでいいよ。ヨロシクゥ』
 薄いオレンジ色のレイヤーボブの少女も、明るい笑顔で挨拶する。

『丹下 手結夏だよォ。タユカって呼んでね』
 甘えた声でウインクする、ウェーブのかかった桜色の長い髪の少女。

『家長 袈螺埜と申します。カラノとお呼びくださいませ』
 抹茶色のミディアムボブの少女が、両手の先を揃え丁寧に頭を下げる。

『アチシ、弓尾 杏屡希。アルキって呼んでくれ』
 ライトパープルのパイナップルヘアの少女が、鼻にかかった声で言った。

 自己紹介を終えた7人の少女に、フラッシュの光が浴びせられる。
星空色の衣装に散りばめられた宝石が、キラキラと輝いた。

「た、確かにみんな、小柄で可愛らしい女のコたちだが……アイドルってのはそんな簡単じゃ無いぞ」
 ボクの中に、親心みたないな感情が沸き上がる。

『え、えっと、美乃栖 多梨愛(タリア)だ。アタシはアイドル枠ってより、コイツらの保護者みたいなモンなんで……よろしく』
 1人だけ厳つい格好をした長身の女の子が、頭をポリポリ搔きながら小さく頭を下げた。

「とりあえずタリアが着いていてくれれば、安心は安心だな。だけどあんな事件に巻き込まれた彼女たちがアイドルって、何事も無ければいいケド……」
 この時の悪い予感は、後に的中するコトとなる。

『さて、続きましてはプレジデントカルテット。名前の通り、4名の少女によるグループだァ!』
 今度は一転して、フォーマルなスーツのようなアイドル衣装を着た4人が、ステージに立っていた。

「な、なんでキミたちが……!?」
 唖然とする、ボク。

『新兎 礼唖(ライア)と申します。招来は弁護士を目指しております。以後、お見知りおきを』
 宝石で飾ったピンク色の髪をした少女が、アイドルらしからぬ挨拶を述べる。

『八木沼 芽理依(メリー)と言います。わたしはユミアさんに触発され、教師となる道を目指すつもりです。よろしくお願いいたします』
 白い肌にアイボリー色のショートヘアの女の子も、形式ばった挨拶をした。

『天棲 照観屡(テミル)っス。招来は、不動産王を目指しているんで、皆さんの中にマンションもしくはアパートをお探しの方は、プニプニ不動産をヨロシクっス!』
 しっかりと実家の営業アピールを織り交ぜる、琥珀色の髪の三つ編みお下げの少女。

『我柔 絵梨唖(エリア)と申します。実家がプロテスタント系の教会で、牧師を目指して修行中の身ではありますが、宜しくお願いいたしますね』
 倉崎 世叛の眠る教会の、サックスブルーのストレートヘアの少女がにこやかに微笑む。

「弁護士、教師、不動産王、牧師……プレジデントとまでは行かないまでも、権威を象徴する職業であるコトは間違いないからな」
 ボクは彼女たち4人のグループ名に、妙に納得していた。

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